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獄炎の姫君〜失意の底で何を思ふ〜  作者: 蕎麦粉


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帝国編 6.龍は呪術に跋扈する

こんちは!書きためてた小説を大放出いたします!

みんな大好きご都合主義なろう世界へ!レッツゴ〜!

長が一歩前に出ると、輪になったローブの影が静かに道を開けた。火の光がその顔を鋭く浮かび上がらせる。


「貴様、なぜここに?」


問いは鞘の一振りにも等しい。声には命令も正義も無く、ただ事の筋を決める冷たさがあった。


レイアは刀を腰に下ろしたまま、無表情に答える。声には感情が乗らない。


「同業のものが燃やされかけていた。止めるべきだと判断しただけだ。」


長は軽く笑った。掌を開き、祭壇へ向かってゆっくりと手を振る。

「止めた? あれは供物だ。邪神様に捧げる儀式だ。見てしまった以上、お前も穢れ――生かしてはおけぬ。」


その言葉と同時に、長の袖から無数の紙札が舞い上がった。紙片はやけに静かに宙を滑り、空間に絡みつくように広がる。触れた瞬間、レイアの肩先が一拍遅れて重くなった。魔術とは違う。理詰めの詠唱ではなく、何か古い型が身体を縛る――それが何かをレイアは即座に理解できなかった。ただ、反応が鈍る。


長は淡々と告げる。


「これが呪術だ!言葉と印で穢れを縛り、祀る力を呼ぶ。儀式は神聖でなくてはならない。しかし…お前が…お前が邪魔をしたから…!お前が見た時点で――お前も供物だ」


言葉を聞いたとき、レイアの身体は呪いめいた重みに触れた。しかし彼女は迷わない。動きの無駄を削ぎ、刃先の角度を変える。札の群れが切り裂かれるたびに、呪の縛りが一瞬ほどける。


ローブの者たちが一斉に襲いかかる。だが彼らの動きは均質で、どこか拍子が決まっているように思えた。しかし、迷宮で見たような完璧なものではなく、ただ襲ってきている…さほど脅威には感じなかった。


札が撒かれる度にレイアの手足が数瞬止まるが、どうと言うことはない。刃を振るうたびに小さな悲鳴が上がる。長は呟き、別系統の魔術めいた力を空間へ投げる。黒い渦が手元に集まり、空気を濁らせるように向かってくる。


最初、レイアは戸惑った。呪いの拍子は魔術と違い不規則だ。脳の反射が一瞬遅れて、刃筋が乱れかける。


だが彼女はすぐに場を読み、対処する。札の来る方向へ刃を振り、紙片を焼き裂く。長の詠唱の合間を見て踏み込み、先鋒の首筋を刎ねる。


血が飛び、札が燃えるように崩れ落ちる。


「効くか?」長が低く言う。問いではなく確認だ。


レイアは答える間を取らずに動く。斬り込みが速くなる。呪いの網目を刃で断つことで、彼女は術の輪を隔離する。


長が次に放ったのは拘束の紋ではなく、精神を揺らす波のような術だった。レイアの視界が僅かに揺れ、指先の感覚が薄くなる。


呼吸の間合いが狂って、刃の戻りが遅れる。だがそこに、彼女の戦闘がある。彼女は一瞬、足を止めて視線を切り、刃を顔面近くで回しながら間合いを詰めた。短い踏み込みで長の脇に入り込み、右腕を斬り飛ばす。肉の音がして長が呻く。


長は驚きに顔を歪める。呪術の籠を信じていたのだろう。だが信じていたものが裂けると、人は本能で怖気づく。長は左手で次の札を振ろうとするが、レイアは躊躇せず二閃目を入れた。


左腕も消え、長は膝をつき、地に沈む。意識が薄れてゆく瞳が蜃気楼のようだ。


それを見た瞬間、村の空気が変わる。忠を以て仕えた者たちは、長の声に従っていた。だが長の両腕が切り落とされ、彼が完全に敗北したことが明らかになるや、初めてその忠誠はそれを倒した者、すなわちレイアへの恐れへと変わる。


口々に息を飲み、何人かが後ずさる。だが忠誠は根深く、一瞬は動かない。次いで、恐怖が一気に噴き出した。


「もう終わりだ…」誰かがポツリと呟いた。


ローブの裾が走り出す。長を中心に固まっていた群の中から何人かが狂乱したかのように森へ逃げ出そうとする。


だがレイアは見逃さない。逃げる背に容赦はしない。指から鋭く、それでいてみたものを恐怖させるような漆黒の炎を放つ。


悲鳴が森に吸われ、二人目の背が地に倒れる。自決を選ぶ者には手を出さなかったが、逃亡を図る者には鉄槌の如く対処する。


「ここで決めろ。生きるか、死ぬか」


レイアの声は冷たく、命令であり宣告だ。幾人かが膝をつき、顔を地に伏せる。ある者は茫然と茂みに消えようとして、刃が一閃して沈む。炎はもうここでは長の道具ではない。刃が炎を伴い、逃走路を断つ。


長は呻きながら目を翳し、レイアを震える眼差しで見上げる。恐怖が彼の顔を覆い、かつての威厳はもうない。「ゆ、赦してくれ……」その声はただの哀願だ。レイアは短く肩越しに言う。


「終わりだ。」


だが、それは形式の言葉でしかない。彼女は長を広場の中心にに引きずり、両腕のない体を地に伏せさせた。誰も子供の姿を問わない。村は人為的に組まれていたかもしれないが、今は断片だけが残る。


火と呪と刃の残響が冷めゆく。村人たちは震え、ある者は自らを終わらせた。逃げた者の遠い悲鳴が木々の間で消えていく。レイアは刀を拭わず、ただ立ち尽くす。呼吸は浅くもない。冷静さだけが彼女を包んでいる。


「さて、次は私の質問に答えてもらおうか」


問いはもう役割を失っている。森に残るのは答えなき沈黙と、これから刻まれる新しい名前だけだった。

さてさて!楽しんで頂けましたでしょうか!おもろいやん!頑張ってくれぃ!等のお気持ちがあればぜひ評価の方お待ちしております!それではまた次回お会いいたしましょう!

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