表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

6 任務後(帰り道)

精霊の怒りが収まり、静寂が戻った廃屋の中。

木々のざわめきが遠くからかすかに聞こえ、かすかな風がカーテンを揺らしている。

夕暮れの柔らかな光が窓から差し込み、二人の影を床に長く伸ばしていた。


朱音は霊衣の一部をはだけさせ、額にかいた汗を手の甲で拭いながら、いつもより少しだけ真剣な表情で紫乃を見つめた。

「……助かったよ。お前の“目”、本物だったな」


紫乃は胸の鼓動を感じながら、顔を少し赤くして視線を伏せる。

「そっちこそ……あんなふうに精霊と向き合うなんて、すごいと思いました」


その言葉に朱音はふっと微笑んで、眉間の力を抜いた。

「褒めるのうまいな。俺が惚れるぞ?」


紫乃は一瞬、驚いたように顔を上げたものの、すぐに慌てて目を逸らす。

「っ……そ、そんなつもりじゃ……!」


朱音はじっと紫乃を見つめ、意地悪そうに片目を細めてにやりと笑った。

「……照れた。可愛いじゃん」


紫乃の頬はさらに熱を帯びて、呼吸が少し早くなる。

彼女は言葉に詰まりながらも、胸の奥で何かがじわりと温かく広がるのを感じていた。


外からは鳥のさえずりが聞こえ、二人の間に漂う甘く静かな空気が、まるで時間を止めたかのようにゆっくりと流れていく。


朱音はそんな紫乃の様子を楽しむかのように、軽く肩を叩きながら言った。

「おい、もうちょっと素直になれよ。お前のこと、もっと見たいんだから」


紫乃はくすぐったそうに笑みを漏らし、心の中でそっと呟いた。

(ほんとにもう、朱音先輩ってば……!)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ