Intermezzo Ⅲ―A Trio Scene①―
ショートポエム系のサイドストーリーです。
本編には直接関係ありませんが、読むと登場人物達の心情がわかります。
次話へ行く為の補足と思ってください。
一人・二人・三人のシーンを色々交差して載せています。
「……ユリはどうだ?」
『……よくないわ……』
「人間には日の光が必要、か……」
『そんな事も気付かなかったなんて……馬鹿ね』
「まったくだ」
「で……えーっと、外に出られてとても嬉しいのですが……なぜお二人まで?」
「気にするな。たまには俺も直に海を見たくなっただけだ」
『気にしないで。私はあの城嫌いなの』
よくわからないけど……久々に城から出られて嬉しかった。
どこかは知らないけど、目の前には広大な海が広がっている。
気持ちがスーッと軽くなる。
決して病むつもりはなかった。でも、あの暗く広い空間にいると、自然と体力が落ちていった。
「海は……綺麗だな」
『私は森の方が好きだわ』
真っ黒な二人がこの場所にいるのに、かなり違和感を感じたけど、嬉しかった。
私の身を案じて連れてきてくれた。
きっと心配して、側にいてくれる。
直接心配の言葉をかけてくれる事はないけど、その気持ちは十分伝わっています。
望んではいけないこと。期待してはいけないこと。
二人の事を想うなら、望んではいけない。
でも、でも今だけは、望ませて……。
この時が、ずっと続けばいいのに……。
このまま、ずっと二人の側にいさせてください。
このままずっと、三人の時が……ずっと続いて欲しい。
カリスト様、ルリア様……そしてリキア様。ごめんなさい。
帰ったら、また頑張ります。一生懸命探します。
だけど……今は、今だけはこの時が止まって欲しい……。
そう望まずにはいられない……。
ユリ×カリスト×ルリア