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竜と天使と剣聖

面白かったらぜひブクマを!


「ソフィア、来たよ」


「うん」


「グルウウウウ!」



 三人は宮廷にある訓練場に居た。

 風は無く、音はない。けれども、歪な雰囲気を感じている。


 異物が入り込んで来ている。そう感じてしまうほど肌にピリつく物がある。


 刹那、空間に稲妻が走り抜ける。空気が異常なくらいに揺れていき、稲妻を中心に裂け目が広がる。



 揺れが止まった。ソフィア達が身構えた時、優雅な足取りで男が裂け目から出てくる。



「これが地下王国ですか、何とも浅ましい空気ですね」



 顔を歪ませている男には純白の羽が生えている。

 純白の羽をみて、すぐさま誰か分かった。

 ソフィアの身体から怒りが湧き上がっていく。


 この天使がノームから大切な存在を奪った。



「おや、お二人に獣が一匹。それでソフィアはどっちですか?」



 突然名前を呼ばれてソフィアは止まる。今すぐにでも殺してやりたいのに、拍子抜けな事を天使は言い出した。



「それがどうしたっていうの」



 ソフィアが止まっているうちにノームが答えた。これでは返答になっていないが、挑発も込められているのだろうか。



「貴方がソフィアですね」



 ノームの言葉を無視してソフィア本人を指差す。まるで、ノームは存在していない様な扱い方をしていた。


 その姿勢にノームは身体を震わせている。確実に怒っている。ドワーフ王国を蹂躙しただけでなく、ノームの存在すら認識していない。


 つまりは、天使達は道楽でドワーフを殺していた可能性が出てきてしまった。



 ソフィアは、【竜皇気】を展開する。

 全身に暖かい空気を感じる。

 すぐさま視界も切り替わり、全ての力が向上した時——線が見えた。



「ノーム、早く解放して!」


「う、うん! 【権能解放・土龍ノーム!】」



 ノームの全身が変わる。大カエルの姿になった瞬間、金属がぶつかる音がした。



「この感触は!」


「……一撃で殺そうと思ったが、それがお前の姿か」



 剣聖が亀裂から現れた。

 全身鎧は砕け散ったのか、衣類だけになっている


 初めて見る剣聖の顔には……皮膚が無かった。


 いや、顔だけではない。全身の皮膚が吹き飛んだのか筋肉が見えている不気味な状態になっている。今、生きているのが不思議で仕方ない見た目にソフィアは、一歩引きそうになった。



「俺の相手は、お前だ偽物。次こそ殺してる」



 ソフィアと剣聖の視線が一瞬だけ混ざった気がしたが、剣聖はノームの方を向いていた。



「よそ見はいけませんよ!」



 炎がソフィアの目の前に吹き荒れる。その瞬間、ズーズンが前に出てきて声をあげた。


 声が遠吠えとなって反響していくと、ズーズンは魔狼王の姿に変わる。


 放たれた炎は、ズーズンの黒炎とぶつかり合い、爆発して相殺される。



「……主よ! これほどの喜びがありますでしょうか!」



 羽から次々と火炎弾が飛び出してくる。

 火炎弾はぶつかった瞬間に爆ぜていく。

 しかも、剣聖も関係なく巻き込んでいた。



 仲間など関係ないのかと爆煙が上がる中、剣聖を見たが微動だにせず、ノームに剣撃を食らわしていた。



 この炎は、仲間には効かないのかもしれない。そう考えたソフィアは、駆け出した。


 天使の前まで来たソフィアは、すぐさま拳を向けた。


 拳が向かった時、足元から炎の壁が出現した。ソフィアの拳とぶつかると爆発を起こすが、拳はそれでは止められない。


 炎の壁を貫いてソフィアの拳が天使にぶつかると衝撃が地面に伝わりヒビ割れる。


 天使が吹き飛ばされるのを見てからソフィアが剣聖の元に走った。一瞬で剣聖にたどり着こうとしたが、足元に炎が吹き荒れた。


 炎の壁よりも熱い炎にソフィアは本能的に立ち止まった。その瞬間、天使がソフィアの真後ろに降り立つ。



「これが魔王ですか! もっともっと私を楽しませて下さい!」



 ソフィアの拳を受けても全身に怪我は見えない。あれだけの衝撃にどうやって耐えたのか考えようと思ったソフィアだったが、ゴガガを考えれば無駄だとわかる。


 大賢者の配下は化物ばかり。

 ソフィアにとっては厄介でしかない。



「どいつもこいつも」



 どんどんと憎しみが増えていく。だけども、ここで憎しみに飲み込まれては意味がない。

 何よりもこの戦いはノームの戦いなのだから。



「ノーム!」


「うん!」



 ノームに声を掛けるとソフィアは地面に沈んだ。ノームによる無詠唱化した【土魔法・潜土】だった。


 内部で泳げる場所を作っていてくれたのか、通りやすい道が見える。早速、泳いで抜ける。

 その時、地中でノームとすれ違った。



 地中に出てきた瞬間に剣聖の線が見えた。ソフィアは何も気にせず地上に飛び出して線を払い除ける。


 ぶつかった瞬間に剣の感触がするが、ソフィアにとっては気にする必要がないくらいの衝撃。



「剣聖……キグレの事を知っているの?」



 ソフィアは今も打ち付けられる剣撃を物ともしないで、剣聖と距離を詰めて行く。


 何よりもソフィアは、前回の戦い時に言われたキグレの名前が気になって仕方ない。


 それも相まってソフィアは、ノームとの入れ替えを提案していた。もしかしたら天使と戦うかもしれない。その時に剣聖が生きていれば……と入れ替わるからアングラの仇討ちをしようと。



「気になるだろう! しかし、俺との戦いが先だ」



 剣聖から放たれた線が増えた。

 ソフィアを一瞬で囲む線たちでも避けるのは簡単だった。


 これくらいの数ならば空を覆い尽くしていた枝に比べれば児戯と変わらない。

 どれだけソフィアが劣悪な環境に落とされていたのか計り知れない剣聖。


 だからこそ、ソフィアは向こうも本気になってもらうために本気を出す。


 一秒に満たない時間で距離を詰めて、本気を解除する。そしてそこそこの力で殴りつけた。


 吹き飛ばされる剣聖は、空中で立ち止まりそのまま降りてくる。



「あの力は使わないのか」


「……あれは」



 ソフィアは言葉を歯切れ悪く区切る。

 あれも途中で調整した一撃だった。

 我を忘れて本気で放ちそうになった拳の勢いを空中に発散させていた。


 剣聖が死ぬかどうかは五分五分だった。


 だけども、想像以上に頑丈だった剣聖は生きている。ならば、キグレの情報を聞けるまでは今度こそ殺さないようにしなければいけない。



「……そういうことか」



 何かを感じた剣聖から線が勢いよく伸びる。色濃く変わる前にソフィアが距離を詰めた瞬間に抜刀した剣聖が振るった。


 ソフィアは見てからでも避けられるが、無駄に距離を取る必要はない。刀身を手で握って捕縛する。



「これでどうだ!」



 瞬間、ソフィアの身体内部に線が走った。

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