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3話(州都 ~インフォメーション~)

 3話(州都 ~インフォメーション~)



           1

 ガイアル、落下直後の天上世界……。

 夜明け前……。


 天空要塞都市/隊長室

 「…………(苛)。まだか⁉ まだ、発見できないのか⁉」

 「はい、捜索範囲を広げていますが、今のところ、音沙汰【おとさた】がね、ございません」

 「そうか……」

 「少なくとも、城下町近辺には、いないと思われます」

 「うん、了解したよ」


 ―(ウイーン)[扉の開く音]。


 「も、申し上げます! 隊長⁉ すごく一大事でございます」

 「うん、どうしたの⁉」

 「は、はい……このような、状況なのですが、何分【なにぶん】、緊急事態ですので、失礼のほどは、予【あらかじ】めご了承ください」

 「どうやら、爪痕【つめあと】を残してくれているみたいだね。ああ、話しなさい!」

 「は、はい……そ、それが、ですね。操作ルームのコンピューターが、突如、機能を停止してしまいまして……」

 「「⁉」」

 「な、何だって……⁉」

 「現在、復旧作業にあたっているのですが……」

 「分かった! 至急、向かおう!」

 「はい、よろしくお願いします!」

 「た、隊長⁉ 捜索はね、よろしいのですか⁉」

 「ああ、そうだったね。至急、副隊長殿に報告をして、指示を仰ってくれ!」

 「はい、承知しました!」

 「さあ、案内をしてくれ!」

 「はい、こちらです!」


 クラン隊長、部下に案内され、至急、操作ルームに向かう……。


 ―そして。


 ―(ウイーン)[扉の開く音]。


 天空要塞都市/操作ルーム

 「あっ、クラン隊長⁉」

 「復旧状況はね、どうだ⁉」

 「は、はい……それが、ですね。先ほどから、何度も、再起動を試【こころ】みてはね、いるのですが、強制的に停止をしてしまいます」

 「うん、それは、すごく妙だね」

 「トラブルの可能性について、分析はね、したのかな?」

 「はい、認証済みでございます。異常はね、ございません」

 「そ、そうか……」

 「隊長……これは……⁉」

 「ああ、分かっている。僕から、ひとつ提案だ。操作ルームの範囲内を隈【くま】なく、点検にあたってくれ!」

 「「承知しました!」」

 操作研究員と捜査研究員、操作ルームの中を調査する……。

 「うーん……そうだね。機械に異常が見当たらないのなら、ありえる可能性としては、内部の問題ではなく、外部の問題……そのように、考慮をするのが、すごく妥当だよね」


 内部を調査中……。

 ……そして。


 「クラン隊長、よろしいですか⁉」

 「うんっ⁉ どうした⁉ 何か、見つかったの⁉」

 「は、はい……こちらをね、ご確認ください」

 と、クラン隊長、操作研究員に諭されるように……。

 「う、うん⁉ これは……粉……⁉」


 クラン隊長、青状の粉末を手に取り……調べる……すると。


「⁉ ウソだろ⁉ 間違いない! これはね、コールドパウダーだ!」

 「ええ、コールドパウダーって、あのコールドパウダーですか⁉」

 「ああ、他に何があると言うんだ……」

 「そ、そうですよね⁉」

 「でもね、すごく奇妙ですよね? コールドパウダーはね、保管庫に保存されているはずですから……」

 「うん、その通りだね。…………(考)。……⁉ ま、まさか……⁉ ここまで、計算のうち……⁉」

 「ク、クラン隊長……」

 「あの、いかがなさいますか⁉」

 「……そうだね」


 ―(ウイーン)[扉の開く音]。


 「も、申し上げます! これより、爆発調査の詳細について、完了いたしましたので、ご報告いたします! 爆発箇所は、セキュリティールーム、操作ルーム……そして、機密保管庫の三箇所でございます!」

 「う、うん⁉」

 「加えて、爆発物の内部に、コールドパウダーが混入されていることも、判明いたしました!」

 「ええ、やっぱり、そうなの⁉」

 「ええ、そうなの……とは……⁉」

 「あのね、それがね……」

 操作研究員、報告に駆けつけた分析研究員に、事【こと】の一件について、伝える……。

 「⁉ ええ、そんなことがね、あったの⁉」

 「君たち、ひとまず、落ち着くんだ!」

 「「「は、はい!」」」

 「なるほど、我々を攪乱【かくらん】するためだと思っていたが、どうやら、目論見【もくろみ】が外れてしまったみたいだね」

 「ええ、それはね、どういう意味ですか⁉」

 「僕たちは、彼にね、一泡吹かせられたのさ。計画を阻止するためだったのさ」

 「詳しく、ご説明をね、お願いします」

 「ああ、そうだね。つまりはね、こういうことだよ。当初、機密文書の奪取がね、計画阻止の本題だと思っていた……しかし、それはね、ダミーだったんだよ。本来の目的は、操作ルームの機能を破壊することがね、主観にあったのさ」

 「そのような、回りくどい行動をね、できますかね?」

 「はい、それも、単独行動ですよ!」

 「すごくリスキーすぎます!」

 「うん、君たちの疑問も、すごくごもっともだね。全てが完璧でなければならない……しかし、彼はね、それを、いとも容易【たやす】く、遂行した……。まるで、こちらの手の内を見ているかのようにね」

 「な、何者なんですか⁉」

 「分からない……。しかし、只者ではないことは、確かみたいだね。我々の計画を、自己犠牲をすることも厭【いと】わず、遂行したのだからね。うん、改めてね、総括をしよう。おそらく、彼の真の目的はね、こういうことだよ。機密文書の奪取は、計画阻止の目的のためにね、行【おこな】ったのではなく、復元をね、阻止するためだったのさ」

 「に、にわかに、信じ難【がた】いのですが……そのように、考えると、すごく辻褄【つじつま】が合いますね」

 「ああ、捜査研究員に告ぐ! 彼の身元を調査にね、至急、加えてくれ!」

 「「はい、承知いたしました!」」

 捜査研究員二名、行動に移す……。


 ―(ウイーン)[扉の開く音→扉の閉まる音]。


 「うん、君はね、ひきつづき、復元方法をね、探ってくれ!」

 「はい、承知いたしました!」

 操作研究員、任務に戻る……。


 「しかし、やってくれたな……。まさか、我々のカードを逆手【さかて】に取られてしまうとはね……。コールドパウダー……古くはね、寒波襲来の際、使用されたものだ……。どうして、漏洩してしまったのか……」



           2

 一方、地上世界、ロイラルク大陸……。

 辺りは暗闇に包まれる……(遺跡調査から、数時間後……)。

 コールド傾向は、やや弱まるも、ひきつづき、継続中……。

 したがって、雪と寒さは続いている……(弱まっているが……)。


 エルバー州/機械都市メルサ

 (機械都市メルサ……ロイラルク大陸・北西部に位置する、製造関係が盛んな街……加えて、エルバー州の州都……うん、所謂、大陸の製造関係を担【にな】っている街だね)


 ガイアル、メルサの街を探索……。


(うん、夜だから、確認はね、できないけど、少なくとも、人口は少ないみたいだね。……そうだね。ひとまず、質屋にね、向かうとしよう)

……。

 「いらっしゃいませ。どのような、品物をお売りでしょうか?」

 「はい、こちらをね、お願いします」

 「はい、かしこまりました。少々お待ちください」

 鑑定中……。

(うん、すごく当たり前のことだけど、まずはね、リールの確保がね、すごく先決。無論、そのままだとね、すごく奇怪なので、分解をね、させてもらったよ)

 鑑定中……。

(アイテムはね、補充としてね、確保……。後はね、拠点地の確保とリールの収入源の確保……生き抜くために、すごく基本中の基本だからね)

 ……そして。

 「お待たせいたしました。鑑定の方がね、完了いたしましたので、こちらをね、ご確認ください」

 ガイアル、リールの額を確認……。

 「はい、よろしくお願いします」



           3

 ガイアル、質屋を後にして、宿泊のため、ホテルへ……。

 宿泊部屋……。

「うーん……」

 ガイアル、ロイラルク大陸の地図を眺めながら……。

「ひとつ、おさらいをしよう。目星をつけていたのは、現在、滞在をしているこの街と、北東部に位置する、ロザリアという街だ。先述のように、逃亡・潜伏のセオリーの観点から、人口の少ない街がね、すごく理想だ。ロザリアは、山岳地帯にあり、もっとも、理【り】にかなっていた街かもしれない……。しかし、発見をされた際、すごく袋小路に陥る可能性がある……したがって、断念することにした。対照的に、この街は、袋小路にならない反面、発見確率はね、ロザリアに比べると、若干ではあるが高い……しかし、逃走経路はね、確保しやすい。ものごとは、ケースバイケースでね、考えなきゃいけないの。それに、どうやら、この街の近くには、すごく大きなダンジョンがあるみたいだからね。上空から、確認することができないという点において、拠点地としては、すごく最適だからね」

 ……そして。

 ガイアル、ある地点に目が釘付けになる……。

「うん、何だろう? すごく興味深いと同時に、すごく不気味だね」

 大陸北中部に広がる、とても巨大なクレーター……。

「うん、すごく気にはね、なるんだけど、今はね、任務の方がね、最優先だからね。……そうだね。僕が生き延びることが、叶ったのなら、その暁【あかつき】としてね、訪れるということにしようかな……」

 ……。

「なるほど、冒険者ギルド……ね。……そうだね。すごくお世話になるかもしれないから、明日、確認はね、しておこうかな……。さあ、それじゃあ……」

 ドクン……!

「うっ⁉ うぐっ⁉ 痛っ⁉」

 ガイアル、突然、胸に刺すような痛みが走る……!

「あ、あれっ⁉ お、おかしいな……。体調でもね、悪いのかな? ……うん、きっと、そうだね。色々あって、すごく疲弊しているからね。今日はね、早めに休むことにしようかな……」

 ガイアル、眠りにつく……。



           4

 (ガイアルの回想)

 ⦅お、お兄ちゃん……す、すごく苦しいよ。すごく寒いよ⦆

 ⦅ナギサ、大丈夫だ。お兄ちゃんがね、ついている……。ほら、すごく温かいでしょ⦆

 ⦅うん、ホントだ。すごく温かい……⦆

 ⦅いつまでも、この街にはね、いられない……。どこか、安全な場所にね、避難しないと……。僕にね、何かあったとしても、ナギサだけはね、守らないと……⦆

                                (ガイアルの回想)


 ガイアル、眠っている……(幽【かす】かに、目から、涙が零【こぼ】れる……)。

『ナ、ナギサ……。す、すごくいい笑顔……だね……』

 と、寝言を呟【つぶや】く……。



           5

 そして、夜が明ける……。

 コールド傾向から、スタンダード状態に……。

 したがって、雪と寒さは収まる……(晴れて来た……)。


「あ、朝だね……?」

 ガイアル、目を触ると……。

「うんっ⁉ 涙……うん……はっ⁉ 僕らしくない……今はね、任務に専念しないと」


 ―そして。

 街の探索を開始……。

「さあ、街の特徴の調査だね。どうやら、スタンダード状態になって、天気も回復したみたいだし、少なくとも、まだ、僕はね、女神には、見捨てられていないみたいだね。……うん……うん……うん……そうだね。賑わいとしては、すごくベストだよね。もちろん、油断はね、禁物だけれどね」


 ガイアル、目を閉じて、現在、置かれている状況を総括する……。


(どうやら、この大陸は、南の地域ほど、栄えている印象だね。遺跡の調査をした、あの冒険者三人もまた、南の都市の出身……ひとまず、熱【ほとぼり】が冷めるまで、大人しくしておくのが、すごく賢明な判断……かなぁ……。うん、幸い、今回の件で、大陸の特徴をね、一通り知ることができたのは、すごく朗報かな……。リスクを重ねちゃならない……すごく警戒心を高めちゃうからね。それはね、任務にとって、すごく大きな懸念材料だよ。少なくとも、想定しているミッションをこなすまではね。僕自身、すごく制御をしないとね)


 ……総括終了。

 再び、歩みを進める……。


「……そうだね。人となりを知ることができた……大陸の特徴も、ある程度はね、把握【はあく】することができた……ひとまず、拠点地に向けての第一段階は、すごく順調だね。それじゃあ、第二段階をね、開始するとしよう」


 ガイアル、冒険者ギルド[計画の第二段階?]に、向かう……。



           6

 冒険者ギルド・メルサ支部

(うん、そうだね。まずはね、ダンジョンについて、詳細を知りたいから、ひとまず、受付の方にね、確認かな?)

「あの、よろしいでしょうか?」

 「あっ、はい! お疲れさまです。報酬のお受け取りですか?」

 「ああっ、いえ……冒険者の登録を行いたいのですが?」

 「かしこまりました。エントリー希望者様ですね。少々お待ちください」

 (そうだね……。確認をしておくだけのつもりだったけど、登録をしておいた方が、余計な疑念はね、払えるだろうし……うん、ここはね、すごく無難だけど、冒険者として、活動をした方が、怪しまれないで済むだろうね。そういう訳で……)

 「お待たせいたしました。こちらのパネルにね、サインをお願いします」

 「はい、かしこまりました」

 ガイアル、エントリーリストに、基本的な情報を記入する……。

 「それにしても、この街はね、すごく人手不足ですので、新加入者はね、すごく心強いです」

 「ええ、そうなんですか⁉ すごく意外ですね?」

 「まあ、ロザリアほどではないですけど、事件らしい事件はね、それほど、ないんですよね」

 「ふふっ。すごくいいことだと思いますよ。すごく治安がいいということでしょうから」

 「まあ、そうですね。依頼がね、すごく少ないというのは、ギルドとしてはね、すごく心許【こころもと】ないですけど、ここはね、素直にね、喜ばないといけないですよね?」

 「ふっ。すごく難しい立場ですね」

 「そういう訳で、観光客のご案内など、比較的安全なクエストを中心にね、働きをかけています」

 「うん、すごく要領がよろしいですね」

 「いえ、これがね、私のお仕事ですから。クエストはね、最低限、押さえて置かないと、経営が成り立たないですからね」

 「はい、こちらでね、よろしいでしょうか?」

 「はい、ご確認しますね」

 (うん、すごく治安がいいんだね。すごく理想的だと思うよ。惨事はね、あってはならないよ)

 「はい、大丈夫です。エントリー完了です。それでは、こちらのカードをね、お受け取りください」

 ガイアル、受付嬢から、冒険者カードを受け取る……。

 「……(確認)。うんっ⁉」

 「どうかなさいましたか⁉」

 「はい……えっとね、ここにある、職業欄についてなのですが、どうして、空欄なのですか⁉」

 「ああ、申し訳ございません。言いそびれていましたね。あの、こちらについてはね、しばらく、クエストをこなす必要がね、ございます。その際、冒険者様の特性について、インプットされて、冒険者様の特性に合った職業にね、変換される仕組みなのでございます」

 「なるほど、そういうシステムなのですね。ご説明いただきありがとうございます」

 「いえ、とんでもございません。また、何か、分からないことがございましたら、いつでも、お声をおかけください」

 「はい、ありがとうございます。それでは、失礼いたします」


 ガイアル、ギルド内を移動中……。

(なるほどね……そのような、システムなんだね。うーん……盗賊って、言っていたけど、実際のところ、どうなんだろうね。うーん……見当がつかないよね)


 そして、クエストのある掲示板前に……。

(うーん……ホントだ。数こそ、すごく豊富だけど、案内関係・護衛関係がすごく多い印象だね。うんっ⁉ ダンジョンの依頼……何だろう?)

 ガイアル、拠点地候補としている、ダンジョンの依頼に目を向ける……。

(魔獣の自称門番の説得……または、退治……うん、早速だね。……⁉ ええ、難易度、プレミア級……報酬、時価! う、うん……[苦笑]。うん、世の中、そんなに甘くないということなのかな? でもね、確保のためには、致し方ないよね)


 ……すると。

 「よおっ⁉ 新人さんかい⁉ そのクエストだけはさ、やめておきな!」

 「うん、どういうことなの?」

 「そこに書いてある通りだよ。おそらく、ビギナーズラックを期待してるんだろうけど、そんなレベルじゃないよ」

 「確かに、プレミア級だもんね」

 「ちょっと、兄貴⁉ すごく肝心なことをね、言い忘れちゃダメですよ!」

 「うん、すごく肝心なこと?」

 「ああ、そうだったな」

 「……?」

 「あのさ、実はさ、このクエスト、はじめはさ、超ビギナー級だったんだよ」

 「ええ、そうなの⁉」

 「はい、冒険者が悉【ことごと】く、依頼を失敗してしまって、レベルアップをね、余儀【よぎ】なくされたんですよ」

 「うん、それはね、すごく興味深いね」

 「まあ、要約すると、ダンジョンの入口をさ、封鎖してるんだよ。おかげで、ダンジョン探索ができない!」

 「所謂、独り占めというものですね」

 「なるほど、それはね、すごく厄介ですね。そんなに、強いの?」

 「「あ、ああ……」」

 「うんっ?」

 「強いというか……説明するのが、すごく難しいですね」

 (大陸に出没している……謎の魔獣……あの時のドラゴンのような存在なのかな?)

 「なんというか、無敵なんだよ!」

 「ええ、む、無敵、それはね、ホント⁉」

 「ああ、ホントもホントだ! 所謂、ノーダメージだからな」

 「効果がない……」

 「ああ、火力攻撃……魔力攻撃……全て、ノーダメージだったよ」

 「うん、それはね、すごくありえないロジックだよ。だったら、門番なんてやらなくても、いつでも、街をね、制圧できるでしょ⁉」

 「はい、確かに、すごく回りくどい戦法ですよね?」

 「まあ、人間じゃなくて、魔獣だからな。そこまで、知能はね、ないだろ⁉」

 「うん、そうだね。そのように、考えるのが、すごく自然だよね」

 「まあ、一度、行ってみるといいさ。実物を見た方がさ、超早いと思うからね」

 「……そうだね。参考にね、させてもらうよ」

 「ああ、でもさ、注意しなよ! 四人で、一斉攻撃を浴びせても、ダメだったからね」

 「うん、了解。アドバイスをね、ありがとう」

 ……。

(うん、話を聞いていると、すごく奇怪なんだけど……おそらく、何かのトリックを使っているんだろうね。現実問題、ノーダメージはね、すごくありえないことだからね。相手を欺【あざむ】く行為……うん、ひとまず、下見をしてから、判断を下すことにしよう。思考停止はね、すごくマイナスでしかないからね)



           7

 同じ頃……遺跡付近……。


 大陸南西部に位置する、海港都市ピルツァより、同支部の冒険者三人[メンテナンスのため?]が、来訪していた……。


 (……そうね。どうやら、異変はね、解消されているご様子ね)

 「ミュウさん⁉」

 「あら、レナード君⁉ 遺跡内部のご様子はね、いかがでしたのかしら?」

 「は、はい……どうやら、ミュウさんの読み通り、異変はね、解消しています。外観と内部に規模は同等のレベル……所謂、正常の状態といってよろしいかと思いますね」

 「そう、ありがとう。ひとまず、メンテナンスだけで、事足りるということね」

 「しかし、すごく妙じゃないですか⁉」

 「あら、何か、不可解な点がね、おありなの?」

 「はい、エルマさん達、帰還をしていないのですよ!」

 「確かに、そうね。それについてはね、私【わたし】も、すごく懸念を覚えているわ」

 「け、懸念ですか⁉」

 「ええ、レナード君のおっしゃっているように、異変はね、解消しているのに、肝心の当人たちがね、音沙汰【おとさた】なし……したがって、命と引き換えにね、解決に全力を尽くしたと考えるのがね、すごく妥当なところでしょうね」

 「はい、俺も、そう思います。しかし、どこか、おかしな点はね、ありましたか?」

 「ええ、彼らはね、駆け出しの新人を卒業したばかり、そんな彼らがね、このようなリスキーな戦略を取るとはね、到底、私【わたし】にはね、思えてならないのよ」

 「どうやら、感じるところがあるみたいですね」

 「ええ、果たして、ホントにね、彼らによる、功績なのかしら?」

 「ミュウさん⁉」

 「ラックロ君⁉ 周囲の巡回、ご苦労さま」

 「はい、ありがとうございます」

 「お尋【たず】ねするわ。すごくトリッキーなことがね、発見したご様子みたいね」

 「さすがはね、ミュウさん……すごく察しがよろしいですね」

 「うふふっ。それで、コールド傾向中にね、何が、起きていたのかしら?」

 「はい……実は、ですね……」


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