帰還
僕の未来を預言するために高名な預言者がやってきた。
祖父はご機嫌な様子だった。
「アシタさま。どのような結果が出ましたでしょうか?」
「この子は父親を超えることはできないだろう・・・。ただ、父親が持っていないもので父親を超えることができる・・・」
祖父は明らかにがっかりしたようなため息をつく。
しかし、僕の心は違った。
父を超える・・・。
父と会ったことのない僕には父がどのような人かがわからなかった。
素晴らしい人間だとは聞かされていたが、そもそも自分の子供を捨てるような人間のどこが素晴らしいのだろうか?
それから数日が経って・・・。
城の中が騒がしくなった。
「どうしたのだ」
「あ、王子。お父上が戻られましたよ」
今更・・・?
「立派なお姿になられて」
涙ぐむ侍女たちを尻目に僕は父のところへと向かう。
「やあ。はじめまして、かな?ラーフラ」
そこにいたのは自分に全く似ていない優男。
質素な格好をしている。
「ラーフラ。不思議だな。自分の子供か」
ラーフラは父の目を見る。
その目は全てを超越していた。いい意味でいえば、何にも動じない、悪い意味でいえば、何も感じていない目。
「・・・母は亡くなりました」
「そうか・・・」
やはりその目に感情が浮かぶことはなかった。