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悪役令嬢は死んで観光名所になりました。  作者: ひるねころん
第一章 旅立ち
6/24

6.誘拐犯は拷問具?

「R"じゃない"回」です(なんだそりゃ(笑))


なぜなら男が「オレヤッテナイ」言ってるので(笑)

男が無罪か有罪かは読者様が決めてくださいm(__)m

(とか言いつつそんな大層な話ではないです)

───良く寝た───


 自己回復に効果が高いという噂の聖水を飲んだせいか、ずいぶん頭がすっきりしている。

 昨夜はかなりの深酒だった。

 にもかかわらず、ここ数か月のうちには感じたことがないほどの爽快さだ。


 一昨日も聖水を飲んでいるはずだが、昨日の朝は『まあまあ』という感じだった。

 連日飲むと違うのだろうか。


 それに、この宿のサービスだろうか、体にフィットする抱き枕が、また良い感じの抱き心地を醸し出していて……良い。


 なんとなく、ぬいぐるみを抱っこして眠る貴族の子というのはこんな至福を味わっているのだろうかと思いつつ、抱き枕を堪能する。


 ……ひっ!


 何か不思議な音が聞こえて、ふと我に返る。


「……ん?」


 鳥?ネズミ?

 いや、それ以前に。

 昨日は抱き枕なんてなかったよな?


 自分がぎゅうっと抱きしめている、シーツにくるまれたソレを、停止した思考を動かすように、ゆっくり、ゆっくりと確認し始める。


 ぎゅう……ぎゅう……


 やわらかい。そしてほんのり暖かい。自分の体温かもしれないが。

 大きさは自分よりかなり小さいが、抱き枕にしては大きい方だろう。

 抱き心地は、藁でなく、布でなく、だからと言って綿って感じでもない。


 つまりこれは布団じゃない……もっと瑞々しい、搾りたてのミルクを皮袋にいれたやつに似てるか?

 いや、そんなのよりもっと弾力に富む、血肉の通った感じ──


────人、だ。


 自分のあまりに緩やかな思考回路に、思っていたより寝ぼけていたことを自覚する。

 現実逃避した思考がクリアになっていき、だんだんと血の気が引いていく。


 え?……昨夜?俺、何してた?


 酒飲んだろ?確か飲み明けの聖水とか言って庭園に行って……あ、剣抜いたな。

 え?え?もしかして人を試し切りして、隠すために連れてきた……?とか?


 一気に背筋が凍る。


 いや、俺、落ち着け。

 コレ(・・)はどう見ても、いや、どう感じてみても生きている(と思う)!

 そういばさっき、抱きしめたときに微かに動いた(気がする)!


 コレ(・・)、死体じゃない。

 オレヤッテナイ。オレムザイ。

 よし、大丈夫。


 ふぅ。と一息つく。


 驚いて固まってしまったので白いシーツの塊は抱いたままだが、死体じゃないならセーフだ。


 だが。となると、コレは誰で、なぜここにいる?


 サイズと抱き心地的には多分……おんな、だ。

 そして冒険者(どうぎょうしゃ)じゃない。


 冒険者であれば、戦士でなくとも体に基本的(それなり)な筋肉はついている。旅や戦闘でいやでも必要な筋肉はついてくるものだし、初心者でもそれに耐えうる必要最低限というものがある。

 コレ(・・)にはそれがない。


 昨夜ナンパでもしたか?

 いや、でも夕べはもう深夜をすぎていたし、すでに人の気配もなかった。

 ならどっかで商売女でも買ったか?深夜に?コレ(・・)を、か?

 ありえない。


 コレ(・・)の筋肉、体つき、均整のとれ方、匂い。

 シーツ越しの触れ合いでも分かる。どれをとってもそんじょそこらの女じゃありえない。ちょっといい娼館の女でもここまでにはならないだろう。

 コレ(・・)が本当に商売女だとしたらそれは貴族の、しかも上流専門だ。

 そんなのを深夜に、ただの酔っ払いが、街中で、偶然買う?

 いや、ないだろ。ないない。


 それに……今までの自分の行動を考えても、やはりそれはない。


 男も若い。そして体力もある冒険者だ。

 だが、あとくされなく街の娼館にふらりと行くことはあっても、買ってくることはなかった。

 男は常に一人で行動していた。たとえ一晩といえども自分のテリトリーに人を入れることを好まなかったからだ。

 だらこそ、一人での戦闘に耐えうるような良い剣を欲していたというのもあるが。


……そういや、剣だ。どこへやった?昨夜帰ってきてから……


 昨夜、宿に帰ってきた時にはそこそこ酔いから覚めていて、剣をじっくり確認したことを思い出す。


 刃こぼれどころか錆一つない剣。

 刃の部分だけでも明らかに一級、いや特級品だ。

 意匠も、見たこともないほどの精巧な作りで、なのに欠けがない。

 よく見ると高そうな石も埋め込まれている。

 国宝級というのはこういうものを指すのだろうと思えた。


 まだ自分は酔っているのかもしれない。

 本当に国宝級の剣があんな野ざらしに放置されるものだろうか。


 男は半信半疑のまま、とりえず盗まれないようにと、シーツに無造作にくるむと肌身から離さないように眠りについた。




「──そうだ!この中には剣がっ」


 なぜ女がいるかはともかく、剣と一緒に抱き枕にしてしまった。

 今は生きていても、剣が刺さってしまってはまずい。


 男は、自分が鉄の処女という名の拷問具になってしまう錯覚に眩暈を覚えながらも、焦ってシーツを暴こうとした。

 その時────


「ひゃぁぁぁぁぁっ」


 はぎとろうとしたシーツが悲鳴を上げた。


 いや……女、だ。

 予想通りの、だがしかし全裸のソレは、剥がされないようにシーツを抱えて(うずくま)っている。


 剣は、どう見ても、なかった。




男。名乗る場がなく、ナナシ街道まっしぐら(笑)


何度か我に返ったり、現実逃避から戻ったりした風にしていますが、全然です。

最後まで現実逃避していますが、本人は気づいていません(笑)


その証拠は、次回アマリアが示してくれる、はず。


年末年始なので、自分の時間が読めませんが、一応次回は

元旦7時を予定しています。

皆様良いお年をお迎えください。(誰も読んでなさそうだけどね!w ;P)


来年は作者のテンションが上がるような応援コメントとかイイネとかありますように!(-人-)


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