第17話
番外編みたいなかたちで、恵と幸浩の朝の風景をかいてみました。
━━夢を見た。
とてもとても優しい夢。夢の中の私はすごく幸せそうに笑っている。隣には幸くんかな?髪の毛が明るい色した男の子がいる。後ろ姿しかみえないけど、私には誰かわかる。
『夢の中の私、幸せなフリして裏ではは凄く辛そうにしてるんだよ?現実の私はこんなに幸せなのにね』
夢の中の私が男の子にいう。男の子は私を抱きしめて、耳元で何か囁いた。その声は私には聞こえない。
二人は顔を見合わせ、時々クスクス笑っている。
二人はこっちを見た。
『素直になりなよ、あとで後悔するよ』
夢の中の私は確かにそういった。男の子の顔を見ようとすると、突然視界が真っ白になり目覚ましの音が遠くから聞こえた。
『あぁ、目が覚めちゃうんだ…』
夢の中の意識が遠ざかるのを感じながら、瞼を閉じた。
━━━━━ ジリジリジリ
さっきからやかましいかと思ってたら、やっぱり目覚ましか…。音を立ててベルの停止ボタンを押す。
「ふぁ〜〜」
伸びをしながら一発、盛大な欠伸をする。背中がポキポキとなった。
「なんかすっきりしたような、しないような夢見たなぁ」
内容は覚えていない。すっきりしたようなしないような、という感想しかない。
「まっ、いっか」
早く着替えてご飯食べなきゃ幸くんが迎えに来ちゃう。
まだ布団に入っていたい気持ちを堪えて、洗面所へと向かった。
幸くんが迎えにくるジャスト五分前、完璧に準備を終えて玄関の外で待つ。
一回寝坊をして幸くんまでも遅刻にしてしまった前科を持つ私はそれ以来、二度寝は辞め五分前には幸くんを待つようにしてる。何度か危ないことはあったけどね…。
「あれっ?めぐ、今日も早いね」
幸くんも三分前には到着。
「おはよう、幸くん」
「おはよ〜」
彼女の特権、朝から見る笑顔は最高。
「幸くんこそいつも早いよね。私毎朝必死に用意するんだよ」
「女の子の朝って大変そうだもんね。男なんてその点楽だよ。寝癖を直してちょちょい」
「そういってる割には、この辺ウネウネしてるよ」
髪の毛の後ろの部分を触ってみる。
「えっ、嘘」
幸くんは慌てて手で直そうとするけど、手は全然違う箇所を触っていた。
付き合ってから判明したんだけど、幸くん意外とあわてんぼうなところがある。
「ちょっと待って、私クシ持ってるから」
鞄から取り出し髪の毛を直してあげる。柔らかい髪の毛だから、割りと素直に直ってくれた。
「はいっ、完了。男前の出来上がりっ」
「ありがと〜」
幸くんとの登校はいつもだいたいこんな感じ。他愛もない事だけど毎日がとても楽しい。
今朝もこんなふうだったから、すっきりしない夢のことなんて忘れてた。