第19話
今回は幸浩視点です
「あれ?めぐは?」
めぐの教室に入ると、その姿はなく隣の席のゆかりちゃんに聞いた。
「あっ、おはよう幸浩くん。あの子まだ来てないんだ」
「えっ、おかしいな…」
いつもの様にめぐを迎えに行ったんだけど、家の前にはめぐの姿はなくておばさんに聞いたら、
「てっきり幸くんと行ったかと思った」
との事で、俺は先に学校に来ているのかと思ってた。
「恵と一緒じゃないの?」
「あぁ…そうなんだよ」
おかしいな…今までそんな事なかったのに。
ゆかりちゃんにありがとうとお礼を言って、教室を後にした。めぐと付き合いだしてから、こんな事ははじめてだ。
自分の席につき、教室やらノートを机に広げる。隣の智はまだ学校に来てないらしい。
俺達は双子なせいか、くじ引きで決められる席も隣になる率が高い。変な所で意識疎通が出来ててはっきりいってなんか嫌だ。
兄弟だけど一緒に登校をするわけではない。だけど見た目に反して真面目なコイツが、俺より遅いのも珍しい。
なんかムカついたから、椅子を蹴ってやった。
「…なにやってんだよ」
この低めで、最高に機嫌悪いですって感じな声は…
「遅いじゃん智」
俺の片割れ。
しっかし今日はいつもに増して不機嫌そうな顔…。双子の片割れなんだから、愛想よくすりゃコイツもモテるだろうに…。
「お前には関係ないだろ」
「なんでそんな機嫌悪いんだよ」
お前には何もしてないっつーの。…椅子は蹴ったけど。
智は椅子に座り、鞄から教科書を取り出した。
それにしてもめぐどうしたんだろ…。黙って学校に行くなんて初めてだし、教室にもいないならどこにいったんだ?
可愛い彼女ですから、心配しますよ。そんなこと思ってたら智が変な事をきいてきた。
「…なぁ、今日恵どこかおかしくなかったか?」
コイツは何故かめぐの事を呼び捨てでよんでる。ちょっと気にくわないってのは、俺の秘密。
それより、その意味深なセリフなんだよ。
「いや、今日はまだ会ってないんだよ」
「えっ…だって幸、お前恵と一緒に登校してるんじゃ…」
俺そのこと智に話したことあるっけ?記憶にないけど、まぁいいか。
「だ〜か〜ら〜、会ってないもんは会ってないの!!」
すると智は
「え゛っ」
って顔した。この顔は驚いてる顔だ。いや、驚きの中になんか後悔みたいなのも混じったような…そんな表情。
「めぐにしては珍しいから、俺も心配してたとこ」
「…そっか」
智はそれっきり黙り込んでしまった。コイツ黙ってるとやっぱ無愛想だわ。
「…昨日なんかあったのかな」
それから昼休み、掃除の時間とめぐを訪ねに行ったけど、やっぱり今日は学校に来てないみたいだ。
「学校にっていうか、教室に来てないみたいなんだ。恵らしき後ろ姿を校庭でみたんだ」
「ゆかりちゃんが見たっていうなら、本当なんだろうね。なんで教室にこないんだろ?」
「………私の勘だけど、昨日何かあったのかも」
「昨日?」
昨日といえば確か…、めぐは宿題忘れて居残りさせられるっていってて、俺は用事があったから先に帰ったんだよな…。
「幸浩くん本人にいうのもなんだけど、あの子最近はマシになったんだよ」
「…何が?」
もしかして、もしかする?
「好きだった人の事を引きずってたの。ショックな事があったみたいで」
ビンゴ。男って鈍感っていわれるけど、俺はそうじゃなさそうだ。
「その人と何かあったのかも…」
…………ちょっと待て、“好きだった人”の名前は直接聞いたことはないけど、誰かはなんとなくわかる。ほぼ間違いないだろう。
だけど、そいつとなんかあったってことは俺としても非常にマズイ。
だって俺は、そいつの気持ちも知ってる。今も変わってないことも。
「幸浩くん、誰のこといってるかわかるよね」
あぁ、わかるよ。奴はいわば俺の分身でもあり一番の理解者でもある、
「昨日この教室から智浩くん?を見たって子がいるんだ」
━━━━双子の兄、智浩だし。