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冥界  作者: 尾花となみ
EpisodeⅣ 冥界の幻想曲
16/21

Fantasy Ⅴ

1ヶ月以上開いてしまってすいません。

体調が悪くパソコンの前に座っているのがちょっとつらいのですが、少し落ち着いたので、どうにか進めたいです。


Fantasy最後ですが、なんだか説明臭くなってしまいました。

ちょっと短いそして暗い……。

 暗い城の中、今は二人の男女しかいない。

 カリストはいつもの様に椅子に座り、ルリアはいつもとは違ってカリストの正面に立っていた。


『……泣きつかれて寝たわ……』

「……そう、か……」

『……それで?……』言葉少なくルリアは腕を組んだまま顎をしゃくる。


「…………」カリストはその態度を受けて顔を伏せる。堂々と椅子に座っていたわりにその姿はなぜか小さく見える。

『だんまりはやめて。アリアはどこ?』

「……眠りについた」


『それはユリとは違う意味の眠り?』ルリアがそう言うとカリストは無言で手を上げる。

 するとどこからか大きな球体の物体が宙に現れる。それはまるでシャボン玉の様に重さを感じず浮かんでいる。

 そしてその中に膝を抱え小さく座った状態のアリアがいた。その瞳は閉じられている。


「……本人の意思だ」ルリアが言うより早くカリストは言うと、再びアリアをどこかに消す。

『……言い訳がましいこと。アリアは遠慮したんでしょ。私たちの前にまだアリア状態の自分がいることに』


「…………」

『ユリの様子を見てくるわ』反論もしてこないカリストに憎々しげな視線を投げると、そのまま踵を返す。カリストは出て行ったルリアの方へ視線を送りながらついため息が漏れた。


 アリアの説明は正直的を得なかった。本人が分かることだけだった為なのか、自分がリキアの器として存在している事。リキアの記憶を持っている事。自分と同じ様な人が後二人いると言う事の三点しか分からなかったのだ。


 自分が器と言う以上、他の二人も何かしらの役目を負っている事は確かなのだが、それが何かはアリアも知らなかった。

 だがアリアは他の二人の事は会えば分かると言っていた。そしてその二人も自分と同じ様に記憶を持っているはずだ(・・・)とも言っていた。


 だがそれ以上の事をアリアは沈黙した。その理由はカリストもルリアもなんとなく分かっていた。

 そしてその事に二人とも敢えて聞き出そうとはしなかった。いや、正確には詳しく聞く事に躊躇いがあったのだ。


 カリストはついまたため息をつく。アリアの話はいまいち的を得なかったとは言え、今まで見えなかった部分が少し見えるようにはなった。

 自分の不可解な気持ちにもしっかりと理由がついた気がする。


 だが心が晴れ渡ったとはとても言えなかった。それ所か余計な感情が芽生えてしまい苦しい……。

 いつかは訪れると分かっていた別れが、自分の思っていたものとはまったく違う別れになってしまう事に隠し切れない衝撃を受けてしまっている。


「……どうかしてる」独白するが、それに反応してくれる相手は誰もいなかった。


 アリアは自分から意識を遮断して眠りにつきたいと言って来た。

 ルリアの言う通りカリストやルリアに遠慮している部分はあると思う。カリストはアリアをリキアと認められないようにルリアもきっと認められないだろう。


 器がリキアでも中身はやはりアリアなのだ。その状態で傍にいられても正直苦しむのは目に見えていた。

 きっと冷たい態度を取ってしまう。そしてそうなったら自分達以上に苦しむのはアリアだ。


 リキアとしてもアリアとしても受け入れて貰えない状態に耐えられるだけの気力が今はなかったのだろう。

 それがわかっていたからアリアが眠りたいと言った時、反対もせずにすぐに優しくて温かい眠りへと誘ってやった。


 ルリアもその経緯は分かっているだろうに、それでもカリストに対する風当たりが強かった。

 カリストとしては心の違うリキアは認められないがルリアは違うのだろうか。


 リキアを女性として愛している自分と、妹として愛しているルリア。包容力が違うのか。

 例えるなら記憶を失った相手に対して自分はきっと悲しんで嘆いて暮れて力がなくなってしまうかも知れない。

 だがルリアはきっとそんな状態の彼女を守ろうと心を強く持って接するのだろう。悲しみは横に置いておいて、彼女を甲斐甲斐しく世話するに違いない。


 そこまで考えてカリストは笑った。馬鹿らしい。その違いは愛の違いなどではない。きっと人の違いなのだ。ルリアは自分とは違って本当はやっぱりとても優しいのだ。

 自分の愛したリキアと同じ様に強くて優しい。そしてユリとも同じ様に……。


 そう瞑目してカリストは首を振る。色々な事を考えるべきではないかも知れない。たまには昔のように思いのまま突っ走るべきなのかも知れない。

 だが、そうは思ってもカリストは動けなかった。新しく増えた悩みに囚われ思考が同じ所を巡りまった動いてはくれなかった。


 カリストは何度目が分からないため息をつくと遠くの部屋に気持ちを飛ばす。

 眠っているだろう彼女を思ってカリストはまたため息をついた。

中途半端ですが、これでFantasyは終了です。

次は続けて新章と思っていましたが、もしかしたら間奏曲(Intermezzo)を入れてしまうかも知れないです。

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