帝国編 3.龍の身分変更
こんちは!書きためてた小説を大放出いたします!
みんな大好きご都合主義なろう世界へ!レッツゴ〜!
獣の断末魔が短く響いた。
華焔の刃が脚を裂き、体勢を崩した魔物の首をサクリと切り取る。
魔物の体が倒れ、土煙が舞う。
静寂。
「……はぁ、はぁ……」
デニーが膝に手をつき、荒く息を吐く。
ノーラは額の汗を拭い、じろりとレイアを見る。
バートンは杖を下ろし、詠唱の余韻を断ち切った。
「……助かった」
バートンが静かに言う。
レイアは剣を鞘に納める。
「……手伝っただけ」
素っ気ない返答だったが、嘘ではない。龍人以外の純粋な「人間」と話すのは生まれて初めてだった。
ただ、胸の奥がまだざわついている。
「いや、マジで危なかったって」
デニーが顔を上げ、にっと笑った。
「礼させろ。その感じだと冒険者だろ?ゴルンに戻るんだったら飯くらい奢らせてくれよ」
レイアは一瞬だけ迷う。
人と並んで歩くことに、まだ慣れない。
だが、腹の奥が小さく鳴った。
「……少しだけ」
「よし来た!」
デニーが勝手に決め、ノーラが肩をすくめる。
「変なの拾ったなあ、あたしら」
森を抜ける道は緩やかに続いている。
歩きながら、三人は自然と話し始めた。
「いやーあの魔物なんかおかしいくらい強かったよなぁ」
「ほんとほんと!あれただのウォーウルフでしょ?Dランクのあたしらなら余裕で対処できたはずなのに」
「我々も慢心していたということなのだろうな…」
3人の会話にレイアが少し混ざる。
「ここは…どこなの?わたしバルバドス帝国を目指して旅してるんだけど…」
「ここらは東大陸だな」
バートンが言う。
「今のところ世界で大陸は三つ存在してんのよ。東、中央、西」
ノーラが補足する。
「東の最大勢力がバルバドス帝国。帝都がそのど真ん中にあるのさ!腕利きの冒険者!帝国騎士団!その中枢は第55代皇帝、ハミルトン3世様さ!」
デニーが大げさに腕を広げる。
レイアは黙って聞いていた。
「中央大陸はザルム教…世界中で最も信仰されている宗教の本拠地。信仰が強い土地だ」
「西は暗黒大陸って呼ばれてる。まあ、ほとんど伝承だけどな」
「東にも国はいくつもあるぜ。ロンヌ王国、パリース諸国連合。帝国だけが全部じゃない」
言葉が次々に落ちてくる。
地図はない。
だが、十分だった。
「……」
レイアが何も言わないのに気づき、ノーラが眉を上げる。
「まさかと思うけど、知らなかったのか?」
「……村の外のことは、ほとんど」
ノーラは一瞬黙り、次に吹き出す。
「お前ほんとに外のこと何も知らないんだな」
嘲りではない。
半分は呆れ、半分は面白がっている声だった。
デニーが笑う。
「いいじゃねえか。伸びしろだらけだ」
その言葉に、レイアは少しだけ視線を上げた。
胸の奥が、ほんの少し軽くなる。
やがて森が切れ、城壁が見えた。
石造りの門。
行き交う人々。
荷馬車。
喧騒。
「ここはゴルン。帝国辺境の地だが魔の山に近いということでかなり防衛に寄った都市になってるな」
バートンが静かに言う。
門番が視線を向ける。
「通行証を出してもらおうか」
デニーは胸の徽章を見せる。
「冒険者だ」
門番は一瞥し、通した。
ノーラとバートンも同じ。
そして、レイアに視線が向く。
「通行証は?」
言葉が詰まる。レイアの持ち物はほとんどなかった。華焔と、少しの服、その程度であった。
デニーが振り返る。
「ギルド行きゃぁ、冒険者登録できるしそしたらここは無料で通れるようになる。俺らも昔使ってた新人寮もあるから、生きるのに苦労はしねぇさ!今回だけ俺らが払っとくな!これも礼のひとつってことで!」
冒険者組合支部は、門から少し歩いた先にあった。
木製の扉と、小さな看板。
中へ入ると、受付の女性が顔を上げる。
「あら?デニーさんたち帰ってきたんですね。お帰りなさい。そちらのお嬢さんは?」
落ち着いた声。
「こいつの冒険者登録をしてほしいんだ!さっき助けてくれたやつでよ!あんま世間様のことはよくわかってねぇみたいだからそこんところよろしく頼むぜ!」
「では少しだけ説明をさせていただきますね。ここは冒険者組合です。冒険者とは言っても街の依頼主様たちから寄せられた依頼を受けたり、私たちギルドが緊急事態として依頼を出したりしますのでそれを受託、そして解決していただいてその分のお金をお支払いします」
事務的だが、冷たくはない。
「冒険者になれば、あの通行問の通行も保証されます」
レイアは黙って華焔に触れた。
ここから先へ進むためには、形が必要だ。
「……登録します」
声は小さい。
だが、迷いはない。
「では、明日の朝。試験場へいらしてください。あなたがどういった方なのか諸々含めて少し精査させていただきます。」
受付は書類を差し出す。名前などの簡単な書類だった。
外へ出ると、ゴルンの街は夕暮れに染まり始めていた。
屋台の匂い。
人の声。
生活の音。
デニーが振り向く。
「ほら、飯。約束だ」
レイアは小さく頷いた。
自分がどこにいるのか。
東大陸。
バルバドス帝国の辺境都市ゴルン。
何も知らなかった世界が、ようやく輪郭を持ち始める。
その夜、レイアは初めて、
“外の世界で生きる”という選択を、確かな形で踏み出した。
さてさて!楽しんで頂けましたでしょうか!おもろいやん!頑張ってくれぃ!等のお気持ちがあればぜひ評価の方お待ちしております!それではまた次回お会いいたしましょう!




