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私のパパ(魔王)は勇者に討伐されました  作者: 緋谷りん
第1章 囚われた魔王の娘
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二人の魔王

 アシュバが仲間になった。

 だからと言ってソフィアの環境は変わらなかった。


 強いて言うならば食事の面をソフィアは教えてもらって驚愕した。

 まず自生している果物や、森の中で生まれ育った野生の獣が存在しているらしい。


 まさか造られた森の中に自然そのものが存在しているとは考えも付かなかったソフィアは、目を点にした。

 そこからは果物の取り方や獣の捕らえ方を教わったソフィアは実戦的に【竜皇気】を使い始めた。


 始めは、木の上にある果物を取ろうとして跳んだだけで空を覆い尽くす葉に激突して墜落したり、鹿を追いかけようと走り出したら追い抜いてしまい木に激突したりと苦戦していた。




 そして一週間の時が過ぎた。

 何度も苦労を重ねていく事によってソフィアは、ある程度の技術は身につけ始めた。

 跳んだ時に天井になっている葉に激突しなくなったり、走った時に無意味に木を折らなくて良くなった。それだけでソフィアにとっては大きな成長だと身に沁みている。



「ソフィア様……聞いてますか」


「ん、なに?」



 ここ一週間の出来事を思い出しながら鹿肉を齧っているソフィアにアシュバは呆れた様子でため息を吐いた。



「ですから、魔狼王と魔猪王の説明をしてたのですが聞いてましたか?」


「ごめんごめん、もう一度話してくれる?」


「——仕方ないですね」



 ソフィアの扱いに慣れ始めているアシュバは初めから話してくれた。



「魔狼王は、孤高の王様です。配下は一切存在せず、誰かの配下にもなってません」


「それなら魔皇帝様は?」


「形式だけですよ。その理由は魔狼王は魔族ではなく魔物だからです」



 魔族ではなく魔物。

 ソフィアは、心中で魔族と魔物の違いを考える。


(確か獣に近くて文明を築いてないのが魔物……魔族は文明を作り出す。それこそ国を作ってしまうほどの知性はある……だっけ)


 ナーシャが講義してくれたが大雑把にしか覚えていないソフィア。

 こんな状況になるならもう少し勉学に励めば良かったと後悔した。

 後悔の中で少しだけ疑問点が生まれた。



「それなら魔物がなんで王になれたの?」


「良い質問ですね。王とは魔皇帝様から領地を貰う、もしくは元からあった王国を魔皇帝様が属国とした場合になれます。けれども、魔狼王は魔物であるため、領地ではなく縄張りでした」


「それは獣だ」


「そうです。魔狼王の【権能】が欲しかった魔皇帝様ですが、一度目は師団を皆殺しにされて失敗。最終的に三師団の崩壊の末に捕獲を諦めました」



 師団の数にピンと来ていないソフィアにも雰囲気でどれだけ強いか分かる。



「じゃあどうしたの?」


「最終的には……ある御方のおかげで終戦しました。そして魔狼王を認めた魔皇帝様は、縄張りを領地と置き換え、魔王の一人に認めたのです」


「そんなにも凄い魔王を手篭めにした人……恐るべし」



 アシュバの顔がどんな風になっていたかソフィアには分からなかったが誇らしげな雰囲気は感じ取っていた。きっと身内なのだろう。



「次に魔猪王についてですが、これも厄介者です」



 頷いて話を聞く姿勢になったソフィア。



「魔猪王は、最も人口が多いと言われている獣族の王様です。土系統の魔法が得意でして山の中だと土砂崩れを起こしてきます」


「ど、土砂崩れ!?」


「はい、地形を変えるだけの力を持った王です。そして執念深く、敵に一歩も怯む事なく攻め続ける性質ですね」



 ソフィアは、とても勇敢なのか蛮勇なのか判断に困る魔族だと感じていた。その空気感を感じたのかアシュバは苦笑いしていた。



「しかも、繁殖も魔族随一です。三ヶ月あれば一匹の雌から十匹は生まれます。その為、軍隊としても強靭になので魔皇帝様は配下に加わらないか交渉したのです」


「……決裂ね」


「はい、その通りです。無条件で配下になるなど一族の恥だと言い、戦争の火蓋を切りました。それから何年も戦争を続けましたが、これもまたある御方のおかげで終戦。今では一番の腹心と言われてます」



 また出てきた御方にソフィアは頭を傾げる。

 一応、魔王の娘であるはずなのにそんな人は聞いたことがない。戦争の歴史も聞いていたが、詳細は覚えておらず、自分の勉強不足に嘆くしかなかった。



「その御方は凄い人なんだね」



 だからこそ、ソフィアの言葉は無意識に零れ落ちた。



「——はい。存命の時は次期魔皇帝様と言われてました。魔皇帝様も同じ気持ちでしたが、強情な方で……原初が良ければ貴方のままが相応しいと話を聞いてくれませんでした。ですが力も知力も、それに思いやりもあった素晴らしい人です。だからこそ、今ではあの時に皆が付いて行ったと愚考します」


「つまり、アシュバは、その人が好きだったんだ!」



 ソフィアが感じ取ったのは尊敬の念というよりも好意。直感に近い感覚だが、間違いないと告げている。



「——そうだったかもしれませんね。」



 思ったよりも呆気なく認めたアシュバに申し訳なさが出てくるソフィアは、そっと頷いた。



「話を戻しますねソフィア様。今、この場にいる魔王は二人です。これは閉じ込められた時から一切変わっておりません。この二人は、常に暗黒宮でトップに君臨してます」


「そんな凄い二人と戦わないといけないなんて……」


「はい、避けては通れません。ですが——」



 アシュバが言葉を続けようとした時、声が鳴り響く。



「ワ”ォォオ”オ”オ”オ”オ”ンン!!」



 狼の遠吠えが、森を揺らした。



「魔狼王です! 早く【竜皇気】を!」


「う、うん!」



 全身を暖かい空気が纏わり付いてくるのを感じた瞬間、ソフィアは後方に吹き飛ばされた。



「ソフィア様!」



 突然の出来事にソフィアは、呼吸を忘れてしまう。

 ソフィアに激突したのは、家一軒ほどの大きさを持った狼。

 その狼が獰猛な牙でソフィアの頭を噛み砕こうと突進した。


 吹き飛ばされたソフィアは、木に激突して立ち止まる。



「な、なんなの!」



 唐突だったから苦しかったが痛みは無い。けれども、【竜皇気】が少しでも遅れていたらソフィアは木っ端微塵になっていたと悪寒が走る。



「グルゥゥゥ」



 魔狼王は一歩下がると姿勢を低くした。

 牙を見せ付けながら威嚇してくる魔狼王にソフィアは拳を構えた。



「……少し怖いけども、絶対に倒してやる!」



 刹那、戦いの火蓋が切られた。

魔王は沢山います!

それこそ国の数だけ居ますので、本来は把握が出来ないくらいです……現状の話は本編で!


次の更新は次こそ明日になると思います!

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