8.無自覚はすれ違い?
すみません。お待たせしました。
何も考えていない男と気づいていない女なので、どう頑張ってもアヤシクなりません。
期待された方がいたらすみませんm(__)m
むしろアヤシクなりそうな表現を修正するのに苦労したかも……
気が付くと朝になっていた。
大変な夜だった。
聖剣を抜き取られ、あれよあれよと誘拐された。
なのに今、不思議なまどろみと、暖かい幸福感に満たされているのを感じる。
──?……なぜだろう、懐かしい感覚……?
目の前は、白い。
シーツだ。アマリアは自分がくるまれているものの正体に思い当たった。
そういえば昨夜、男がシーツで聖剣を隠していたからそれだろう。
それにしてもだ。明らかにおかしい。
寝落ちした時に、剣と一体に戻ったのは分かる。いつものことだ。
だが通常であれば、起きてすぐに剣を俯瞰した状態になるのに、なぜか横たわったまま体の自由が利かない。
いつもと違うことといえば、昨夜、男が聖剣を抜いたことくらいだろうか……
剣から抜け出せず体が動かないのは、その影響?
それとも聖剣を何かで包むと抜け出せなくなる仕様でもあるのだろうか。
──ここに来て、まさかの聖剣完全一体化?それは勘弁して?!
切実に思う。
ただでさえ、剣の周り半径1〜2m程度の行動半径しか自由がなかったのだ。
完全に剣との一体化など、考えただけでも冗談じゃない。
内心あせっていると、男が身じろぎをした。
力が抜けそうな吐息とともに、剣を、自分を、きゅっと包み込む。
──!!?
驚き、違和感、矛盾、疑問。
そして、……暖かさ。
頭に「???」と、疑問が飛び散る。
だが、男は考える余裕を与えず、ぎゅうぅぅっと、圧迫し始めた。
──@$#%&!@???
驚きと苦しさと、さらに驚きで絶句する。
──くっ、苦しいっ!折れるっ!?ギブギブ!!
精神的な話ではない。物理的に、苦しい。
昨日まではなかった、人間的な感覚。
なぜ、どうして。
そう思うも、とにかく苦しくてそれどころではない。
寝ぼけているのか、状況が分かっていないのか、男は気にする気配もない。
──何なの!?剣に絞め技とか正気?聖剣は『使い手』を傷つけないとか、そーゆーオチなの?!痛くないの?
男は何事もなかったかのようにぎゅうぎゅうし続ける。
幸いなことに、死ぬほど強く圧迫されたのは一度きりだったが、やんわり抱きしめられ、なぜか顔もすり寄られている気がする。
手も、緩慢だが、決して動きを止めず、撫でたり、ワキワキ、ぎゅうぎゅうしている。
絞め技などではない。明らかに抱きしめられている──
「……ひっ!」
ここにきてアマリアは、ようやく自分が生身であることに気がついて、悲鳴を上げそうになった。
──な、な、な、なんで?どうして?昨日まで私、剣だったじゃない。
「……ん?」
男はアマリアに気づきそうになったが、気の所為と思ったようだった。
──悲鳴をこらえた自分、ナイス!男が寝ぼけている今のうちに剣に戻るのよ、自分!
アマリアは、体の自由が利かないのは、自分が剣であるせいだと思い込んでいた。それゆえ少しのきっかけで剣に戻るはずと信じていた。
実はただ単に、驚きと恐怖と久々の肉体のせいなどとは知る由もない。
体を失った時の記憶が生々しいが故に、『体はもうない』という刷り込みが染み付いているせいかもしれない。
男は「うーん?いや、しかし……いやいや」と、何か思案に耽っている。
まだ寝ぼけているのか、大型の愛犬か愛猫に対するようなスキンシップは継続中だ。
自分の腕の中にいるのが生身の女だとは思っていない、ような気がする。
……そのはずだ。
だというのに、だ。
それにもかかわらず、何か確認するように、触ってくる。
それもあっちこっち。
──ひいいいぃぃぃっ!私は剣、剣なんだから、早く、早く剣に戻ってぇぇっ!
アマリアは自己暗示に余念がない。それはもう必死だ。
だが、ついに、無意識に目を背けていた事実に気がついてしまった。
──ワタシ、モシカシテ……
冷や汗が出る。
理由はわからないが、剣から生身に戻ってしまった以上、ソノ可能性は予想して然るべきだった。
ずっと見てきたはずだった。聖衣はずっと聖剣の隣にあったではないか。
──っ!ワタシ、は、はだ、はだ、はだか!!??
絶叫は声にならなかった。
しばらくの間、呆然と固まるアマリア。
しかし、男が急に動き出したとき、奇跡的に『このシーツだけは死守しないと!』と思い至った。
「──そうだ!この中には剣がっ」
まさか、まさか、その一言と共に、シーツを剥がしにかかるとは。
「ひゃぁぁぁぁぁっ」
アマリアは、渾身の全身ガードでシーツを抑え込んだ。
「…………」
「…………」
あるはずの剣がなく、いるはずのない女がいる。
そして信じがたい状況続きの中、突然身ぐるみはがされそうになるアマリア。
かたく目を瞑ってシーツを死守したアマリアだったが、男が絶句して固まっている気配を感じ、そろそろを目を開ける。
目が合う。
思考が停止していたのは一瞬。
ゆるゆると思考が動き始める。
──っっ!!!
だが、二人の思考が動きに変わるよりも先に────
「動くな!聖剣の盗難容疑により取り調べる。男を取り押さえろ!」
状況が動いた。
男は自分が考えていたよりもかなり多めに触っていたらしい、という話でした。
男はボディチェックくらいの意味でしか触ってませんが、女側からするとたまったもんじゃないわけで。
どこまで突っ込んで書くか悩みましたが、今回はバッサリ削らせてもらいました。
前書きにも書きましたが、期待していた方がいらっしゃいましたらホントすみません。
今更ですがアクセス解析という機能にやっと気が付きました。
読んでいただきましてありがとうございます!
見てる方がいるとわかり、安心したような、身が引き締まったような(笑)
今後ともよろしくお願いいたします。