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 翌日。7時半に俺は目が覚めた。


 憂鬱な気分で、ベッドから起き上がる。6畳のワンルームには、まだ山ほど段ボールが積みあがっている。昨日は荷物の整理なんて出来なかったから、当然だ。


 俺は寝巻のまま、一旦部屋の外に出た。廊下を進み共用の洗面所に着くと、顔と歯を洗った。そして再度、自室に戻った。


 制服に着替えようとした時。インターホンが鳴った。ドアを開けると、そこには七宮が立っていた。彼女は既に制服に着替えていた。


「おはよう、緒方君。きちんと眠れたかい……って、その様子だと眠れなかったみたいだね」


 七宮はそう言って、自身の目元を指さした。俺も先ほど洗面所で自身の顔を見たから分かる。俺の目元にできた隈は酷いものだった。


「昨日の件で、アガサに通知が来ている。君は多分、気付いていないと思ってね」


 七宮の言う通り、俺はアガサの通知を一切確認していない。とりあえず確認する。警察学園への通報の通知の直後に、もう一件通知が来ていた。


「クエスト……?」


 俺は呟いた。件名にはクエストと、そう書かれていた。


「ああ。昨日説明したシステムのことだよ。殺人鬼が標的を殺害し、探偵がそれを究明する。この一連の流れをクエストと呼ぶらしい」

「へえ……」


 俺は相槌を打ちながら、画面を確認する。どうやらクエストに挑戦する生徒が決められているらしい。探偵という項目には、俺と七宮の名前が表示されている。


「とりあえず。そういった諸々の説明を学校に行くまでに済ませてしまおうと思ってね。君はまず制服に着替えて、それから食堂に来るんだ。朝食を摂りながら話そう」


 ああ、と俺が生返事をした。すると七宮は俺の部屋から出て行った。多分、食堂に向かったのだ。


 俺は億劫な気分で制服に着替える。そして荷物を持って、部屋を出た。





 食堂には既に七宮がいた。彼女は300ポイント掛かる朝食定食を頼んでいた。


「来たね。まず、クエストについて詳細を説明しようと思う」


 七宮の説明の内容はこうだ。


 まずクエストの流れについて。殺人鬼の生徒が標的の生徒を殺害し、第一発見者が現れた時点で、クエスト開始となる。


 クエスト開始時、クエストの探偵役として生徒が選出される。なお、選出の基準は明かされていない。


 探偵役として選出された生徒には、回数制限の回答権が与えられる。探偵役の生徒はこの回答権を行使して、犯人の名前を提出する。提出した名前と犯人の名前が一致していたら、その時点で提出した探偵役の生徒の勝利。クエストは終了となる。


 探偵役の全生徒の回答権の回数が、全て消費された場合。またはクエスト開始から一週間が経過した場合。殺人鬼の生徒の勝利となる。


「そして今回のクエストで探偵役に選ばれた生徒が、私と緒方君だ。回答権はそれぞれ一回。提出方法は、アガサによって可能」

「一発勝負ってわけか。中々シビアだな」


 七宮の説明に、俺は言った。


「そうでもないよ。私たちは二人。そして容疑者も二人。最悪、君と私で別々の人物を指名すれば、勝利できる」

「容疑者? もう絞れているのか」


 俺は関心したように言った。


「ああ。その辺の説明も、しておこうと思っていたんだ」


 七宮はそう言って、説明をし始めた。

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