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本当の炎竜


 吹き飛ばされたソフィアはすぐさま【竜皇気】に力を込める。


 その瞬間、剣聖改め炎竜バルバトは、炎で空を飛びながらソフィアに追いつく。

 どうにかして態勢を整えたいソフィアは、距離を取りたいがすぐさま追いつかれてしまう。


 炎の勢い、炎の扱い、どれも卓越された技術を持っているバルバトは天使と比較にならない。

 そもそも炎竜とは天使じゃなかったのか、疑問が残る。


 どうして炎竜が二体も居るのだろうか。


 そもそもソフィアはガビーが使った森竜とノームが使う土龍しか知らない。


 ならば、竜が二体居たとしても……と考えた時に背中に衝撃が走る。


 バルバトがソフィアを蹴りつけて地面に叩きつけた。痛みはないが視界が揺らぐとどうしても考えられなくなってしまう。


 更に炎矛がソフィアの腹部にぶつかった。


 ドレスを通して焼かれる音が聞こえたが何も感じていない。


 このくらいの火力ではソフィアのドレスを焦がす事は出来なかった。

 だが、腹部を押し付けられる感触は来る。



「これにも耐えるのか」



 頭を傾げて考えている様子だが、ソフィアは何もしていない。ただ【竜皇気】を展開しているだけに過ぎない。


 まだ教えてもらったドレスの【権能】すら使っていない。

 これからが本番だと言える場面なのにソフィアには余裕があった。



 バルバトが手を振り上げると炎矛が弾幕を作り上げる。



「この炎矛は天使へカトルに与えた力よりも強いぜ!」



 赤い炎が純白に染め上げられる。

 純白の炎矛がソフィアに飛ばされ出した。


 乱雑に撃たれた炎矛は、森竜が放った雷よりも速くない。それならばソフィアにとっては緩やかに落ちてくる綿毛と大差ない。


 そう綿毛なのだ。



「わっ!」



 想像していた軌道を超えて炎矛が向かってくる。

 だが、どれだけ速くても目視で回避できてしまう。



「おいおい、これじゃあへカトルもベルモンドも勝てねえな」


「——そうね、ところで貴方はキグレを知っている?」



 ソフィアが放ったのは単なる殺気。

 少女が放った殺気に炎竜の動きが止まる。


 まさに蛇に睨まれたカエルのようになっている炎竜に、ソフィアは睨みつけた。



「知っていると言ったらどうす……随分と速いな」



 ソフィアは一秒に満たない速さでバルバトに近づいた。そして問答無用で詰め寄って行った。



「キグレは……」



 ソフィアはつい「どうしてパパを殺したんだ」と言いそうになった。しかし、何も言えない。

 この場面でそれを聞いたところでバルバトが返してくれる返事など限られている。



「俺が言えることはないぜ!」



 一瞬の油断がソフィアを襲う。

 目の前に立っていた炎竜の片腕から白い炎が吹き出して剣となる。

 そのまま振り下ろされた。



「【炎竜魔法・炎竜の鉤爪!】」



 ソフィアを炎が襲う。

 見た目はまさに熱線。

 輝きを放ちながら地面を切断しながら進んでいく。


 何もかもを切断する熱線を見てもソフィアには脅威にはならない。


 何故ならば——。



「こんなの水と変わらない」



 熱線がソフィアの元にたどり着いた瞬間にウザそうに手を振るう。それだけで熱線が弾かれる。


 どうしても熱線だからか、単発の魔法と違って触れるだけでは消えない。


 だが、無限ではない。


 ソフィアは受け止めている手とは別に握りこぶしを作ると熱線に向けてぶつけた。

 熱線はソフィアの拳に勝てず、すぐさま霧散する。



「これが魔竜王か!」



 何故か気分向上しているバルバトに嫌気が差す。しかし、今は戦争の真っ只中。

 向こうは遊んでいるかもしれないが、ソフィアにとっては時間の無駄でしかない。


 だからこそ、キグレの話が聞けないならと本気で踏み込んだ。


 刹那、地盤が崩壊してしまう。


 ソフィアの周辺が壊れてしまい、立っていられない。


 慌てて体勢を整えているとバルバトが驚愕の顔をしていた。



「そ、それは【絶技】!」



 ソフィアは、なんとも言えない気持ちになってしまい、そこそこの力でバルバトに突撃した。

 またしても驚いているバルバトを無視してソフィアは殴りつける。


 殴り飛ばされるバルバトに追撃をするべく自身も跳ぶソフィア。

 一瞬で辿り着いて上へ向かって蹴り飛ばした。


 架空の空にぶつかって落とされるバルバトに向かって飛び出したソフィアは腹部に強く殴りつけると……飛び散った。



 血肉が飛び散ってしまい、壁一面に血が飛びつくは……。



「どういうことなの」



 殴った感触がなかった。

 いや、正しくはあったのだが、水袋を殴ったようなおかしな感触。

 あまりにも人を殴ったとは思えない感触にソフィアは疑問に感じた時——血肉が炎に変わってソフィアに飛びつく。


 炎がソフィアに付着すると瞬時に燃え上がり始めた。


 ドレスを燃やすほどの火力はない。

 この炎ではソフィアを倒せないと感じていた時、頭が揺らいだ。


 視界が揺らぎ出してしまい、呼吸が出来なくなってくる。



「な、なんなの……」



 ソフィアの手足が痺れ出す。

 どれだけ呼吸を繰り返しても苦しくなるだけ。


 【竜皇気】を使っていれば完全耐性を手にするはずなのにソフィアの呼吸がどんどんと苦しくなる。


 遂には意識が消えそうになり始めてしまう。


 炎は形を変えていき、ソフィアを完全に覆い尽くす。


 何が起こっているのか分からないソフィアは、空中で体勢を変えようとするが、もう身体が上手く動かない。


 そのまま目を瞑った。

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