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アジサイ

作者: さとう


しとしとと、雨が降っている。

梅雨は嫌だ、じめじめするし、傘を差さないといけないし。


「ねえ、どこ見てるの?」


ファミレスに一緒に来ていた彼女に声を掛けられる。


「…外。」

そう短く答えると、あー…雨すごいもんねぇと彼女が返事をした。

呑気な返事がすごく腹が立った。


「…で、もう三回目の浮気だけど?」

イライラした気持ちが声に乗る。


「……そうだね」

すんなりと認める彼女にさらにいらいらした。

なんでこんな女と付き合ってるのだろう、三回も浮気をされてまで。

ごめん…と小さく彼女が謝った。


彼女が悪いのは明らかなのだが、毎回そう申し訳なく謝られると

僕はなんだか僕の方が申し訳なくなって許してしまうのだ。


だって僕が好きなのは自由奔放に笑ってはしゃぎまわる彼女だからだ。

でも、でも、さすがに三回目は許せそうになかった。


4年付き合って三回浮気されて、僕はもう疲弊してしまった。


彼女が外を見る。

そのまま僕に別れよっか。といった。


お前がそれを言うのか、という気持ちと共に涙が出そうになって

ぐっと堪えた。鼻の奥がつーんとする。

上擦った声で、うん。とだけ答えた。


4年、付き合ってこんなにもあっさりと終わるのか。

楽しかった気持ちと浮気されて悲しい気持ちがごちゃ混ぜになって、

僕も顔を外へと向けた。


「…紫陽花の花言葉って知ってる?」

唐突に投げかけられた質問にびっくりして知らない。と答える。

彼女は顔を外へと向けたまま、だよねと笑ったかのような声で言ってすっと立ち上がり

お金、ここに置いとくねと行ってしまった。


僕は去っていく彼女の背中を見るのが怖くてしとしとと降る雨の中、

咲いている紫陽花をただ見ていた。








紫陽花の花言葉は色々ありますが、このお話では

僕=「辛抱強さ」 彼女=「移り気」、「浮気」、「無常」

と、捉えていただけたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
なんとまあ…(・口・)・・・ う〜ん(笑 なんと悩ましい作品でしょう(笑 ありがとうございました♡ ★瑞月サマの活動報告からきました
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