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「少し別のことを考えようか」


 密室トリックに関して、俺たちは完全に行き詰まっていた。


 なのでキリがないからと、七宮が別の話題を振った。


「部員の中で、誰が一番怪しいか。密室トリックを抜きにして考えるのであれば、アリバイがないのは真賀さんだよ」


 七宮が言った。そして時系列順にまとめてくれた。


 最初に食堂を出たのが七宮。時刻は13時丁度。そして2時間後の15時に戻ってきた。


 次に綾瀬。入れ替わるように、15時に食堂を出て、やはり2時間後の17時に戻ってきた。


 最後に真賀。入れ替わるように、17時に食堂を出て、同じく2時間後の19時に戻ってきた。


 そして死亡推定時刻は、17時から19時の間。真賀のいなかった時間と完全に一致している。


「というか、面談にしては長かったよな。しかも俺は呼ばれていなかったし」

「当たり前だよ。あれは探偵と殺人鬼の生徒に向けた面談だった」

「なるほど。俺が呼ばれなかったのは、そういうことか。俺が、標的だから」


 つくづく、標的の生徒は仲間外れなのだな、と実感する。


「というか、あれは面談というより説明会と言った方が正しい」


 と七宮は面談の様子を説明した。


 俺には面談は一人ずつ呼ばれていたかのように見えたが、実は複数人の探偵と殺人鬼を呼んでいたそうだ。


 集まった複数人にまとめて、改めてクエスト関連の説明をされていたという。


 そしてこの学園では、クエスト以外での殺人鬼の生徒がバレてしまうことに配慮されている。何故なら、殺人鬼であることがバレてしまうとクエストにおいて不利となってしまうからだ。


 だから説明会は黒いマスクのようなものをつけて、誰が参加しているか分からない状態だったという。


 要するに、面談を担当した教師に参加しなかった生徒を尋ねたところで、顔が分からないから教師自身も分かるはずがない、ということであった。


「ところで緒方君。密室トリックの件だが、一つ思いついたことがある」

「と、いうと?」

「私たちが、勝手に密室だと思い込んでいる可能性だよ」


 七宮はそう言うと、職員室に行こうと言い出した。確認したいことがあるそうだ。


 俺は了承した。二人で職員室へ向かった。





「ええ。スペアキーは全ての部屋分あるわよ」


 と、鍵を管理している教師が言った。職員室の端にある、壁に立てかけられた鉄製の収納箱の前でのことであった。その収納箱には当然、この学園の鍵が保管されている。


「では昨日、部室のスペアキーを借りた人物はいますか?」


 と七宮が核心に迫る質問をした。これで借りた人物がいれば、そいつが犯人だ。


「いないわね」


 と教師は答えた。俺は、がっくりと肩を下す。


「では、盗まれたり、勝手に持ち出された可能性は?」


 と七宮。すると教師は、懐から鍵を取り出した。そしてその鍵を収納箱の鍵穴に刺して開錠した。収納箱を開いて、部室のスペアキーを見せつけた。


「このように、現時点で鍵はあります。そして収納箱は今見た通り、私が持つ鍵で常に施錠されているわ。私の知らないところで、鍵を持ち出すのは不可能よ」


 教師が言った。これで、密室であることは確定したのだ。

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