第5話 久々の外
するとその竜は、頭の中に直接語りかけてきた。
竜はもうずっと何百年も前からこの地の底に封印されていたらしい
双子の竜との闘いに負けたこの竜は、ここでずっと一人で過ごしていたのだとか。
可哀そうに思った私は、その竜の封印を解いてあげる事にした。
竜に教えてもらうと、確かに竜の手足を縛る鎖があった。
なんとかしてそれを壊すと、竜はお礼を言ってきた。
そして、私を背中に乗せて飛翔し、ブレスで地の底の入り口を壊してくれたのだ。
そこから外に出た私は、久々に太陽の光を浴びたのだった。
これからどうしようと考えた私は、故郷に戻る事にした。
何もかも忘れて自由に生きる選択もあったが、わずかでも情があったからだ。
竜をつれて故郷に戻った私は、大層驚かれた。
どこもかしこも大騒動で、国中がひっくりかえったような様子だった。
みなからは、何時間も一体何があったのかと問い詰められた。
その最中分かったのは、私が地の底に落とされてから一か月も経っていたという事実だ。
あの監獄に送られた者の中では、そんなに長い事正気を保っていた人間はいなかったそうだ。
しかし、だからこそ長い間生きていた私は、地の底の隅にいた竜の元まで会いに行く事ができたのだろう。