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無愛想な彼  作者:
15/25

第15話

「………俺はあり得ないと思う」


「えっ…」


私の『知り合ってすぐに付き合えるか』の質問を智浩くんは否定した。


「なんだよ、その質問。告白でもされたのか?」


久しぶりの会話なのに智浩くんの言葉は私の耳には届かなかった。

――――『あり得ない』智浩くんのその一言が、胸を締め付ける。


「…………っ!!」


私は何もいわず立ち上がった。あり得ないとはつまり、私のこともそういう対象には見れないということであり…。


「…幸なら『付き合える』っていうんだろうけどな」


幸くんはね。でも『智浩くん』は?あり得ないの?


「…私、幸浩くんに付き合おうっていわれた…」


「…よかったな。幸みたいに人気者に告白されて。俺みたいな無愛想な奴に告白されるより全然いい」


立ってるから、智浩くんの頭しか見えない。でも今は顔を見られたくなかったし、智浩くんの顔が見れなくてよかった。


私なんか泣きそう。智浩くんの顔みたら涙が溢れそうだから―――。


好きな人に『告白されてよかったな』なんていわれたくない。




私は智浩くんが好き。



知り合って間もないし、数える位しか話した事ないけど好き。きっかけなんてわかんない、でも好きと思ってしまったから止まらない。


「…返事してないんだろ?」


その先のセリフ、なんとなく想像できる。でもお願いだからいわないで。私、貴方だけにはいわれたくない…。


「恵が幸に好意を持ってるのはなんとなく分かってた。…付き合えよ」



空が遂に泣き出した。ポツポツと大粒の滴を落とし、制服に染みを作る。

私の瞳からも大粒の涙が落ちる。気持ちに気付いたのに、早くも終わってしまった。伝える間もなく砕けてしまた。



次の日、私は幸くんに返事をした。もちろん付き合うという返事。

元々好意はあるんだから、好きになれるはず。


「好きになりそうな人はいたけど、告白する前に終わっちゃった。それでもいいの?」


最初にいったけど、幸くんは


「これからそいつ以上に俺を好きになってくれるなら、いいよ」


そういってくれた。

甘い考えだと思った。汚いと思ったけど、それでもいいといってくれた幸くんを好きになりたいと思った。



何より智浩くんへの想いを忘れたかった。

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