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第十一話 帰還

●人間側の基地の司令室。

 大勢の鬼の兵士で占拠されている。

●すでに司令官をはじめその場の全ての人間が拘束されている。

●鬼の首領、ダースベー鬼が司令室の中央にたたずみ、

 拘束され、ひざまづかせた人間らを見下ろしている。

 その身長、およそ3メートル。

 真っ黒なマント。

 岩をも砕きそうな大きな手。3本の指。

 猫背で不恰好な体。

 息が荒い。


挿絵(By みてみん)


●基地に侵入した鬼の各部隊の小隊長が、

 司令室に戦況報告にやってくる。


(鬼の小隊長A)

ダースベー鬼様。

東側、地下の抵抗勢力を鎮圧しました。


(鬼の小隊長B)

ダースベー鬼様

基地の防空施設を全て占拠しました。


(鬼の小隊長C)

ダースベー鬼様

地下居住区画の人間を

全て支配下に置きました。


(ダースベー鬼)

地下にそんな施設があったのか。

どれほどの人間がいるのだ。

すーはー。


(鬼の小隊長C)

房の数から推測しますと、

2000人程度と思われます。


(ダースベー鬼)

それは上々。

すーはー。


(鬼の小隊長D)

ダースベー鬼様西棟抵抗勢力を

鎮圧しました。


●一鬼(※1)の鬼の兵士が慌ててダースベー鬼に

 駆け寄ってきた。


(鬼の小隊長E)

ダースベー鬼様大変です。

宇宙船発着ゲート付近に強力な敵が出現しました。

すでに多数の兵士が消滅。

手が付けられません。


(ダースベー鬼)

なんだと。

そこは最初に制圧した場所じゃないか。

伏兵がいたのか。

すーはー。


(鬼の小隊長E)

いえ、一人です。


(ダースベー鬼)

一人?


(鬼の小隊長E)

たった一人の、

大きなカナヅチを振り回す、

鎧武者です。


(ダースベー鬼)

女か?

すーはー。


(鬼の小隊長E)

わかりません。


(捕虜の人間の司令官)

おい、あの女のコじゃないのか。


(捕虜の人間A)

そうだ。

助けに来てくれたんだ。


●ダースベー鬼、人間の司令官らの方を見て、

 目を細めて言う。


(ダースベー鬼)

お前たち。

食料にする前に役に立ってもらうぞ。

すーはー。



●場面かわって宇宙船発着ゲート

●相変わらず卯乃が大暴れしている。


(卯乃)

がおおおお。

がお、がお、がお、がおおおお。

もう。

後から後から出てきて

きりがない。

こっちも鉄砲みたいなの

ないの?


(ウサギ)

卯女が使ってたマグナムがある。


(卯乃)

マグナムぅ?

シティーハンター?

ダーティーハリー?

次元?

おばあちゃん、そんなの使ってたん?


(ウサギ)

使ってみるか?


(卯乃)

なんでもいいから出して。


(ウサギ)

じゃあ、呪文。

チェベス・クックロック・マグナム。

鉄砲のイメージ。


(卯乃)

チェベス・クックロック・マグナム。


●卯乃の左手が光る。

●卯乃、鬼を1鬼蹴散らし、

 すばやく杵を脇に抱え、その光の中から、

 右手でマグナムをつかみ出す。

●襲い掛かってくる鬼の群れ。

 戦いながら。やられながら。逃げながら。


(卯乃)

おお、すごい、鉄砲だ。

犯罪だ。犯罪。


(ウサギ)

その銃に込められた弾は、

おまえのばあちゃん特製の

トリモチブレッドだ。

当たればモチが広がって、

相手を動けなくする。

それで、鬼が次々出てくる入り口を撃て。


(卯乃)

わかった。


●卯乃、左手で杵を振り回し、

 鬼をなぎ倒しながら、

 銃で鬼が次々出てくる通路の入り口を狙う。

●一瞬鬼の攻撃がゆるんだ隙に発射。


ばんばんばん。


●全部外れ。


(卯乃)

当たらへーん。


(ウサギ)

そんなもんだ。

素人が狙って当たるもんか。

勘で撃て。


ばん。


●通路入り口の鬼に当たり。

 入り口が塞がった。


(卯乃)

当たったー。

わたし名人?

次元?次元?


(ウサギ)

だから、まぐれなんだって。

血ながしながら、

明るくふるまうな。

気持ち悪い。


(卯乃)

この鉄砲。

もういらない。


(ウサギ)

勝手だな。

鎧の背中に、卯女が作った

ホルスターがある。

そこにしまっとけ。



●宇宙船発着ゲートに続く通路。

●屈強な歩兵を引き連れ、

 宇宙船発着ゲートに向かうダースベー鬼。

●通路の先方から一鬼の鬼の兵士が走ってきた。


(鬼の兵士)

ダースベー鬼様。

この通路はだめです。

モチのようなもので塞がれました。

別の通路を使いましょう。


(ダースベー鬼)

モチだと?

まちがいない。

そいつはウサギだ。

思いもかけないごちそうが現れたな。

皮をむいて、塩を擦り込んで

食ってやる。

すーはー。


●ダースベー鬼のよだれが

 床にしたたり落ちる。

●身をひるがえすダースベー鬼。



●再び宇宙船発着ゲート。

●手傷を負いながらも

 鬼をけちらしている卯乃。


●その時、

 突然後ろから大きな声がする。


(ダースベー鬼)

そこまでだ。

動くな。

すーはー。



●そのいかめしい、大きな声に、

 卯乃も、そして鬼の軍勢もたちまち制止し、

 静まりかえった。


(ダースベー鬼)

その輪子(りんす:あたまの羽)、

やはり貴様、ウサギだな。


●すばやく振り返る卯乃。

●そこには黒いマントを羽織った恐ろしい

 大きな鬼の首領がいた。

●言葉を失う卯乃。

●ウサギが卯乃にささやく。


(ウサギ)

卯乃。やったぞ。

向こうから出てきた。

あいつがこの心世界を支配している鬼だ。

あいつを倒せばおまえの任務は完了だ。


(卯乃)

そうなの?

でもあの人、わたしの事知ってるみたい。


(ウサギ)

よかったな。

有名人だ。


(ダースベー鬼)

ごちゃごちゃしゃべるな。

一言でもしゃべったら、

こいつらを殺す。


●ダースベー鬼がそういうと、

 部下の鬼の兵士が、

 捕らえられた、司令官をはじめ、

 10人ほどの人間を

 連行してきた。


(卯乃)

あっ。


●思わず声を漏らす卯乃。


(ダースベー鬼)

しゃべったな。

しゃべるなと言ったのに。


●そう言うと、

 ダースベー鬼が、

 大きな手で手近な人間を引き寄せ、

 両手で腰のあたりをつかみ、

 高々と頭上に持ち上げた。

●人間は恐怖で声も出ない。

●そして大きな口を開いて、

 頭から一気に飲み込んだ。


(卯乃)

きゃあ。


(ダースベー鬼)

また何か聞こえたぞ。


●そういうと同じようにして、

 次の人間を食べた。


●声が漏れないように

 口を押さえる卯乃。

●涙があふれる。


(卯乃)

ううっ。



●ダースベー鬼が卯乃をにらみつけ、

 大きな声で言う。


(ダースベー鬼)

さあ、オレ様の言うことを聞け。

聞かなければ一人づつ、

こいつらを食う。


●震えながら、小さくうなづく卯乃。


(ダースベー鬼)

まぁず、武器を捨てろ。


●卯乃、体がこわばって動けない。


(ダースベー鬼)

捨てろと言ってるのが聞こえないのか!


(卯乃)

はい。


●杵を手放す卯乃。


がこん。


(ダースベー鬼)

よし。次はその鎧を脱げ。


●小声で激しくウサギが叫ぶ。


(ウサギ)

やめろ卯乃。

そんな事したとたん、

撃たれて蜂の巣だぞ。

死ぬ気か。


(卯乃)

でも・・・でも・・・。


●泣いて、震えながら、

 とまどう卯乃。


(ウサギ)

あんな人質にかまうな。

大局を見ろ。

好機だ。戦え。あいつを倒せ!


(ダースベー鬼)

はぁ~?なんか聞こえましたけどぉ~。


●3人目の人間に手をかける

 ダースベー鬼。

●手をかけたのは人間側の司令官だ。


(司令官)

ううっ。

くそおっ!


(ダースベー鬼)

へへぇ。お前偉そうだな。

ひと飲みじゃなく、

足の先から少しづつ食ってやる。

痛いぞ~。


(卯乃)

やめてっ!


●思わず叫ぶ卯乃。


(ダースベー鬼)

やめない。

あ~ん。


がぶっ。


●司令官の膝下あたりに噛みつく

 ダーズベー鬼。


(司令官)

うああっ!


●激痛に声を上げる司令官。


(卯乃)

やめてっ。

鎧脱いだらいいんでしょ。

わたし、脱ぎます。

脱ぎますから、

もうやめて。


●泣きながら懇願する卯乃。


●高々と持ち上げられ、

 足を喰われながら、苦悶の表情で

 司令官が卯乃に言う。


(司令官)

だめだ。

わたしにかまうな。

戦ってくれ。


(ダースベー鬼)

なんだとこいつ。

ご飯のくせに偉そうな事を。

ほら、助けてくださいと言え。


●噛みついているアゴに力を込める

 ダースベー鬼。


(司令官)

ぐああっ。

はあ、はあ、はあ、はあ。

君は壁を壊した女のコだろ。

君が死んだら、

君があけた穴。

誰が直すんだい?


(ダースベー鬼)

うるさいなぁ。

腹まで食ってやる。


●口を少し開け、

 司令官の腹部まで飲み込む、

 ダースベー鬼。


(司令官)

ぐああっ。


(卯乃)

やめて、やめてお願いします。


●口から血を吐きながら司令官が言う。


(司令官)

君が心配していた、

カミハンテ・ソロは、

こいつらが攻めてくる前に

うまく逃げた。

だから安心して戦ってくれ。

君が希望なんだ。


(ダースベー鬼)

こいつ。食えねー奴だ。

もう食っちゃえ。


どかーーーん。


●突然の轟音と閃光。

 ダースベー鬼が真横に吹き飛ぶ。

●ダースベー鬼がくわえていた司令官は、

 吐き出されてその場に落下。

●宇宙船ドックの天井付近を大きく旋回する、

 一隻の小型宇宙船。


(卯乃)

あ、あの宇宙船。


●宇宙船の外部スピーカーから、

 陽気な声が流れてきた。


(カミハンテ・ソロ)

よー、司令官殿ー。

危機一髪だったなー。


(卯乃)

上終先生の宇宙船だー。


(カミハンテ・ソロ)

バニーちゃーん。

君が一人でここへ突っ込んで行くのが見えちゃってねー。

ほっとけなくて、

帰ってきちゃったよー。

君、もしかして、

僕の生徒ー?


(卯乃)

そーだよー。

先生も私も、見かけは違っちゃってるけど、

わたしー、先生にいつもお世話になってる。

望月卯乃だよー。


●卯乃を中心に上空を旋回する、

 カミハンテ・ソロの宇宙船。

 プレミアムファルコン号。


(卯乃)

勉強できなくてー。

先生に補習してもらったー。

望月卯乃だよー。


(ウサギ)

卯乃危ない!

飛べ!


●ダースベー鬼の大きな手が迫る。


ぶうん!


(卯乃)

きゃあ。


●間一髪飛び上がり、難を逃れた卯乃。

●ダースベー鬼が知らぬ間に卯乃たちのすぐそばまで

 近づいていた。


(ダースベー鬼)

うおおおおおお。

人間のぶんざいでー。

全員喰い殺してやるー。

ずーばー。


(カミハンテ・ソロ)

望月さーん。伏せてー。

見てろよー。

先生の射撃の腕前は宇宙一でーす。


●プレミアムファルコン号が、

 ダースベー鬼に向き直り、

 レーザー砲を発射!


キキユゥン。


どがあああん。

ばああああん。


●ダースベー鬼に命中。

●ものすごい閃光。

●激しい爆発。

●しかし、爆発の中でしっかり立っている、

 ダースベー鬼。


(ダースベー鬼)

ふん。


(カミハンテ・ソロ)

丈夫なこった。

ならばこれでどうだ。

頭、胴、手足。

連射で狙い撃ちだ。


キキユゥン。キキユゥン。キキユゥン。

キキユゥン。キキユゥン。


どがあああん。

ばああああん。

どん。どん。どん。


●激しい爆発の連続。飛び散る火花。

 まばゆい閃光。

●やがて煙がおさまる。

●そこには、拳をにぎり、両手を高く掲げた

 ダースベー鬼が立っている。


(カミハンテ・ソロ)

なんだとー。


●ダースベー鬼が、

 握った拳を広げる。


からん。からん。からん。


●手のひらから、

 エネルギーを失った。

 レーザー砲弾(※2)の弾頭が落ちる。


(カミハンテ・ソロ)

こいつ。

全部手で受け止めやがったのか。


●床に伏せている卯乃。

 ダースベー鬼を見上げて

 搾り出すように言う。


(卯乃)

これが、鬼なの・・・。

こんなのに勝てないよ・・・・。


●ダースベー鬼が卯乃に向き直る。


(ダースベー鬼)

まずはお前からだ。


●ダースベー鬼がゆっくり卯乃にせまる。

●ウサギが叫ぶ。


(ウサギ)

卯乃。立て。ひとまず逃げるんだ。卯乃ー。

逃げろー。


●怯えて、震えて、動けない卯乃。


(卯乃)

うううううううう。


●次の瞬間、先生の声が聞こえる。


(カミハンテ・ソロ)

悲しいけど、

俺って、先生なのよねー!


どがあぁぁぁぁぁぁぁぁん。


●卯乃の眼前の景色が、

 ダースベー鬼ごと横に流れる。

●カミハンテ・ソロが、

 プレミアム・ファルコン号で、

 ダースベー鬼に体当たりした。

●ダースベー鬼を巻き込んで、

 プレミアム・ファルコン号が壁に激突。

 爆発。


どどどどどどどどどどどーーーん。


(卯乃)

先生ー!


●誘爆し爆発を繰り返す、

 プレミアム・ファルコン号。

 激しい炎に包まれる。


どーーーん。

どどーーーーーん。


(卯乃)

先生ーーー!


(ウサギ)

卯乃。卯乃。卯乃。

しっかりしろ。卯乃。

今のうちに逃げるぞ。


(卯乃)

先生がー!先生がー!


(ウサギ)

あの先生はもうだめだ。

助からない。

あいつがまた来る前に、

逃げるんだ。


(卯乃)

えっ?


(ウサギ)

あいつは死んでない。

まわりを見ろ。

幻鬼が消えてない。

この鬼の兵隊たちがいるってことは、

鬼本体が死んでないって

ことなんだ。


ばこーーーん!


●炎に包まれた、

 プレミアム・ファルコン号の船体を突き破って

 何かが出てきた。

●卯乃の顔が青ざめる。

●突き破った船体の穴から、

 ダースベー鬼の上半身が出ている。

●挟まった体を抜け出そうともがく

 ダースベー鬼。

●よく見ると、大きくふくらんだ口から、

 人間の足が出ている。

●ダースベー鬼の

 頬がはげしく動いている。

 ダースベー鬼の口の中で、

 誰かが暴れている。


(卯乃)

あっ。

先生だ。先生が食べられてる。

助けなきゃ!


●スーパーロケット杵の柄に

 手をかける卯乃。


ごごごごごごごごご。


●その時、

 地面の底から響くような、大きな地鳴り。

●宇宙船発着ゲートの出口から突風が吹き込む。


びゅおぉぉぉぉ。


(ウサギ)

卯乃。

後ろを見ろ!


(卯乃)

えっ?


●上空に待機していた宇宙船が、

 地上すれすれまで降下し、

 船体下部の巨大な砲塔が卯乃に向けられている。

●炎の中で、下半身を挟まれた

 ダースベー鬼が、

 上終先生をくわえ、

 目を細め、笑いながら言う。




撃て。




●卯乃の視界が真っ白になる。

●激しい閃光。

●暴風。

●やがて音がしなくなり、

 静寂がおとずれ、

 視界をとりもどす。


●そこは、下鴨警察署の

 取調室だった。


挿絵(By みてみん)


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※1「一鬼」:鬼を数える時の単位。

※2「レーザー砲弾」:レーザー技術を貫通力に利用し、

破壊力を実弾で実現した未来の弾頭。

レーザーの出力を調整して、

命中した目標の破壊したい場所で爆発させる事ができる。

例えば、敵の宇宙船の表面だけにダメージを与えたり、

内部で爆発させたりできる。

小銃に応用したものは、

相手の体表で爆発させて敵の突撃を止めたり。

貫通させて、相手の損傷を最小限にしたりできる。

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次回をお楽しみに(^-^)/

ぷるるん戦士奮戦記【日本諸鬼】エンディングイメージテーマ♪

         ↓

http://www.youtube.com/watch?v=AHJ2T0EeiLM&feature=channel





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~月読神社のおみくじで運だめし・卯乃の声も聞けちゃう~

ぷるるん戦士奮戦記「日本諸鬼」オフィシャルサイト !

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