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トリアイ

「いでよ!ウイングドラゴン!!」

巨大な翼が生えた竜が魔方陣から姿をあらわす。

「へへっ、どうだ?俺の相棒、カッコいいだろう!」

そういって誇らしげな顔をしているこいつは、幼なじみのリュウタだ。小さい頃からドラゴンを相棒にすることを夢見ていたのだが、遂にこの間、その夢を叶えたのだ。

「お前もそろそろ成年の儀をするんだろう?どんな使い魔にするんだ?やっぱりこいつをみたらドラゴンにしたくなっちゃったか?ハッハッハ!!」

ーーー成年の儀。この世界では、ある年齢になると、神や精霊から加護をもらうための儀式をするのだ。そして、多くの人は自分の欲しい加護を手に入れるために、神の住む土地に冒険しにいくのである。普通は炎を操る能力とか、こいつのようにドラゴンと話す能力とかを手に入れようとするのだろう。

しかし、俺の欲しい加護はただ一つ。

「鳥つかい」

そうだ。

「俺は鳥つかいの加護を貰いにいく。」

「……お前は昔から変わらないな!全く物好きな奴だぜ!」

リュウタはケラケラと笑っている。

「おーい!リュウター!ちょっと手伝っておくれー!」

遠くから声が聞こえる。

「おっと、悪いな、ちょっと行ってくるぜ。俺はお前を応援してるからな、困ったことがあれば呼んでくれよ!……行け!ウイング!」

ドラゴンが羽ばたくと、リュウタを乗せてあっという間に遠くへ行ってしまった。


ーーーー成年の日ーーーー

今日は待ちに待った成年の日だ。目指すは「ツバメの丘」。そこにある、名もなき神殿にいる鳥の精霊に会いにいくのだ。もしかしたら、一番乗りでいけば特別な加護を貰えるかもしれない。そんな希望を胸に家から飛び出る。

「クソッ、草が多いな」

ーーーはっきり言って、ツバメの丘は不人気だ。そのせいで、道もあまり整備されていない。道もゴタゴタだし、どんな魔物がいるかもあまりわからない。


「ガサッ」

!?何かの音が聞こえる。咄嗟に持ってきた短剣を構える。もしここでやられてしまっては一巻の終わりだ。こんなところ、誰も助けに来てはくれない。

茂みから何かが顔を出す。

ーーー「チューン!!」

スズメだ。スズメだ!

「チュンチュチュ、チチ!」

艶々の羽、重そうな首かけカバン。そして凛々しい瞳。間違いない。こいつも「成年の儀」の最中なんだ。

「チュン!」

スズメは何かの札をくわえてこちらを睨み付けている。

そうか。こいつも一番乗りを目指しているのか。つまり、このかわいらしい“威嚇”は俺への牽制ということか。

「チュチュ!!!」

なにやら札が光り出す。やばそうな気配がする。

「チュン!!!」

札から光の玉が飛び出し、こちらに向かってくる!!

「なんだよもおーー!!!」

全力で走って逃げる。

「チュン!チュン!」

追撃してくる。辛い。茂みにでも隠れてやり過ごそう。

「とりゃっ!」ガサッ

茂みから様子を伺う。スズメはキョロキョロしているが、しばらくしたら飛び立っていった。

ーーー助かった。

しかし安心している場合ではない。一番乗りを取られてしまう。遅れを巻き返すべく走る。

ーーー宝箱だ。だがそんなものはどうでもいい。

ーーーコウモリもどきだ!だが今は関わってる場合じゃない!!

最短ルートで走り抜けると、ボロボロの神殿が見えてきた。

「チュン!」

さっきのスズメも上空に見える。どちらが早くつけるか、勝負だ!

「ハァ、ハァ、ハア」

「チューー!」

見えた!扉だ!

勢い良く開けると同時にスズメも上空から突っ込んでくる!

ーーードゴーーーーン!!

「いたた……」

「チュチュ……」

「あ」「チュ」

勢い余って神殿の中をボロボロにしてしまった。

大事そうに飾ってあったであろう綺麗な玉はバリバリに割れているし、扉に至っては原型を留めていない。

突如、目の前が明るくなると同時に、謎の力で神殿の外に吹き飛ばされてしまった。

「どうしよう……」

スズメもかなり焦っている様子だ。


一人と一羽は途方に暮れてしまった。



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