第10話
なんとな〜く気まぐれで、クラスの女の子達を避けるようにしてきた屋上なんだけど、実は今回来るのが初めてな私。
ドアを開くと、今までよりもちょっとだけ近くなった空が広がっていた。今日は雲一つない晴天だ。
「ん〜っ」
さっきの緊張もあってか縮こまっていた背中や肩が、思いっきり伸びをしたらポキポキなった。
授業をサボるのって初めて。
「お昼寝でもしよっかなぁ」
入口から死角になるところによいしょと座った。壁にもたれてぼ〜っとしていると本当に眠くなってくる。
「……すぅ…」
いつの間にか夢の中へ落ちていた。
私は走っていた。7組にいる友達に教科書を借りるために。
でも何故か私の走っている直線上は誰もいない…。構わず走り続ける私。
『あっ…あの時の』
そう、間宮兄弟に初めてあった時の夢だ。
『このまま行くと、また転んじゃうよ!!』
走る軌道を修正したいところだけど、私の体は思い通り動かない。
なのにどんどん進んでいく。
『こけちゃうよ〜っ』
そう思った矢先、夢の中の私の視界は反転した。この前同様背中に痛みを感じることはなく、かわりに温かい腕が私を支えてくれていた。
『幸くんかな…?』
また幸くんに助けてもらったかと思って、支えてくれてる人の顔を見ようと顔を上げるんだけど、逆光が眩しすぎて顔どころか首から上が影になって見えない。
『逆光でミルクティーみたいな髪の毛見れな〜い!!』
今度は体全体を温かさが覆いはじめた。あの時はなかった温かさ…。夢の中の私の意識は遠くなり、眠りから覚醒しようとしていた。
『また幸くんに助けてもらっちゃった…』
覚醒する寸前うっすら見えた夢の人は、顔を赤くしはにかんだ笑顔で私の前髪を整えてくれた。
目を醒ますと私のいるあたりは日陰になってて、朝は心地よかった風がちょっと冷える。
「…今何時?」
ポッケから携帯を取りだそうと手を動かすと、肩にかかっていた何かが落ちた。
男の子の制服の上着だった。
「誰の?」
制服の内側の名前がかかれているところを見るとそこには、
―――間宮
と書かれていた。
読んでいただき、ありがとうございます。
久々の更新でした!なんとな〜く見えそうな展開だったような…。次作は早めに更新できるように頑張ります!