表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/162

ソフィア次第


 ソフィアは、気絶してしまったノームを部屋まで運んでベッドで眠らせていた。

 すぐに目を覚ますと思ったが、全然目を覚まさないから心配になって名前を呼ぶ。



「ノーム!」



 ノームの肩を強く叩いていた。もちろん、【竜皇気】は解除してある。もし解除してなければ、ノームの肩は爆ぜているだろう。



「目を覚ましてノーム!」



 ソフィアの弱めパンチを食らった結果、ノームは宮廷外まで突き飛ばされてしまった。やはり、本気にしなくて良かったと心の底から思っている。

 もう何度も叩きつけられているノームの姿は見たくない。



「ノーム! おーい!」


「クゥ……」


「私だって手加減したよ!」



 ズーズンがなんて言っているか普段は分からないけども、今は分かる。

 ズーズンは「考えれば分かるでしょ……」と言っていると思う。

 そう思ったソフィアは少しだけ笑いが込み上げて来てしまった。



「ふふ……」


「……ソフィア?」



 ノームが目を覚ました。

 瞳は、キョロキョロと周りを見ているが、どうしても焦点が合わない。


 どこか一点を見ていると思ったら、また周りを見始めてしまった。



「だ、大丈夫?」


「う、うん……」



 ソフィアの強さを理解したのか、どうなのかは分からないがノームは酷く汗を掻いていた。



「ここは?」



 やっと焦点が合ったノームと視線が合う。どうにか体調は戻ったと安心したソフィアは、ノームに水を渡す。



「ノームのお部屋だよ 気絶しちゃったから勝手に運んじゃった……ごめんなさい」



 ソフィアは今にも泣き出してしまいそうな顔でノームに謝る。やっぱり【竜皇気】は使うべきでは無かった。ああなる未来はソフィアも分かっていたのに、意地になってしまった。


 絶対に強い所を見せてやるという意地を張ってしまったから、こうなってしまった。猛省すべきだ。




「大丈夫だよ。まさか、 あれを超えるなんて」



 ノームは乾いた笑い声を上げている。その声は、最初に会った時の笑い声とは全然違う。

 その変わりようにソフィアはオロオロしてしまう。やっぱり自分の力は異様だと再認識させられた。



「ソフィアの強さは分かったよ」



 ノームの声はとても優しくなっていた。まさに子供を褒める親のような雰囲気を思わせた。だけども、今もその雰囲気のままだと、嫌な気配を感じてしまった。



「だけども、ソフィアを戦地には連れていけない」


「な、どうしてよ!」



 やはりこうなってしまった。ノームは、ソフィアを、子供だと思っている節がある。もう13歳になるというのに、庇護下にしようとしている。


 その気配りがソフィアは嫌だった。



「どうしてもないよ。ソフィアはまだ幼いんだから無理する必要はない」


「そんなの理由にならないよ!」


「ダメ。幼い子が無駄に命を捨てる必要はないの!」



 ノームの言い分は当たり前だった。ソフィアとノームは7歳も違う。そうなれば守ろうとするのは当たり前なのだが、この一ヶ月半でソフィアの考えは大きく変わっている。


 自分の力が少しでも役に立つならば使うべき……その考えが強くなっているソフィアは絶対に使いたい、ノームの手助けになりたい、そう考えていた。



「気持ちはありがとうね、ソフィア。今日はもう遅いから休んで」



 そうノームに会話を打ち切られてしまった。ソフィアは助けられた恩もあるが、同時に部外者でもある。だから、今日は従うことにした。



「……うん、どうすればいいの?」


「ソフィアの部屋は右隣を使って。もう準備は終わっていると思うから」


「分かったよ、おやすみノーム」


「うん、おやすみソフィア」



 これだけの会話を終わらせたソフィアは、ズーズンを抱っこして部屋を出て、すぐ右隣の部屋に入った。


 部屋の造りは、ノームのと似ている。けれども、装飾の品々はどうしても劣ってしまう。こればっかりは仕方ない。



 ソフィアは綺麗に整えられたベッドに倒れ込むように寝転んだ。

 今までの疲れがドッと出て来た。このまま瞼を閉じれば寝てしまいそうな気はする。けれども、ノームを考えてしまって眠れない。


 ソフィアは、心中に矛盾を感じていた。



「ねえ、ズーズン。私はどうすればいいのかな?」



 ソフィアの隣で丸くなって寝ようとしているズーズンに話しかけてが、当然、返事は来ない。だけども、ズーズンが近づいて来て顔を舐めてくる。


 それだけの行為だけども、ソフィアは安らいだ。どうしてズーズンにはこんなにも魅惑的な癒しがあるのだろうか。ソフィアは、ズーズンの頭を撫でた。



 気が付いた時には、ズーズンのお陰もあって瞼が上がらなくなって来てしまった。このまま気絶するように眠るのだろう。そう感じた時、ふと声が聞こえた。



「ソフィア様しだいです」



 どこかで聞いた覚えがある声。

 声は童女で、可愛らしい声。

 もう開ける事が出来ない瞼。


 声は、ソフィアの頭の中から響いた気がしてきた。



 ソフィアは、夢がもう始まった……声に導かれるまま眠った。




 ★★★★★



 ソフィアが眠ってから、数分後。

 布団の中から、ズーズンは顔を出した。


 先程は、もう眠っていると思って声を出したが起きていてヒヤヒヤした。


 人型ではないズーズンは、人語の時に声を張る事が出来ない。いや、その方がソフィアに気が付かれないから都合が良い。


 本当は、真なる姿を見せてソフィアの手助けをするべきだが、今は叶わない。

 もし真なる姿に常時成れたとしても、ズーズンは……子犬のまま過ごすかもしれない。


 この姿の方がソフィアは気に入っているからだった。



(むかしと、かわってませんな)



 昔と見た目は少しだけ違う。けれども、ソフィアはずっとソフィアのままだと知って安心した。



「よは、どこまでも、どこまでも、ソフィアさまについていきますよ……」



 ソフィアの頬に肉球を押し付ける。とても柔らかい頬をしている。

 そのままソフィアの頭を数回だけ撫でるとズーズンは、満足して眠ることにした。

次の更新は明日!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ