襲来編 1. 里とは
こんちわ!趣味で書いていた小説が溜まってきたので本日から投稿させて頂きます!1日に1.2話ペースで投稿させていただきます!
ではでは!皆様!なろうご都合主義の世界へ〜!!!
龍人の国・艶桜は、春になると息をひそめたように美しくなる。
山から吹き下ろす風は柔らかく、城下に広がる桜は、まるで里そのものを守る鱗のように咲き誇っていた。
城の中庭で、1人の少女が木剣を振っていた。
小さな手で握る剣は、まだ彼女の腕には少し重い。それでも歯を食いしばり、何度も振り下ろす。
「……レイア、また肩に力が入りすぎてる」
背後から、低く落ち着いた声がした。
85代目お目付け役、ラヴァガンだった。老いた龍人の身体には無数の傷が刻まれているが、その立ち姿には一切の隙がない。
「だって、ちゃんと振らないと当たらないじゃん」
レイアは振り返らずに言った。
「当てるために振るものではない。剣は当たる位置に置くものだ」
「それができたら苦労しないっての」
木剣を下ろし、レイアは不満そうに唇を尖らせた。
ラヴァガンはため息をつきつつも、声は柔らかい。
「まぁそう焦るな。たかだか十年生きた程度で、当主になれるわけがない」
「でもさ」
レイアは剣先で地面をちょんちょんとつつきながら言った。
「父さまは、もっと小さい頃から強かったんでしょ?」
その名を出した瞬間、ラヴァガンの目がわずかに細くなる。
「……ああ。あの方は、当主様は生まれつき別格だった。後にも先にも私が最初に見た時に震えた龍はあの方だけだ。」
「やっぱり。じゃあさ、わたしには無理じゃん。」
「私が無理だと思っていたなら、ここには立っていない」
ラヴァガンは一歩前に出て、レイアの剣を軽く叩いた。
「レイア、お前はお前のやり方でいい。ドラム様と同じになる必要はない」
「それって、弱くてもいいってこと?」
「違う」
即答だった。
「強さの形が違うという話だ」
レイアは少し黙り込み、それから小さく笑った。
「ラヴァガンって、たまに難しいこと言うよね」
「長く生きると、そうなる」
そのやり取りを、城の縁側から眺めている二人がいた。
当主ドラムと、その妻イリジャである。
「相変わらず、ラヴァガンは容赦がないなぁ」
ドラムが首の後ろをポリポリとかきながら言う。
「でも、あの子はちゃんと聞いてるわ。」
イリジャは穏やかに微笑んだ。
「叱られても、逃げないもの。私がなにか言うとすーぐ里まで降りていこうとするどこかの当主様とは大違いだわ。」
「…ぐっ」
艶桜最強の龍人といえど妻には頭が上がらないのである。
視線に気づいたレイアが、ぱっと顔を上げた。
「父さま! 母さま!」
走ってきた娘を、ドラムは片手で抱き上げる。
「どうだ、稽古は」
「うーん……疲れた。でも、ちょっとだけ上手くなった気がする」
「気がする、か」
「だって、ラヴァガンがすぐ小言を言うんだもん」
「事実しか言っていない」
ラヴァガンがため息混じりに答える。
イリジャはくすりと笑い、レイアの髪に付いた桜の花弁を取る。
「このあとはみんなで里に行きましょうか。今日はお祭りの準備の日よ」
「ほんと!? 笛持ってく!」
「レイアったらはしゃいじゃって。走らないでー。転ぶわよ」
城下は活気に満ちていた。
屋台の木枠を組む者、酒樽を運ぶ者、子どもたちの笑い声。
レイアは目を輝かせながら歩いていた。
「姫さま、これ見て!」
里の少年が、粗く削った笛を差し出す。
「え、なにこれ」
「昨日作ったんだぁ。音も出るんだい!」
「ほんと?」
レイアが吹くと、少し外れた音が鳴った。
「あはは、変な音!」
「でも出たでしょ!」
周囲に笑いが広がる。
その光景を、ドラムは少し離れた場所から見つめていた。この光景がずっと続けばいいのに。続いていくだろう。みんな心の底でそう思っている。
なぜだか今日は胸の奥に、説明できない違和感がある。
空が、妙に静かだった。
――風が、止まっている。
次の瞬間。
里の外れから、轟音が走った。
地面が跳ね、空気が裂け、桜の花弁が嵐のように舞い上がる。
悲鳴。怒号。混乱。
白煙の向こうに、ひとりの男が立っていた。
金色の髪、感情のない瞳。人の形をしていながら、人ではない何か。
その存在を、まだ誰も知らない。
いずれ使徒と呼ばれる金色の悪魔。
ただ、艶桜の春が、ここで終わったことだけが確かだった。
さてさて!第1話いかがでしたでしょうか!
おもろいやん!頑張れあんちゃん!てな気持ちで評価いただけると筆者は喜びますゆえぜひぜひお願いいたします!
それでは次回またお会いしませう!




