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私のパパ(魔王)は勇者に討伐されました  作者: 緋谷りん
祖国と帰ってきた姫君
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決戦開始


 前線に生えていた森が一晩で消え失せた。

 それがどういう意味をしているのか魔竜軍は分かる。


 開戦の時が来た。



「「【土魔法・自動人形土槍隊!】」」



 機械的な声と重たく腹に来る声が響き渡る。

 その瞬間、地中から多くの土人形が生み出されていく。


 圧倒的な人員が一瞬で補充された魔皇国軍とは対照的に魔竜国軍は、騒然としていた。

 目の前に数万を超える土人形に対して前線の監視をしていたのは一万程度。


 その騒動は、魔竜国の前線基地から本部に通達が行き、指示が下される。



「この状況で耐えろっというのか!」



 誰かが叫んだが、土人形は進軍を辞めない。

 数多くの竜人が土人形の槍を食い止めようとするが、何人かが死んだ。

 土人形も壊されてしまうが、また声が響く補充されていく現状はまさに悪夢。



「は、早く誰か……」



 誰かが助けを求める声がした時、巨大な声が響く。



「我が名は魔王ガルボス! 貴様らを殺すために参上した」


「な、なんで生きているんだ」



 前回の戦いでゾフィーに殺されたはずの魔王が姿を見せた。

 やはり何人かは土人形を見てそう想像していたらしい。


 嫌な予想が的中したと思った時、更なる声が響く。



「貴様ラ、冥界ニ行クガヨイ」



 土が大波を立てて竜人を巻き込みながら突き進んでいく。



 あまりにも巨大な猪が君臨している。

 周りには多くの魔猪が鼻を鳴らしていた。


 そして一際目を引くのは真っ赤な血に染まった様な拳をしている——オーガだ。



「あれは獣族! しかも、オーガも姿を見せている! 伝令を飛ばせ!」



 これまでとは違う敵陣営に、魔竜国軍は魔皇国軍が本気で攻めてきたと考え出した。


 次々と魔法が飛び交う。

 あまりにも過酷な戦いが魔竜国を強いている。



「守備を固めろ! 閣下が来るまでの……な、なんだ」



 地鳴りが起こった。

 あまりにも大きな揺れに魔竜軍だけが狼狽える。


 次の瞬間、巨大な根が飛び出してきた。

 触手の様に蠢く根が竜人を薙ぎ払い出した。


 荒ぶる根は圧倒的な強さで竜人を蹂躙し続ける。

 悲鳴が多くなっていく中で、一つの声が響いた。



「お待たせ〜! 将軍達で魔王退治をはじめるよ〜!」



 二つの影が見えた瞬間、大きく歓声が上がる。



「……みんな、おねがいね」



 一つの影が誰にも気が付かれない速度で群衆を走り抜けた。



 ★★★★★



 ソフィアは、後方で戦っている音を聞きながら戦地を離れていく。


 この場所が前線というだけあって横には途方にも無いくらいの兵士が列を成して守ろうとしているが、ズーズンの超跳躍には気が付かなかった。


 華麗にズーズンが敵陣営に着地すると多くの竜人がこちらを見てくる。


 巨大な狼の出現に何人かは取り残されていたが、数発の魔法も飛んできた。


 ソフィアは、冷静に【竜皇気】を展開させて強く地面に向かって拳を向けると風圧が地面を砕いて砂嵐を起こした。



 それに隠れる様にズーズンが走り出した。



「そのまま真っ直ぐね!」


「ガウ!」



 ズーズンが突き進むと疾風が巻き起こり、砂が大きく動かされる。

 そのおかげもあってソフィア達は撹乱に成功した。



「敵襲敵襲! 魔法放て!」



 次々とソフィア達を狙った魔法が飛ばされてくる。

 ズーズンが姿勢を低くしながら高速で走り抜くのでソフィアも抵抗を減らそうとギュッと抱きついた。


 すると、ソフィアを心配したのか尻尾がこちらを向いてきた。


 少しでも的が大きくなると危ないからソフィアは小声で呟いた。



「このくらいなら私は大丈夫……気にしないでね」



 ソフィアの声を聞いてからズーズンは、更に加速し始めた。

 その瞬間、ズーズンの進路を塞ぐ様に軍刀を構えた竜人が何人も立ち塞がる。



「ズーズン、頭を下げて!」



 声を張ったのと同時にソフィアは、正拳突きを放った。

 拳の先から風が巻き起こって竜人達が強風に耐え抜こうとしゃがんだ。


 刹那、ズーズンが走り抜けた。

 その異様な速さとソフィアが巻き起こした風、更には残っている砂によって誰も止めれないまま突破した。



「謎の獣が進軍! 本部、迎撃体制を!」



 すぐさま目の前が光った。

 輝きと共に地面に突き刺さったのは光の杭だった。



「ズーズン、跳躍!」


「ガウガ!」



 ソフィアの声と共に跳んだズーズン。

 足元に大量の光の杭が突き刺さっていた。


 ソフィアが拳を振り上げると風が上へ突き抜ける。

 目の前で光の杭が落ち始める。

 風によって生まれた激流によって魔法で作られた光の杭は突破できなかった。


 だが、風によって生じた衝撃に巻き込まれたのはズーズンも同じだった。

 空中という不安定な中で大きく揺らされたズーズンは目を閉じていた。



「子犬になって!」



 ソフィアの声が聞こえたのと同時にズーズンは子犬に変化していた。

 すぐさま風に飛ばされない様にギュッとしたソフィアは、身を回転させながら地面に着地した。



 着地したのと同時に光の杭が飛ばされてくる。

 あの光がどこから飛んでくるのか、ソフィアは避けながら見ると王城から飛ばれていた。



 その時だった。


 空から大量の光の杭が降り注ぎ始めた。

 明らかにソフィアを狙っている弾幕に、声を上げて【権能】を使う。



「【竜装!】」



 ドレスが全身鎧になるとソフィアの視界が大きく変わった。

 あれだけ速かった光の杭が遅く見え始める。



 ズーズンを抱えたままソフィアは、ズーズンがいる状態で出せる最高速度で走り出した。



「少し我慢してねズーズン!」



 ズーズンから声は聞こえない。

 既に舌を噛まない様に歯を食いしばっているに違いない。



 そう思いながらソフィアは、走ると巨大な建造物に辿り着く。

 あまりにも巨大な石レンガに積み立てられた塔達。



「やっと——来たよ」


「キャンキャン!」


「うん、ここからだね」



 壮大な門を目の前にしてソフィアが行こうとした瞬間に扉が開いた。



「待っていたぞ」



 しゃがれた声。

 真っ黒な全身鎧に、似たオーラを纏わせている。



「我が名はゾフィー。貴様を討つ者だ」



 別の将軍がソフィアの目の前に立った。

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