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私のパパ(魔王)は勇者に討伐されました  作者: 緋谷りん
祖国と帰ってきた姫君
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光魔法


 激闘が続く中、ガビーは戦場を蹂躙するべく地中に根を貼り続けていた。

 いや、正しくは昨晩まであった森を反転させて地中に埋め込んだ。

 これも土魔法・大地魔法の使い手である精霊王ガルボスと魔獣王ドゥクスが居るから出来た連携技。



 その地中に張られた根を通してガビーは破壊作戦を実行した。

 何を破壊するかというと——。



「逃げろー! 塹壕(ざんごう)が壊れ始めている!」



 魔竜国軍が作り上げた塹壕に根を出して掌握するとそのまま圧迫して粉砕する。

 塹壕に取り残された窒息死した竜人に種を植え付けて養分に変えると瞬時に木を生やす。


 その木は、攻撃すれば自動的に反撃する様に仕込んでいた。



 この一撃によって魔竜軍の前線は崩壊し、本部まで根を伸ばそうとした時、突然途切れた。


 何者かに切断されたのだ。

 しかも、それだけでなく波状的に”全ての根”が斬られてしまい効果が消えてしまう。



 その方向を向くと長身の軍服を着た軍人が軍刀を手にして立っていた。

 その横には、黒髪の女が同じ様に軍刀を手にして立っている。



「ここはミサキに任せますよ」


「師匠はどうされるのですか?」


「裏切り者を殺します」



 なるほど! と元気に相槌を打っている女——ミサキと言っていた。

 ガビーは、嫌な気がしてきた。


 ここにミサキ、ブティがいると言う事は、ソフィアが向かった先で待っているのはゾフィー。


 情報が無いミサキがこの場にやってきたという事実と、何かを見透かされている様な気がする。



「では、魔王退治を始めます」


「お願いしますよ」


「師匠、もうその演技は要らないと思います」


「……なんじゃ、興が醒めるのうミサキ」



 その喋り方に変わって軍帽を脱ぎ捨てた男を見てガビーは悪寒に襲われる。

 あの切れ長な黒目に真っ黒な髪、魔族のみならず同胞すらおもちゃとしか思っていない顔。



「キグレ、確認! すぐに……」


「師匠の邪魔はさせません!」



 さっきまで遠いところに居たミサキが目の前で軍刀を叩き付けようとしてきた。

 すぐさま根を出して守ると金属音を響かせる。



「くっ!」



 キグレの方に根を向かわせるが、見えない速度で切断される。

 振ってすらいないが、風が動いているのを感じてガビーは戦慄する。



「どれだけの化け物だ」


「よそ見はいけませんね!」



 ミサキの軍刀が根を——切った。

 ガビーは、すぐに後転して回避するとミサキの全身に根を巻きつける。


 だが、根は何事も無かったのかのよう切断されてバラされる。


 自身の手に根を纏わせて籠手を作り出して強化させると本気で殴りつけた。

 すぐに軍刀の刃が、ガビー目掛けて斬りつけてくるが籠手で防御した。


 その時だった。


 刃に光がまとわりつく。

 すると、瞬時に熱を発し出して籠手を焼き付ける。



「光魔法か、厄介な!」


「極めれば何事にも使えます。それこそ光です!」



 光が瞬く間に光放つ。

 強烈な光に目を瞑ると一気に熱が籠手から伝わってきた。


 籠手を自ら分解して距離を取ると腹に衝撃が走る。


 ミサキが軍靴でガビーの腹を蹴り抜いていた。


 吹き飛ばされながらも地面から根を突き出してどうにかクッションを作り出す。

 そのまま根に支えて貰って体制を整えようとした時、軍刀が迫ってくる。



「この!」



 自分自身を根で吹き飛ばして強引に避けるとまたしても焼き切られていた。



「光の熱で根を焼いたのか」


「そうです。光は、叡智を——そして創造を与えて下さる」



 また一瞬にしてガビーの目の前に立って軍刀を振り下ろした時、ガビーは地中に手を置いた。



「【森林魔法・森林創造!】」



 地面から複数の木が飛び出して小さな森を作り出す。

 その勢いに乗ってミサキが吹き飛ばされた。


 その瞬間にガビーは、体制を整えて【権能】を解放させようとした時——



 腹に何か突き刺さった。



「グフっ……」



 腹部が熱くなってきて見てみると光の杭が突き刺さっていた。

 光の杭が消え去ると血が吹き出した。



「【光魔法・光の杭】」



 吹き飛ばした筈のミサキが目の前に立って魔法を詠唱するともう一本の光の杭がガビーを貫いた。



 ★★★★★



「あ、安心してください、(わたくし)が守ります」



 アシュバは両膝の震えを両手で止めながらシュンスケとナミルに言う。

 その頼りなさからシュンスケに苦言を言われたが、アシュバは首を横に振った。



「私は、ソフィア様に頼まれてここに居ます。ですから……私が客人を守るのです」


「そんなにもソフィアが大切なんだな」



 シュンスケの言葉にアシュバは鼻で笑った。



「大切なんて言葉でソフィア様を測らないで下さい! ソフィア様が居なければこのアシュバは……少しお待ちなさい」



 アシュバが、シュンスケの顔をじっくりと見ながら何かを考え続けている。


 シュンスケが不思議に思ってアシュバに何をしているのか聞こうとするが、手で止めた。



「【洗脳魔法・誘惑】」


「な、何をしているのですかアシュバさん!」



 アシュバの誘惑にナミルが驚きのあまり声を荒げていた。



「少し黙りなさい、もし私に何かすれば魔族が軍を成して貴女を殺しますよ」



 アシュバの脅迫にナミルは黙るしか出来ない。

 ここでアシュバの行いを見てから、何かあれば殺せばいいと考えているのかもしれない。



「では、シュンスケ。『質問に答えなさい』」


「はい」



 順応になったシュンスケにアシュバは次の質問を言う。



「『貴方は、誰ですか』」


「俺は……」



 シュンスケの言葉が濁った。

 アシュバの誘惑に掛かっているならば答えを言うはずなのだが言えない。

 この状況下にアシュバは見覚えがあった。



「やはりそうでしたか、【洗脳魔法・解除】」


「え、あ、え?」



 何をされたのか分かっていないシュンスケとナミルにアシュバは淡々と答える。



「貴方は、大賢者と会った事がありますね。それも天界で」


「な、なんでそれを」


「簡単な話ですよ。召喚された”人間”には大賢者に思考回路を奪われます。なので……伏せなさい!」



 アシュバが二人に突撃して押し倒すと軍刀が壁に突き刺さり抜けた。

 そのまま頑丈な壁を切り裂くと……黒髪の軍人が立った。



「お前、母さんを!」



 シュンスケ達を襲った軍人がヘラヘラと笑いながら軍刀を握っている。



「キグレ……ですね」


「よく知っておるのう。

 儂は裏切りもんのナミルとシュンスケを殺しにきたんじゃよ……弱っちい小悪魔を召喚したくらいで儂を止められるとでも思っとるのかい?」



 軍刀を横に薙ぎ払う。

 三人を一刀両断する軌跡にアシュバは——

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