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第四話
「困るんだよね、いつもいつも6時には帰宅させてくれって。
気持ちはわからなくもないんだけどさー。
皆残業して頑張って仕事してるんだからさ。
もう少しどうにか出来ないわけ?」
いつものように上司からの嫌味に耐える。
朝から6時までは会社で働き、終わるとそのまま病院へ向かう。
1時間絵理奈の傍にいるか医師の話を聞くかして終わると、給料のいい夜勤の警備のバイトをする。
睡眠なんて3時間もあれば十分だ。
全ては絵理奈の為。
それ以外の何物でもなかった。
「絵理奈…今日も来たよ。
なぁ…お前は今、何を考えているんだ…?」
返答はない。分かってる。
でも話しかけられずにはいられないんだ。
植物状態には、話しかけた方が良いらしい。
少しでも、例え限られた望みでも俺は諦めない。
また、絵理奈の笑顔がみたいから…。