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鬼譚蒐  作者: 錦木
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会鬼譚 1.

 俺こと赤江あかえつくるは鬼である。

 人間ではない。

 我が輩は猫である名前はまだない、というふうになってしまったがつまりはそういうことなのだ。

 おとぎ話に出てくる鬼のような角はない。

 人の生き血を飲み、肉を食うが普段は人間と同じ牛や豚の肉で十分平気だ。

 背が高く手足も常人よりは長いので時々何処の国の出身かと聞かれるが、外見も普通の人間と変わらない。

 まあ何が変わっているかと聞かれれば普通の人間にはないまさに怪物じみた膂力りょりょく、あと五感が鋭いことぐらいだろうか。

 それ以外は、他の人間と何も変わりは無いはずなのだ。たまに知り合いに思考回路がおかしいぐらいのことは言われるがそんなことを気にしては生きていけない。

 生きていけない。そう俺は生きているとも言えないがなまじ頑丈なので簡単には死ねない身の上でもあるのだ。

 時々忘れてしまうこの特性を活かして俺は人の世を渡っていくために「始末屋」なるものを名乗っていた。名乗っていたというか自然にそう呼ばれるようになっていたのだが、まあそれはいい。

 人間が増えすぎた現在、怪物が世の中を渡っていくのも大変なのだ。世知辛い世の中である。

 怪物であり、怪異である鬼。

 そも、鬼というものは過去からおとぎ話の中の悪役ではスター的な存在で妖怪ともまた違う存在と定義されていたりする。

 中国の道教では鬼と書いて人の魂のことを指すらしいがそれはまた別物だ。読み方も鬼で「き」と読むらしいし。俺は霊魂的な心霊的な存在ではない。きちんと足もあるし姿を現わしたり消えたりなんて器用な真似も出来ない。

 それはいいとして、鬼は時としてそんな特性から人と手を組むこともある。昔々の平安時代あたり、陰陽師との関係が良い例だ。本来退治されるべき害獣である鬼を懐柔し、その見返りに鬼は人間同士、あるいは人間と怪物の争いの中に巻き込まれる。ギブアンドテイク。美しきかな。

 まあ物事はそんなに単純な話じゃないんだが。

 何故長々と俺がこんな話をしているのかというとこれが現在の俺の生業にしている「始末屋」に繋がる話であり、今回の出来事、事件、呼び方なんて何でもいいが物語の遠因だからである。

 さあ話をどこから始めようか。まずは俺が依頼人兼共犯者である女子高生に声をかけられたあたりかな。

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