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無愛想な彼  作者:
12/25

第12話

「はぁはぁ……」


肩で息をするほど全力で走ったみたい。屋上に慌てて来たものの、幸くんにバレバレだろう。

『好き』とハッキリしてたならまだよかったんだろうけど、生憎今の段階では『好意を持ってる』くらいしか思ってなくて、正直次に会うのが複雑な気分。


「なんで逃げたんだ、自分…」


自分のアホさに呆れる。好意を抱いてることがバレたうえに、走って逃げるという失礼な行動は複雑な気分に拍車をかけた。

「あっ…お昼ご飯食べなきゃ…」


どんなに失敗をしても腹は減る。早く制服を返さなきゃと思ってたから、ご飯は食べてない。ご飯のことを思い出したらぐぅ〜っと音が鳴った。

『腹が減っては戦はできぬ』じゃないけど、取りあえずお腹を満たしてから考えよう。


ドアを開け校舎に入ろうとすると…、


「ちょっと待って、開けてて」


沢山の荷物で両手が塞がれた男の子が、階段を登ってきた。今から屋上でお昼食べて、みんなで遊ぶのかな?

私は男の子が屋上に出るまでドアを開けたまま待った。


「ありがとう、助かったよ」


そういってはにかんで笑った顔が、この前みた智浩くんの笑顔に似ていた。




教室に戻るとクラスのほとんどがご飯を食べ終え、友達と話したり遊んだり本を読んだりしていた。隣のゆかりはというと、


「あんたは男子生徒かよ」


ツッコミたくなる様な格好で寝ていた。

席につきお弁当を広げる。唐揚げにポテトサラダ、今日のメニューは私の好きなものばかりだ。


「…ん〜…もう食べれない…」


匂いに反応して、マヌケな寝言をいう私の友達。なんか一気に疲れちゃった…。


お腹も一杯になり、弁当箱を片付ける。いつもご飯の後はゆかりとお喋りだから、今日はやることがない。

少し考え私の席は窓側だから、外を眺めることにした。


運動場ではサッカーをしている男の子達、木の木陰でお喋りしている女の子、今登校してきたらしき眠そうな生徒と色々な人達がいる。

パッと見何十人といるのに、なんでわかってしまうんだろう。


「あそこでサッカーしてるの、間宮兄だよね」


ゆかりが欠伸しながらいった。


「あんた起きてたの?」


「隣で何回もため息をつかれたら、起きちゃうよ」


「そう…」


そんなにため息ついてたんだ?

サッカーをしている集団の中に確かに智浩くんがいる。周りは知り合いばかりなのか、時には笑顔を時には悔しそうな顔を見せながら楽しそうにサッカーをしていた。


「………知ってる?間宮兄って男の子達といるとあんな表情を見せるから、昼休みにわざわざ運動場に出て見にくる女の子いるんだって」


だから木陰に女の子達がいるのか…。よく見ると智浩くんの方をみて、何やら言っている。

…『知り合いにしか見せない笑顔』は簡単に他の女の子達にも見せてるじゃん。


「智浩くんも人気者なんだね…」


私はなんだか面白くない。


『知り合って間もない女の子を呼び捨て呼ぶって、特別な感じだな』


といった智浩くん、


『知り合いの少人数しか』


といっていたのに、しっかり大人数に見られてるよ。

『特別な感じ』がするなら、私にだけ特別にして欲しかった。

知り合って間もないのに、なんだかヤキモチやいてるみたい。


「おっ、なんか自覚したな♪」


ゆかりの意味深なセリフ。

でもまだ幸くんの事もあり、気持ちには決着はつかない。


………つけるのが何となく嫌だった。

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