表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

13 朱音サイド:過去に向き合う覚悟

一晩中、朱音は動き続けた。


紫乃が霊的に転移された痕跡を辿り、感情精霊の波長を追って、山中の旧神域へ足を運ぶ。

そこは、かつて彼が浄化に失敗した精霊の封印地──封じたはずの“痛みの残響”が、いまだ残っていた場所だった。


彼の記憶の中には、ひとりの少女の姿が焼きついている。


まだ“バディ”という意味を知らなかった頃、朱音は「任務」を優先し、対話を途中で断った。

その精霊は、消滅というかたちでその想いを断ち切られた──と、彼はずっと思っていた。


けれど、それは“断ち切った”のではなく、“押し込めただけ”だった。


「逃げたんだ、俺が……怖かったんだよ。あのとき、心を預けるのが」


朱音は拳を握りしめる。

目の前の空間に、霊具を構えた。自身の霊衣を強化し、転移の術式を組む。


「でも、もう逃げない。紫乃は……俺のバディだ。守るって決めた。誰よりも、俺が──」


魔方陣が発動し、彼の身体が霊的領域へと沈んでいく。

次に目を開けたとき、彼は紫乃が囚われる“心の深淵”へ、足を踏み入れていた。


「──紫乃ッ!!」

その声は、夢と現実の境界を裂き、確かに彼女の元へ届いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ