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【ローファンタジー】 『ありふれた怪異、街の名物』

百物語『名刺交換』

作者: 小雨川蛙
掲載日:2025/05/18

 

「これはまだこの辺りに田んぼがあった頃の話―――」


 一人が語り終えて蝋燭の火を消す。

 残り99本。


「次は俺か。これはこの辺りにまだ銭湯があった話なんだが―――」


 語り終えて残り98本。


「それじゃ、私ね。もう今じゃどこにもないんだけど、昔の小学校では―――」


 97本。

 96本。

 95本……。


 そして最後の1本。

 主催である大妖怪が話し始めた。


「さて。私の番だ。この星には昔、人間と言う生き物が……」


 すると集まった妖怪たちがため息をつく。


「滅びちゃったんだよね」

「そうそう。だからこの季節になる度にこうやって集まってるんだから」

「名刺交換みたいに過去の栄光を語ってさ」


 既にお開きのムードに大妖怪が怒鳴った。


「やめんか! まだこちらが話しているだろう!」

「どうせ、オチは同じでしょ?」

「それは貴様らとて同じだろう!?」


 やんややんやと言い合いをしている内に蝋燭が消えた。

 これで蝋燭は0本。


 だけど、もう。

 妖怪は集まっても怖がる人間はなし。


「はいはい。これでおしまい」


 真っ暗闇の中、物の怪たちの声が虚しく響いた。

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