出会い
最初に俺の自慢話からさせてもらうとしよう。
俺は夢村春っていうごく普通の男子高校生だ。
いや、ごく普通というのは間違いかな。自分で言うのもなんだが俺は基本的にスペックが高い。
学業に関してはほぼトップの実力特に理数関係は必ず学年一位の実力がある。
顔はまあ、結構整っている方だとは思う。
学校で告白されることなんてよくあるし、バレンタインに送られてくるチョコなんて数え切れない。おまけに街を歩いていたらその日に最低三つほど女子のメアドが増えてるくらいだ。
運動だけはなぜか俺には向いてない。ここまで来たら完璧超人でもいいとは思うのだが…ともあれ運動が苦手なことを除けば漫画に出てくる主人公みたいな感じ。
主人公みたいだからなんだろうな…俺の性格はものすごく悪い部類に入るだろう。
なんで主人公みたいだと性格が悪いって?だって主人公って自己中の塊だろ?
俺は学校で常に猫を被っててくだらないことばっかしている。
特に恋愛関係はまるでダメだ。誰にでも優しいキャラを定着させすぎたのか
「二番目でもいいから…私じゃダメかな?」
なんて言われることがよくある。最初のうちは断っていたのだがあるとき断った女子に逆恨みをされ危うく社会的に死亡するところだったのでそれ以来、彼女はできるものの長くは続かず適当に女子を選んでは甘い言葉で誘い恋人ごっこを楽しんでいた。
そんな感じであっという間に一年が過ぎ今は二年。クラスが変わったがこれといった女子がいなかったのでやってみたかった後輩に手を出すということをしてみようかと思う。(ちなみに先輩にはもう手を出した)
俺の自慢話も終わりを告げたところで今は一年校舎にいる。うちの高校は結構でかく一年校舎と二、三年校舎に分けられているのだ。それゆえに上級生が下級生の所に行くなんてことは滅多になく俺は下級生から色々と注目を浴びていた。
男子からの目線は大半が殺意、女子は期待の眼差しといったところか。
一年たちもなぜ俺がここに来たのか大体予想できたらしい。
そんなことはお構いなくっといった表情を見せつけ各クラスを回っていった。
「あんまり…だな」
今年は期待はずれだったかも、そう思い帰ろうとした。
その時一人の女子が目の前を通った。
黒髪でロングストレートの髪の毛に綺麗に整った顔立ち。なかなか俺の好みだ。
よし決めた。次の狙いはこの子にしよう。
「ねえ、君」
俺はいつもの猫かぶりスマイルをしながら話しかける。
「え?な、なんですか?」
声をかけられた女子は驚きながらこっちを向く。
「君、名前はなんていうの?」
俺がそう言うと一瞬不機嫌な顔をしてすぐに無表情になった。
「寛野…雪野…です」
「雪野ちゃんか!俺は夢村春、君よりいっこ上の二年なんだ、俺部活とか入ってないんだけど後輩と仲良くしたくてさ君をきっかけにいろんな人と仲良くなりたいなって!だからこれからよろしくね」
そう言って手を出す。
「はあ、えと…こちらこそよろしくお願いします夢村先輩。では私は失礼します」
俺の手は握らず横を素通りした。
「…は?え、えと雪野ちゃん待って!」
やべ、少し素が出た。落ち着こう。
「まだなにか御用でも?」
めちゃめちゃ嫌な顔された。え?なんで?
「悪い悪い止めちゃって、これ俺のメアドいつでもいいからメール頂戴」
「は、はあ」
俺はメアドの書いてある髪を雪野に渡し一年校舎から出た。
「…なんか今回は嫌な予感がするな」
この予想は結構あたっていたのかもしれない。
プロローグの話まで行くのにまだ少し時間がかかりそうです!
春と雪野の関係をこれからもお楽しみください。
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