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ノームの拳


 全てを巻き込んだノームの重力操作が天使を飲み込み続ける。

 圧倒的な物が天使の身体にぶつかり続け、皮膚を破り、肉を裂き、骨を砕く。


 ——と、思われたが一瞬で熱がノームに伝わった。


 次の瞬間には、波となった家屋を溶かしている。ドロドロと滴り落ちてくる家屋だった物達は完全に融解して溶岩のようになってしまった。



「……これが炎竜の力」



 中心が赤く光り爆破する。

 飛び散った溶岩が他の家屋も燃やし尽くす。

 ノームがお世話になったドレス通りや食べ歩き街頭が燃えている。


 歯を食いしばって怒りを鎮めて重厚的な鎧を解除した。すぐさま軽装備の鎧を作り出して身に纏うと天使を睨みつけた。



「これがドワーフの力? いえ、ありえませんありえません!」



 赤く光り、滴る溶岩から声がしてくる。

 そして天使が光の中から姿を表した。



「私の【権能】に対抗できるのは竜のみ! つまり、汚らわしいドワーフの身に神聖なる竜が宿るとは! 冒涜にもほどがある!」



 火炎弾がノームに向かって飛び込んでくる。

 ノームはすかさず重力操作で自分に着弾するよりも早く墜落させる。


 まだ火炎弾ならば防げら……



「……っ!?」



 その一撃は何よりも速くて何よりも鋭い。

 重力操作を超えて届いた炎矛がノームの脇腹を通り、軽装を砕いた。


 火炎弾が爆発の拡散力ならば、炎矛は確実に貫く殺傷能力に長けている。


 次々と掃射されていく炎矛がノームを貫く為に飛び込んでくる。


 重力操作を自身にかけて吹くと器用に調整して加速しながら避ける。


 刹那、目の前に炎矛が迫る。



「くっ……!」



 両手を向けて急速に重力操作を行う。重力を帯びた炎矛は一瞬だけ速度が緩やかになった気がしたが、止まらずにノームを貫こうと突き進んだ。


 右側の重力を変えて右回転するノームは何とか炎矛を回避できた。


 しかし、真横に通った炎矛に頬の皮膚が軽く炙られる。


 炎矛が次々と発射されていく。


 天使に近づけば近づくだけ当然ながら予測して避けるのが難しい。



「竜ならばこのくらいは避けられるでしょう?」



 天使の声が響いた瞬間にノームは視線を上に向けた。

 空に百を超える炎矛が展開されている。

 驚くことにそれだけではない。

 火炎弾も前列に百は揃えられている。


 これまでの掃射に加えてこれだけの攻撃を揃えていた。



 天使が手を前に向けた。


 それが合図になって炎の弾幕が発射される。

 重力操作に全神経を集中させてノームは一気に加速した。


 速くなればなるほど炎矛が迫ってくる。

 その速度に乗ってノームは寸前で回避を続ける。


 数センチ先で避け続けることで鎧となっている土が焼け焦げ始めていた。



「なっ!」



 猛烈な勢いで迫る炎矛に気を取られてしまい、火炎弾にぶつかる。

 爆発はノームに傷を負わせられなかったが、代わりに鎧を完全に破壊してしまった。


 ノームは砕け散った鎧を気にせずにそのまま突貫する。


 炎矛は鋭く素早く進み、火炎弾は遅いが面積が大きい。


 この緩急にどうしても惑わされてしまう。


 だからこそ、ノームは一瞬だけ目を瞑り頬を強く叩いた。



「負けてたまるか!」


「おやおや、羽虫がまだ飛んでますね」



 天使に向かって急激に加速した。

 炎矛は回転して避け、火炎弾は重力を急激に軽くするか重くてして避けていく。


 どんどんと天使との距離を詰めていき、遂には数メートル先まで辿り着いた。


 だが、ノームはそこで止まった。



「ここまでお疲れ様です」



 弾幕を避けた先に待っていたのは、太陽を思わせる炎の塊。

 天使が高らかに上げた手をノームに向けて降ろした。



「では、さようなら【炎竜魔法・炎竜の顎門】」



 街を溶かす炎の塊が竜の顔に変わる。

 炎の塊が視界を埋め尽くす。

 炎で作られた巨大な牙がノームを噛み砕こうと口を開く。


 一秒にも満たない時間の中でノームは炎が体を包み込む瞬間を見た。



 炎がノームを飲み込み、膨大な熱を持って皮膚を焼き尽くそうとする。

 皮膚にある水分が一瞬で蒸発した。

 血管が沸騰し始めたのか皮膚を突き破り出血する。


 何も考えられなくなり始めた時、ふとソフィアの顔が浮かんだ。



「ま、だ! まだうちは負けてない!」



 ノームは意識を強く持つ。

 すかさず魔法を発動し直した。



「【土龍魔法・重力操作!】」



 ノームを中心に重力が四方八方に飛ばされる。

 先ほどまでは一方通行な重力しか操作してなかったが今は全ての操作している。


 これがどれだけ精神をすり減らすかノームは理解している。


 一方だけでもノームの頭は痛み出してしまう。それを全方向に重力操作をするだなんて正気の沙汰ではない。


 だが、頭が痛みはち切れてしまってもここで負ける訳にはいかない。



「負けてたまるかああ!」


 ノームの頭が痛み出す。

 気を失ってしまいそうになるが、ノームは懸命に耐える。


 もうこの場を超えるには痛みに耐え、熱にも耐え、精神を強く持つしかない。



「うわああああ!!」



 ノームの周りに磁場が発生し始めた。

 強い重力が空間を歪ませる。

 あまりにも強くなりすぎた重力が四方八方に飛び出していき、天使が作り出した炎を吹き飛ばした。



「な、なんですか! これは!」



 狂いに狂った重力がノームと天使を巻き込んだ。

 そのまま地面に叩きつけられ、家屋を何個も潰す。



「この汚らわしい羽虫が!」



 天使が立ち上がろうとした時にノームがいち早く立ち上がって天使に向けて魔法を放つ。


 無詠唱化された重力操作によって天使は、過重によって動けなくなる。



「何をする半魔!」


「これがドワーフの怒りよ!」



 ノームは力一杯殴りつけた。

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