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1話(上陸 ~ステータス~)

お初にお目にかかります。

本日より、初投稿いたします。

何かと不慣れではございますが、

これより、お世話になります。

   遡上の攻防〈アトリエ〉



   STORY 1


 ……とある、薄暗い牢獄?

 捕らえられている、一人の男……。

 外壁沿いに設置されている椅子に腰を掛けながら、目を閉じて、ある人物の言葉を思い出していた……。


 ⦅いいかい、●●●●⁉ これより、生きる術【すべ】として、三つの法則を唱える! 心の奥に、刻んでおきな! ひとつ、攻撃と防御は、非常時以外は使用しないように! ふたつ、リール『この世界の通貨【お金】』は、不必要なものを売って、蓄えよ! みっつ、自身を欺きな! なお、私の言葉が、絶対ではない。間違っていると思うのであれば、アップデートをしてくれても構わない。約束しよう……。刻【とき】が来たら、出会うことができるだろう……。どうか、その時は……⦆


 「…………。さあ、そろそろ、時間だね」


 [巡回中の兵士?]……。


 ……そして、目を開き。

「スリー、ツー、ワン……」


 バアアアァァァーン……!

 と、大きな爆発‼


 「な、何だ⁉ 何事だ⁉」


 ●●●●、[牢獄?]を破壊して、脱走……!


「や、やられた⁉ 緊急報告、緊急報告! NO.481、脱獄しました!」


 ●●●●、[通路?]を走る……。

 その後、螺旋階段を上へ……。


「クラン隊長⁉ いかがいたしますか⁉」

 「慌てる必要はない! 至急、被験体の回収を急ぎな! 手段は問わない!」

 「しょ、承知いたしました!」

 「そうか⁉ すごく元気なことだ……」

 と、その時!


 ドオォン、ドオォン、ドオオォォーン……!

 と、三カ所の地点で、同様の爆発!


「うぅっ⁉ どうやら、悪戯【いたずら】が、過ぎるみたいだね」

 と、クラン隊長、隊長室を後にする……。


 ●●●●、そのスキに、[隊長室?]に侵入……。

 そして、室内を捜索する……。

 すると、机の上に……。


 「あった⁉ これだね……。ふむふむ。すごく大それたことをね、するじゃない……? どうやら、看過できないよね?」

 と、●●●●、機密文書のようなものを奪取……!


 一方……。

 「あっ、隊長⁉ こちらです!」

 「うーん……まさか、セキュリティールームに潜入するとはね……」

 「隊長⁉ 感心している場合じゃないですよ!」

 「あれっ⁉ ターゲットの破壊が目的なら、残りの地点は……ああ、まさか⁉」


 「さあ、撤収するとしますか……」

『うんっ⁉』

 近づいてくる足音……。

「どうやら、思っていたより、勘づくのが早かったね」


 ……そして。

 バアアアァァァーン……!

 と、螺旋階段に仕掛けておいた、爆弾を起動させる……!


 「はっ⁉ た、隊長⁉」

 「ククククククッ! なるほど、拘束もね、計算のうち……。やってくれるじゃない」

 と、クラン隊長、不敵な笑みを浮かべながら……。

 「あ、あの……」

 と、戸惑う兵士たち……。


 ●●●●、隊長室にある窓から、脱出をする……。

 近くにある木の幹に、ロープを引っ掛けて、そのまま、地上に落下する……。


 「さあ、潜伏場所をね、確保しないと……」


 ブウウゥゥーン! ブウウゥゥーン!


「うっ⁉ サイレン⁉ どうやら、天空都市とは、お別れみたいだね。……うん、すごく残念だね。正直、すごく気に入っていたんだけどね」


 ●●●●、アイテムボックスから、パラシュートを取り出し……そして!

 天空都市から、飛び降りる……!


 ●●●●、落下中……。

「しかし、NO.481……ね⁉ 支配『481』なんて、すごく心外だね。僕にはね、ガイアル・エリバースという名前がね、あるんだよ。でもね、連中の頭脳にはね、すごくお似合いのセンスだよ。……うん、そうだね。果たして、どれくらい、時間がね、稼ぐことが可能かな?」


 ガイアル、地上に降りていく……。



   1話(上陸 ~ステータス~)



           1

 ものすごい風圧に晒【さら】されながら、降下中……。

「うーん……想定していたより、すごく高いんだね。それに、地上というのは、すごく楽園なところだと、巷【ちまた】ではね、言われていたけれど、果たして、楽園の意味……実際に、目視された方の見解じゃないから、すごく未知な点が多いよね。善【ぜん】でもあり、悪でもある……うん、それに尽きるよね。即【すなわ】ち、僕の目で、確認ということだね」

 次第に、地上が近づく……。

 ガイアル、パラシュートを開く……。


 ―そして、地上に到着。


「……そうだね。ひとまず、フィールドの確認とね、行きたいところだけど、この暗闇だと、すごく難しそうだね。どうやら、時間という概念に関しては、天空世界と大差ない印象かなぁ……。でもね、一応、地上世界の確認はね、しておこうかな?」


 ガイアル、手を翳【かざ】して、ステータスのパネルを表示……。

 そして、天上世界との相違点について、確認をする……。


「うーん……そうだね。一年はね、四五一日……一日はね、二十八時間……目視同様、データの観点から見ても、大差ないみたいだね。ひとまず、同様の捜索スタイル……と」

 ガイアル、時間に関して、メモを取る……。


「それじゃあ、次は、気象の確認だね。……ふむふむ。朝、昼、夜……同様のサイクルだね。うん、どうやら、ベルタ(気候変化)に関しても、同条件みたいだね」


 〈ベルタ〉

 先述の通り、この世界の気候変化である。

 主に、一定の周期で、ホット(暑さ)・コールド(寒さ)を行き来する。

 なお、中間地点のことは、スタンダートという。

 基本的には、スタンダード状態が、もっとも長い。

 ちなみに、現在は、スタンダードである。


「……そうだね。ひとまず、休息も兼【か】ねて、夜明けまで、待機することにしようかな……」

 ガイアル、近くにある、物陰に身を潜【ひそ】めることにする……。


 ―数時間後。

 日が昇り、周囲の視界が、次第に広がっていく……。


「うーん……怪我の功名というべきなのか……すごく悲喜こもごも、だよね?」

 見渡す限りの大草原……(所謂、地平線の状態……)。


「うん、ひとまず、予想はね、立てておこうかなぁ……。ここはね、すごく壮大な大陸……おそらく、文明が栄えているエリアもね、どこかにあるでしょ。しかし、闇雲に移動をしても、辿り着けるとはね、到底、思えない……。そして、何より、空から、地上はね、事実上の筒抜け状態……やっぱり、明るい時間帯の行動はね、極力、控えた方がすごく賢明だろうね」


 ガイアル、しばらく、その場で待機をして、作戦を練ることにする……。


「えっとね、まずはね、基本中の基本である、拠点地の確保……次点で、リールの収入源……ふうぅー……そうだね……そうなると、やっぱり、目先のターゲットは、都市の探索ということになるけれど……。うーん……どのように、攻めようかなぁ……」


 ガイアル、さりげなく、周囲を視察……すると。



           2

 「はあぁー……弱ったな……。やっぱり、冒険者にさ、護衛を頼むべきだったかな……?」

 と、何かの作業着に纏【まと】った男性が、とても困った様子で立ちすくんでいた……。


 「うんっ⁉ このような、草原の真ん中でね、立ち往生……うーん、すごく不自然だよね。それに、《冒険者》というワードも、すごく気になるよね? うん、所謂、捜査隊と同類なのかなぁ……」


 〈捜査隊〉

 天上世界の冒険者であり、地上世界の冒険者にあたる。


「まあ、僕も、すごく手詰まりなことはね、否めないことだしね。ここはね、情報収集も兼ねてね、仕掛けてみることにしようかな?」

 ガイアル、すごくあからさまに、物陰から姿を現す……。


 「うんっ⁉ ヘイ、ヘーイ⁉ あんた、冒険者だろ⁉」

 (うわぁ⁉ すごく元気な方だね……)

 「あのさ、超困ってたんだ。今から、護衛をさ、頼めねぇかな⁉」

 (護衛……ね。どうやら、冒険者というのは、捜査隊の類【たぐ】いみたいだね。だったら、すごく話は早いよね)

「やれやれ……すごく困った方だね。すごく分かり切っていたことでしょ? どうして、護衛をね、依頼しなかったの?」

 「いやあぁー……そんなに、大それた仕事じゃなかったからさ、頼むほどでもないと思ったんだよ」

 「あのね、そのような、些細なことがね、すごく危険なんだよ」

 「あ、ああー……悪い? 返す言葉もねぇよ」

 「ふふっ。それで、お客様はね、どのような仕事をね、なさっているの?」

 「ああ、キノコ狩りだよ」

 「それだと、護衛はね、すごく必須でしょ? 仮に、近場といっても、すごく滞在時間がね、長くなると思いますので……」

 「まあ、あんたの言う通りだよ。以後、精進することにするよ」

 (…………。さあ、帰還場所をね、聞きたいところだけど、名称を尋ねるのはね、すごくリスキーだよね。正体を怪しまれるおそれについては、できる限り、芽を摘んでおきたいからね。当たり前のことだけど、抹殺という手段はね、可能な限り、避けておきたいからね。……うん、そうだね。ここはね、機転を利かせて……)

「ねぇ、僕ね、すごく急いでいるので、申し訳ありませんが、護衛はね、引き受けられそうにありません。したがって、ギルドにね、至急、連絡をね、いたします。お客様の帰還先をね、教えていただけないでしょうか? 代役の方にね、ご依頼をお願いいたしますので……」

 「ああ、それなら、大丈夫だよ。ここから、北東方面にある、アンクルっていう街だから」

 (……⁉ うん、どうやら、事なきを得たみたいだね)

「そうですね? それでしたら、お送りいたしますよ」

 「おおぉぉー……これはさ、超助かるぜ! 急いでるところ、悪いな」

 「いえ、お気になさらずに。僕もね、お仕事ですので……」


 ガイアル、誘導に成功……。

 お客様を、帰還先であるアンクルまで、護衛することに……。


 そして、アンクルに到着……。

 「いやあぁー……こんなに、安全に帰還できたのは、超久しぶりだよ」

 「いえいえ、お構いなく」

(……護衛の依頼、すごくご無沙汰だったみたいだね)

「うん、それでは、僕はこれで……」

 「って、あれ⁉ 寄っていかないの⁉」

 「はい、先ほども、申し上げたと思いますが、すごく急いでいるので、早急にね、失礼させていただきますね」

 「ああー……そっか⁉ だったら、リールくらい……」

 「お客様⁉ すごく金欠でしょ⁉ 僕の目はね、ごまかせないよ」

 「ま、まあぁー……そうだな」

 「リール不足だから、近場のキノコ狩り……草原より、森林の方が、すごく収穫があるでしょ。したがって、今回はね、無料で、結構ですよ」

 「あ、ありがとう……。超気配りが利くよな」

 「いえ、それでは、失礼いたします」

 「ああ、気をつけてな」


 ガイアル、お客様に別れを告げて、アンクルを後にする……。


 (これはね、すごく基本的な鉄則にね、すぎないよ。情報収集がね、不十分にすぎない現状……民間人であっても、地上世界の住民であることに変わりはない……即【すなわ】ち、関係を持つことはね、すごく鉄則なことだよ。すごく親密な関係になる可能性だって、否定できないからね。まあ、少なくとも、ここがね、ロイラルク大陸というフィールドだと入手することができたことはね、すごく大きな収穫かなぁ……。……えっと、そうだね。ひとまず、拠点地の確保はね、最優先事項として、これから、南西方面に進むとしよう。大陸という特徴から、各州というエリアに分かれていることがね、想定することができる。したがって、少なくとも、都市がある可能性はね、すごく高いよね。無論、過信そのものは、すごく危険なことなんだけどね。ひとまず、今日一日、探索の時間にね、割くことにしよう。最悪、アンクルという都市にね、引き返すという選択肢があることだしね。しかし、その際、面識を持ってしまっている以上、変装はね、辞さないけれどね)


 ガイアル、上空の空模様を確認しながら、南西方面に歩みを進めていく……。



           3

 ガイアル、停止をして、あるものと睨み合っていた……。

「すごく参ったね……。まさか、魔獣と出くわすとはね……」

 イノシシ型魔獣、アルクレス出現!

「さあ、どうしたものかな? 攻撃と防御はね、すごく回避したかったのが、本音だったんだけどね。まあ、必要最低限でね、片すとしようかな?」


 ガイアル、戦闘態勢に入る……。

 アルクレス、突進攻撃を仕掛ける……。

(うん、すごくシンプルな戦法でね、すごく助かるよ)

 「うううぅぅぅっ!」

 ガイアル、ジャンプをして、攻撃を交わす……。

 そして、アルクレスの背後に回る……。

 「うん、悪く思わないでね。こちらも、任務にとって、すごく弊害だからね」

 と、言いながら、小型の短剣ナイフを二本(両方、右手)、スタンバイをする……。

 そして、振り返るタイミングを計る……。

 「ガルルルルルゥ!」

 「うん、捉えた! フン、フン‼」

 と、ガイアル、アルクレスの両眼【りょうめ】を目掛けて、放つ……‼

 「あああぁぁぁぅぅぅうううぅぅぅー……⁉」

 アルクレスの視界を奪い、その後、処理をする……。


 ガイアル、ゆっくり歩み寄り……。

 「うん、武器の消費はね、すごく避けたかったけれど、これも、食の導きということでね、妥協をすることにするよ」

『それに、どうやら、見物客もいるみたいだしね』

 と、ガイアル、両目を右後方に向ける……。


 パチパチパチパチ!


 「いやあぁー……すごくお見事な戦法だね。俺もさ、すごく勉強になるよ」

 と、冒険者と思われる男性が、拍手をしながら、こちらの戦闘を眺めていた……。



           4

 「やあやあ、ごきげんよう。俺はね、冒険者ギルドに所属をしている、戦士のエルマ・ガーデンだ。よろしく」

 「ふふっ、すごく奇遇だね。同じく、冒険者のガイアル・エリバースと言う。盗賊をね、しているよ」

 と、ガイアルとエルマ、握手を交わしながら、あいさつをする……。

(任務の鉄則……。相手と同じ、職種を名乗る……そして、それとなく、相手の情報収集を行っていく。無論、都市を聞くことができれば、すごく完璧だね)


 「それにしても、単独行動とはね、すごく勇敢だよね」

 「まあ、盗賊だからね。速さにはね、すごく自信があるの」

 「まあ、確かに、すごく足枷【あしかせ】になっちゃうよね」

 「……そうだね。被害はね、できる限り、避けておきたいからね」

 「うん、すごくいい心掛けだね」

 「ちなみに、あなた達はね、グループでの移動かい?」

 「うん、そうだね。俺を含めて、三人でさ、行動を共にしているよ」

 「なるほどね……。でもね、仲間の姿がね、見えないみたいだけど、何か、トラブルでもね、あったの?」

 「い、いや、実はさ……」

 ⦅ああぁぁー……や、やっと、追いついた⁉⦆

 ⦅ねぇ、エルマ⁉ 勝手にね、行動しないでよ!⦆

 (うんっ⁉)


 エルマの仲間と思われる、冒険者の二名(男性一名/女性一名)が、息を切らしながら、駆けつける……!


 「あぁー……えっとさ、ごめん、ごめん! すごく興味深いものがさ、見られたから……」

 「ええ、すごく興味深い……⁉」

 「あっ、えっと……そちらの方は……⁉」

 「はじめまして。冒険者ギルドに所属をしている、盗賊のガイアル・エリバースだよ。二人のことはね、エルマさんから、聞かせてもらっているよ」

 「それは、それは、ご丁寧に。私【わたし】はね、魔法使いのクラム・マリエルよ。以後お見知りおきを」

 「やっほおぉー! 僕はね、僧侶のマーク・チャーリストだよ。よっ、よーろしくね!」

 「えっと、クラムさんとマークさんだね。こちらこそ、よろしくね」

 と、ガイアル、クラムとマークと握手を交わしながら、あいさつをする……。

(なるほど……すごく多種多様なグループみたいだね)



           5

 「しかし、単独でね、魔獣を討伐しちゃうとは、すごく驚きだよね」

 「ええっ⁉」

 「ほら、見てみなよ」

 クラムとマーク、ガイアルに諭されて、ガイアルが討伐した魔獣にアイコンタクトで伝える……。

 「「……⁉」」

 「えっ、一人で、討伐しちゃったの⁉」

 「ヤダ……とてもすごい! 僕たちなんて、三人がかりでやっとだよ!」

 「ええ、アルクレスですものね」

 「確かに、誰かが囮【おとり】になって、背後から、奇襲を仕掛けるのが、すごく基本的な戦法だもんね。まあ、この場合、囮【おとり】はさ、俺なんだろうけどね」

 「いえいえ、エルマがね、囮【おとり】になっちゃダメでしょ⁉」

 「ええ、どうして⁉」

 「だって、僕たち、魔法使いと僧侶だよ。すごく火力に乏しいんだよ。アタッカーはね、誰が務めるの!」

 「あのさ、俺だってさ、そんなに、バカじゃないよ。パーティーバランスはね、考えているつもりだよ。火力だけが、アタッカーじゃないでしょ? 魔力だって、すごく立派なアタッカーでしょ」

 クラムとマーク、揃って、首を勢いよく横に振る……!

 「いやいやいやいや! 思った通り、すごく安直じゃない!」

 「ええ、すごくありえないわね」

 「はあっ⁉ どうしてだよ⁉」

 「あのね、私【わたし】とマークはね、主に回復および支援がね、役割よ。魔法使い=魔法攻撃という、発想はね、すごく低能な判断よ」

 「あうぅー……そうだね。エルマには、少し柔軟な発想がね、必要かなぁ……(苦笑)」

 「どうして、勉強をしなきゃいけないんだよ……(疲)」


 「ふふっ!」


 「「「⁉」」」


 「ああ、ごめんね。何というか、みなさん、すごく仲良しなんだね。お互いの本音をさ、さらけ出すことができてね」


 「ガイアルさん……どうして、そうなるかなぁ……。俺さ、すごく罰当たりなんだけど……」

 「まあまあ、エルマ⁉ ここはね、ガイアルさんの見解をね、素直に受け入れようよ」

 「……そうね。第三者のご意見はね、すごく大切よ」

 「……そうだね。まあ、こんなところで、言い争っていても、しょうがないしね。まあ、またの機会ということで」

 「うふっ」

 「えへへ」

 (うーん……そうだね。見た目より、すごくチャンスはありそうだね)

「ねぇ、ここでね、出会ったのも、何かの縁だろうし、今夜はね、一緒に食事にしない?」

 「ええ、食事⁉ それはさ、構わないけど……」

 「食材はね、どのようになさるつもりなのかしら?」

 「いえ、食材も何も、ここにあるでしょ⁉」

 「「「ええ……」」」

 『ま、まさか……』

 と、エルマ、思えず、心の声が……。

 「いいよね?」


⦅それじゃあね、準備に取り掛かるよ⦆

 ⦅ええ、ちょっと、ガイアルさん⁉⦆

 ⦅無駄よ、エルマ……聞いちゃいないわ⦆

 タタタタタタタァ! など調理中の音が鳴り響く……。

 ⦅えへへ、ガイアルさん、すごく見事な手捌【てさば】きだね⦆

 ⦅感心してる僧侶さんが、ここにいるし……⦆


 ガイアル、魔獣を使用した、下拵【したごしら】えを完了……。

 その後、本題に取り掛かっていく……。


 そして、夕日が沈み、辺り一面が、暗闇に包まれていく……。


 ジャーン! (見栄えバッチリ!)


 「それじゃあ、いただきます」

 ガイアル、食べ始める……。

 《ジー》と見つめる三人……。

「あれ、どうしたの? 食べないの? お腹、空いているよね?」

 「う、うん……それは、そうなんだけどさ、ホントに、これ……食べられるの?」

 「うん、外見はね、すごくおいしそうだけど……」

 「大丈夫だよ。やせ我慢はね、していないから……。そもそも、そんなことにね、意味なんてないよね?」

 「ええ、そうね。いただかせていただきますわ」

 「って、オイ⁉ クラム……」

 「す、すごく積極的だね……」

 「ええ、すごくおいしいわよ」

 「ええ、ホント⁉」

 「ええ、騙されたと思ってね、食べてみなさい」

 「あ、ああ……そうだね。それじゃあさ、遠慮なく」

 エルマとマーク、覚悟を決めて、一口、かぶりつく!

 「「うんっ⁉」」

 「ホントだ……すごくおいしい……」

 「あのね、これはね、すごく病みつきになりそうだね」

 エルマとマーク、一気に食が進む……!

 「ちょ、ちょっと⁉ ガイアルさん、ごめんなさい。すごくデリカシーに欠けていて……」

 「ふふっ、気にしないで! 警戒をするのはね、悪いことばかりじゃないよ」

 「ええ、そのように、おっしゃっていただけると、すごく安堵するわ」

 (うーん……性格調査……完了だね。ここから、すごく重要なミッションだからね。できるだけ、疑念の心は、浄化しておきたいからね。……(食)。食事はね、任務をこなす上で、すごく基本的なこと。自身の食べるものはね、自身で調理をする……。相手に任せるということは、弱みを見せるということ……。リスクはね、なるべく、下げておきたいからね)


 「「「ごちそうさまでした!」」」

 「ふふっ。気に入っていただけて、すごく良かったよ」

 「いやあぁー……まさか、魔獣でさ、こんなにおいしい料理ができるなんてさ」

 「ねぇねぇ、ガイアルさん⁉ 僕たちの料理担当にならない?」

 「ええっ⁉」

 「おおっ⁉ マーク、それはさ、すごくいいアイデアだね」

 「えへへ、でしょ⁉ ねぇねぇ、どうかな?」

 「コラッ⁉ 二人共、やめなさい! ガイアルさん……ごめんなさい。この二人、すぐに調子に乗るから、聞き流してくれてね、構わないわよ」

 「あはは、思っていたより、大好評みたいで、すごく嬉しいよ」

(……そうだね。料理担当……ね。相手に背を見せる点において、すごくリスキーだけど、反面、帯同をしていても、不思議じゃない……。まあ、情報収集に、リスクは避けられないよね。その都度、状況に合わせて、考えておく方針にしよう)

「うん、そうだね。すごく短期間になると思うけど、よろしくお願いするよ」

 「おおー、決まりだね」

 「やっほおぉー……ガイアルさん、ありがとう!」

 『まあ、三人より……四人よね?』


 ガイアル、エルマ達に、今回のクエストについて、尋ねる……。


 「なるほど……遺跡の探索ね」

 「うん、ホントはね、メンテナンスという、すごく簡単なお仕事のはずだったのだけれど、放置をした結果……探索ということになったのよ」

 「言い得て妙だね。確かに、遺跡だって、生き物だからね。定期的なメンテナンスはね、すごく自然なことだよね」

 ―そして。

 一同、明日に備えて、テントで眠ることに……。


 ガイアル、眠っている三人を眺めながら……。


(…………[瞑想中]。……さあ、復唱をしておこう。エルマ・ガーデン、冒険者ギルドに所属している戦士さん……性格はね、お調子者。クラム・マリエル、冒険者ギルドに所属している魔法使いさん……性格はね、生真面目【きまじめ】。マーク・チャーリスト、冒険者ギルドに所属している僧侶さん……性格はね、能天気。うん、この世界の人となりを知るという意味において、エルマさんとマークさんに公開をするのは、あまり賢明な判断とは言えないよね。……そうだね。すごく無難に、ここはね、クラムさんかなぁ……)


 ガイアル、明日に備えて、眠りにつく……。


ご一読いただきありがとうございます。

お気に召されましたら、次回もよろしくお願いいたします。

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