第2話
背中にちょっとだけ固い感触と暖かさを感じ、私は自分がどうなったのか確かめる為に目をゆっくりあけた。
最初に目にはいったのは、学ランの金色のボタン。
『男の子…?』
目を上にやると窓から差し込む日差しで、髪の毛が透き通っていてミルクティーのような色をしていた。
「…大丈夫?」
男の子が口を開いた。私はぽけっと男の子の髪の毛を見ていた。「ここ、ワックス塗りたてで滑りやすいんだよ」
だから私の走っていた所は誰も通らなかったのか…。
男の子がワックスで滑った私を支えてくれたらしい。
『優しい人だなぁ…』
男の子の手を借りながら私は立ち上がる。時計は残り1分を示している。
「あっ…教科書……」
でも友達に借りてる暇はない。
「君、何組?」
「にっ…2組」
「次は歴史かな?友達がさっきいってたんだ。時間がないなら、俺今持ってるから貸すよ」
そういって教科書を渡してくれた。
「ほら、急いで!今度は滑らないようにね」
私はありがとうといい走りだす、バイバイと手を振ってくれたその子を一度振り返り私はまた元来た廊下を走り出した。
男の子のお陰で授業にはギリギリセーフ。借りてきた教科書の背表紙をみると、
“間宮智浩”
とかかれていた。
『まみや…?間宮…??』
間宮ってあの“無愛想な男子生徒間宮くん”!?どこが無愛想なんだ?私の頭にはハテナマークが浮かんだ。無愛想どころかとっても優しい男の子みたいなのに…。
でも開いた教科書は、人物像だけ落書きがしてあった。《第1話終》