第7話
やっぱり智浩くんと兄弟だけあって遺伝子は同じものを受け継いでるわけだし、顔のパーツが似てるんだから智浩くんと同じように黙り込んじゃったらそれなりに怖いものがある…。
あんなに笑顔の似合う幸くんが無表情に黙り込んだら、私はビビるか驚くか呆然とするかしかない。
「…………」
ちっ…沈黙が辛い…。なんで智浩くんだけでなく、幸くんも怒っちゃってるんだ?私知らない間に何かやった?
―――ピシャンッ――
音をたてて突然ドアが開いた。ちなみにまだ7組の入口の真ん前です。
「…幸浩?何してんだよここで」
中から出てきたのは私を呼び出した張本人、智浩くん。さっきみたいに機嫌は悪くなさそう…。むしろなんか無愛想なオーラから、柔らかそうな感じになってる。私達がドアの真ん前にいたからか、驚いていた。
「…智浩、お前」
「なんだよ?」
「……」
私は黙っていることしかできない。と…とりあえず、二人に挟まれたままは辛いからこっそり移動しよう。
智浩くんは私と幸くんの顔を見て、
「あぁ…」
と呟く。
「ちょっと幸浩、落ち着けよ」
「あぁ?」
幸くん!?めちゃめちゃキャラかわってますよ。
「俺には怒る理由はなんとなくわかった。だけどこの子がこれじゃ可哀想だろ」
今度は反対に智浩くんが気を遣ってくれた。この前の幸浩くんみたいに優しい。
「だいたい俺らこの子の名前も聞いてないのに、すぐにどうこうする訳ないだろ」
………………あっそういえば私、まだ自己紹介してないや。二人には自己紹介してもらったのにね…。
「そういえばそうじゃんね」
あらら?幸くんコロっと機嫌が直ったみたい。この前の幸くんだ。
「あっ、私は朝比恵っていうの。紹介遅れてごめんね」
ペコリと頭を下げる。顔をあげると幸くんはにっこり智浩くんはちょっとだけ笑みを浮かべ、
「「よろしく」」
といった。
話は脱線しちゃったけど、智浩くんの呼び出しって何だろう?首を傾げたら、幸くんが気づいてくれた。
「智が呼び出したんだろ?俺はいくわ。めぐちゃんすごく緊張してたみたいだから、誤解といて優しくしてやれよ。じゃあめぐちゃん、ごゆっくり〜」
さっきの不機嫌オーラは何処へやら。幸くんは例の如く手をヒラヒラさせて、廊下を歩いていった。
7組の前には私と智浩くんの二人だけ残っている。廊下には誰もいない。
うぅっ…また緊張してきた…。
「待たせて悪かったな、ここじゃ何だから中に入れよ」
智浩くんに促され教室へと入っていく。
智浩くんの席は窓際の一番後ろらしい。机の上には例の教科書が開いた状態で置いてあった。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。少しずつではありますが、間宮兄弟の性格が出てきました。彼らはまだまだ掴めない所ありますが、そのうちにはっきりしようと思います。
次回もよろしくお願いします。