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2 野営地・夕暮れの森の中

朱音は作業台の前で、薬草を丁寧に仕分けていた。

その手つきは手慣れていて無駄がなく、だがどこか雑さも混じっている。

部屋の静けさに包まれながら、彼の声が低く響いた。


「コアが“視える”っての、本当か?」


紫乃は朱音の声に緊張しながらも、背筋を伸ばして答える。

「……はい。でも、体力をすごく使うので……何度もは……」


彼女の言葉には、まだ自分の力に自信が持てない弱さと、負担の大きさへの戸惑いがにじんでいた。

朱音はそれを聞いて、ふっと微笑んだ。


「なるほど。じゃあ本番は俺がカバーするから、お前は“目”に集中して。期待してるよ、バディ」


その“期待”という言葉には、軽い口調の裏に隠された責任感と信頼が含まれていた。

紫乃はその言葉に胸が少し熱くなるのを感じたが、同時に戸惑いもあった。


「……バディって、そんな軽く呼ぶものなんですか?」


紫乃の問いに、朱音は薬草を仕分ける手を止めずに、柔らかな微笑を浮かべて答えた。


「“軽い”って思うかどうかは、お前次第。……でもな、俺はバディのこと、ちゃんと見るよ」


彼の言葉は、飄々としているようでいて、芯の強さが滲み出ている。

その“ちゃんと見る”という言葉に、紫乃は胸の奥でじんわりと温かさが広がるのを感じた。


二人の間に流れる静かな時間。

緊張と期待、責任と信頼が交錯し、まるで深い海のように揺れていた。


朱音の視線がふと紫乃の目に向けられる。

そこにはまだ不安が残るけれど、確かな決意も宿っていた。


「……よし、これから一緒にやっていこう」


そう言いながら、朱音は仕分けた薬草の束を軽く振り、笑みを深めた。


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