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 俺たちは部室に入った。


 すると七宮は、すぐに俺に抱き着いてきた。


「素晴らしいよ、緒方君! 私は教師の買収なんて、全く思いつかなかった! 完全に君の手柄だ! 大手柄だよ!」


 大興奮の七宮。こうも喜ばれると、俺も何だか嬉しくなってくる。


「もう答えは出たようなものだ。今、私たちには二つのことを考えなくてはならない。一つは、教師を買収した場合。そしてもう一つは、警察学園の検察科の生徒を買収した場合だ」

「教師の場合は10万ポイント。検察科の生徒は20万ポイント。俺たちに付与されているのは15万ポイントだから、本来は検察科の買収は不可能。でも、半額クーポンがある」

「その通りだよ緒方君。半額で10万ポイント。充分に支払い可能だ。しかし、両方を支払うことはできない。教師の方に10万ポイントを支払えば残りは5万ポイント。当然、検察科の買収ができない。一方で検察科は半額クーポンを適用して10万ポイントで買ったとしても、やはり同じように残りは5万ポイント。今度は教師の方が買収できない」


 七宮の言う通りだ。そして密室を作りだすには教師の買収が必要不可欠。犯人のポイントは残り5万ポイントで、検察科の買収が不可能になる。


「あ、いや。ちょっと待てよ。他生徒からポイントを借りたら、関係ないんじゃないか」


 と俺は気付いたことを述べる。


「いや。心配ないよ。何故なら……」


 七宮はアガサの画面を見せる。そこには、生徒間の取引履歴が数件ほど記載されていた。


「アガサのマニュアルによると、生徒間の取引のみがここの履歴に記載されるらしい。つまりこの一覧において不明なのは、教師との取引と、やはり姉妹校の警察学園の生徒との取引のみだ」


 俺は画面を見る。複数件の取引が表示されている。うち一件は、俺が坂柳に部費を支払ったものだ。それ以外で、クエストに関連しそうな生徒同士の取引は一切ない。


 よって検察科の買収はやはり不可能。死亡推定時刻は正しい。


 つまり、死亡推定時刻にアリバイがない部員が犯人だ。



「犯人は、真賀南だ」



 俺は確信して、犯人の名前を口にした。

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