第13話
時はあれから、数週間が経った。幸くんから走って逃げて以来、間宮兄弟には会っていない。幸くんはもちろんのこと、何故か智浩くんとも会えずにいた。
会う用事があるとかじゃない。だけど折角話せるようになったのに残念なような…。
でもだからといって、用事がないのに二人に会いに行く勇気はない。
そんな葛藤が続いた。
あの昼休みから習慣が増えた。それは昼休みには決まって運動場を見ること。気持ちにも決着はついていないし二人への感情はあの時から変わることもなく、心の真ん中をズシーンと占領していた。ゆかりは、
「私はどっちかのファンって訳じゃないけど、どっちつかずってのも敵が多いよ」
という。確かにそうだろうけどまだ好きとかそういうのじゃないし、思ってみれば今の私達の関係でそこまで発展するわけがない。
例え私がどちらかが好きでも、二人にそういう感情があるわけない。
ここ数日『二人のどちらかが好きか』という決着はつかなかったけど、『二人を好きになってもただの一人相撲』という結論は出た。
「でも何で昼休み、サッカーしてるのを見てるの?」
「……私が私に聞きたい」
そう、はっきりいってわからない。今はっきり言えるのは『なんとなく見てる』という事。
「…恵の言葉でいうと『幸浩くんには好意を持ってて、智浩くんは気になる存在』?」
…ズバリ言い当ててるし。私の図星な顔で正解とわかったのか、
「中西ゆかり、やりましたーっ!!褒めて褒めて♪」
ゆかりはガッツポーズをしてはしゃぐ。とりあえずよしよししてあげた。
友達付き合い長いけど、たまに発揮される鋭さには驚く。
余りにも大声だったらしく、クラスのみんながゆかりを見ている。
「あんた声がでかいよ」
「ごめ〜ん……あれ?」
「どうしたの?」
ゆかりが私の向こう側に何かを見つけたらしく、固まった。何事かと思い、私はゆっくり振り向いた。
振り向いた瞬間、私も固まった。………思い出される、あの日の昼休み走って逃げた時の恥ずかしさ。私は自分の顔が赤く染まるのがわかった。
――――入り口には幸くんがいた。