第4話
『えっ!?この子が“間宮智浩”くん??』
さっきと違う間宮くんの登場に私は驚いた。
「アイツか…」
少しの沈黙の後、彼は口を開いた。私が顔を上げると間宮くんは怒ってるような、ムスッとした顔でいる。私と目が合うと何故か複雑な顔をしてと目をそらした。そして回れ右をすると、クラスに向かって叫んだ。
「幸ぃっ!!」
私をはじめ友達も7組の子みんながビクゥっと肩を揺らし、間宮くんを見た。普通に話しているときは気付かなかったが、彼の声は低めでよくとおる声をしていておそらく廊下にも響いたであろう。
少しだけザワつく教室。間宮くんは普段は大きな声を出さない子なのだろうか?
「なんだよ〜智」
そんな教室の中からさっき私が会った“間宮くん”が出てきた。やっぱり綺麗な髪の毛の色をしている。
「なんだよじゃない。お前勝手に俺の教科書貸しただろ?」
紛らわしいので、心の中では智浩くん(教科書の持ち主)と呼ぼう。智浩くんは少し体をずらして幸くん(私が最初に会った“間宮くん”)に私の姿を見せた。
「あっ、さっきの子だね」
幸くんはにっこり笑って手を振る。そんな仕草にちょっとドキドキしちゃったのは、内緒ね。
「いくら兄弟だからって、人の教科書を貸すなよ…」
「きょ…兄弟!?」
思わず声をあげてしまった。当然幸くんも智浩くんも私を見る。
「そう。僕は間宮幸浩でこいつが、兄貴の間宮智浩…って智の名前は知ってるよね」
私は幸浩と頭の中に名前をインプットさせた。確かに兄弟と言われれば、長身なところや顔のパーツの所々が似ている。
「教科書返しにきてくれたんだね?無愛想で有名な智の変わりにお礼をいうよ。ありがとう」
「いえいえ、元はといえば私が教科書を忘れたのがいけなかったんだし…」
慌てて教科書を幸くんに渡した。やっぱり無愛想な間宮くんは智くんだったんだ…。
『納得…』
智浩くんはというとムスッとした顔でいるだろうなぁ………と思ったら、その場にしゃがんでいた。
「間宮くん?」
智くんはどうしたのか聞こうと幸くんをみると私の好きなにっこり笑顔で
「“智浩”って呼んであげてよ」
という。幸くんも同じ間宮だから智くんが勘違いして、私の問いかけに答えなかった訳じゃないと思うけど…。
「智浩…くん?どうかしたの?」
私が智浩と呼んだら、智くんの肩がビクゥっとした。すると幸くんはポンっと手を叩く。流石兄弟、智くんのこの状態の訳がわかったらしい。
「あ〜、智〜お前女の子と話てるから照れてるんだ?」
『…そんな事で照れてるの?』
「…照れてない」
『そりゃそうだよね』
「いやいや、照れてるって。この子だから?」
「あり得ないし」
『即答かいっ』
心の中でツッコミをいれた私。いくら無愛想といえども私ごときと話しただけで、照れるわけないっか。ぼちぼち放課が終わる頃だ。
「あっ、そろそろ教室戻らなきゃ!智浩くんも幸浩くんも教科書ありがとうね!」
「どういたしまして!ワックスに注意だよ」
「もう転ばないよ、幸浩くん」
クスクス笑ったら、幸くんも笑い返してくれた。うん、大好きな笑顔!私はなんだかウキウキした気分で、教室へ戻っていった。
皆様初めまして、倖です。ここまで読んでいただきありがとうございます。キャラの名前が出てきましたので、紹介します。
主人公 朝比 恵
間宮幸浩
間宮智浩
です。ちょこちょこと更新しようと思いますので、お付き合いよろしくお願いします。