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21 見つかったものの… 

今日も2、3話位アップしたいと思います。

 ホーリージェム紛失から、あれから数日経つ。

 でも未だに見つかっていない。

 アンジュ本人はそんなもの必要ないと本気で思っているからか、

 大して気にしていないのだが、やはり周りは気にしている。

 そろそろ紛失したことを国王陛下に伝えなくてはならないのでは、

 と言う話に発展しそうになっている。



「父上は魔王を恐れているからな……。

 できれば不要な心配をさせたくない」



 そう言うクローヴィスが止めている状況である。

 ほんとどこにいったんだろう。



 そして、私はすごくすごく居心地が悪い。

 何となく、疑いの眼差しを感じるのだ。

 汚水事件から信頼度がマイナス近くまで落ちているから仕方ないと言えばそうなのだが……。


 お前が盗ったのか等とは直接言われてるわけではないので、否定することもできないのであった。



 今日も訓練に出掛けている一行。

 私は通常の課題をこなし、学園に戻ってきたところだ。


 剣はやっぱり残念な腕前なのは変わらないが、

 攻撃魔法は少しはましになった気もする。

 でも、娼館から逃げれるくらいの腕にならないと。


 私は少し遅くなったので足早に校舎へ。


 アンジュたちはもう戻っていているだろうか。

 もういるなら、直接リュカ先生のところに行った方がいいかな。


 リュカ先生が不在の時には別の先生のところに行っていたのだが、

 この時間ならアンジュも戻ってきてることが多いから先生もいるだろう。


 そう判断して、いつもの部屋に早歩きで向かった。


 と、長い廊下をずんずん進んでいると、

 急に空き部屋から男子生徒が飛び出してきて思い切りぶつかってしまう。



「わっ!」

「うっ!」



 結構な勢いで飛んでしまい、鞄が投げ出される。痛い。

 鞄の中身がこぼれた。

 あれ? ちゃんと閉めておかなかったっけ。


 思い切り打ち付けた膝をさすりながら顔を上げるが、

 ぶつかってきた小柄な男子生徒は悪かったな!と言いながらさっさと走り去ってしまった。


 相当急いでたのだろうか。

 美少女を転ばせておいて最低な輩だ。


「あら、大丈夫ですの?

 シルヴィ様」

「あ……大丈夫です」


 通りがかったクローヴィスを好きらしい品のよい令嬢……。

 エレオノーラ様だったか……今日はお付きの人はいないのかな……。

 彼女が助け起こしてくれる。

 優しい……。


 エレオノーラ様とふたりで鞄の中身をかき集めていると、

 あり得ないものが落ちていた。


「こ、これ……!」

「どうされましたか? シルヴィ様」

「い、いえ……」


 まさか、さっきの男子生徒が……!?


 私は彼が去った方向を見つめ、唸るのだった。




 エレオノーラ様にお礼を言い、

 慌ててリュカ先生のもとへ向かった。

 部屋に入ると、皆が寛いでいた。


「シルヴィさん。お疲れ様でした。

 ……どうしました?」

「どうしたんだシルヴィ。

 そんな息を切らして」


 私はぜえはあと息を吐きつつもアンジュにそれを差し出す。


「あったの……」

「!」

「ホーリージェム!」

「どこでこれを!?」


 私は息を整えつつ、皆に説明する。


「ぶつかってきた、男?」

「はい。その時鞄の中身をぶちまけてしまったんですけど、

 そこに紛れていたんです」

「怪しいな……どんな奴だった?」

「うーん、すぐに走り去ってしまったので、顔は見てないのですが……。

 茶色の短髪で、体型は結構小柄な男子生徒でした」

「特徴的じゃないな。

 割り出すのは苦労しそうだ」

「あ、ぶつかったあと、エレオノーラ様が助けてくれたんです。

 もしかしたら彼女が見ているかも」

「よし、あとでエレオノーラには僕が聞いておく」


 クローヴィス殿下がそう言った。

 やっぱり知り合いなのね。


 アンジュがホーリージェムを首から下げつつ、言う。


「別に戻ってきたからいいんじゃないか?」

「そう言うわけにはいかないよ。

 陛下から賜った聖女の力を増幅する宝玉を盗み出すなんて、

 国家反逆と見なされてもおかしくない」

「ふーん、そう言うもんか」


 アンジュは興味もなさそうに言って、

 私に帰ろうぜ、と促した。



 すっかり忘れていた課題を提出し、私たちは部屋に戻ったのだった。

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