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私のパパ(魔王)は勇者に討伐されました  作者: 緋谷りん
第1章 囚われた魔王の娘
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決戦3

 雷が向かって来る。

 今までなら恐怖で動けなくなってしまっていたが、ソフィアは変わった。


 雷すらも怖く無い。しかも、先ほど太陽の顕現も見ていたから暗闇に慣れた目も突然の光で眩しくない。


 乱雑に放たれた雷も今のソフィアにとっては晴天時に舞う花びらくらいの感覚でしかない。

 軽い足取りで——スキップしそうなくらい——ゴガガに向かうソフィア。


 そのまま放たれた雷の束を避け切ってゴガガの眼前まで来た。



「これで終わり?」


「……」



 渾身の技だったのか分からない。

 ゴガガはソフィアからの声には応えないということだけは分かる。


 それだけ拒絶されているのか、思考を切り取られているのか、様々な考えがソフィアの中で浮かび上がる。



「貴女は魔族じゃないの?」


「……」



 声すら発しない仕草に、ソフィアは溜息を吐いた。

 そっと近づくと刃が降ろされた。この刃でソフィアを傷つけられないと知ったから、軽く手で弾いた。


 何度も何度もソフィアに向けて刃が振り下ろされる。それを全て弾くソフィアはまた声に出した。



「貴女は何で大賢者に協力するの?」


「……」



 ソフィアの言葉を聞いても攻撃は止まない。それどころか激しさが増していく。

 どんどんと高速になっていく刃は、手数を増やしているのだがソフィアは簡単に対応した。


 【竜皇気】による心の中に溜まる疲労もほとんど感じていない。このままジリ貧な戦いをしていればゴガガの体力が尽きると分かってしまう。


 ソフィアにとってゴガガを殺すのはあまりにも簡単になってしまった。



「……何も言わないのね」



 ソフィアは刃を弾くの止める。

 この刃がドレスを切れないと分かったからだ。


 ゆっくりとした動作で拳を作り身体を引く。

 ソフィアはこの一撃で全てを終わらせるという思いでいた。



「ごめんね、でも貴女を倒さないと先に進めないの」



 別の魔族が見ればソフィアの顔は慈愛に満ちていた顔に見えていると思う。それだけの感情を持って拳を握り、今放つ。



「【全権能解放】」



 しかし、ソフィアが殴る寸前でゴガガの声が聞こえた。


 【全権能解放】——最終決戦を挑まれているとソフィアは感じて拳を収める。せめて、最後の力を見たいと思い距離を取った。



「ゴガガからガビーに形態を変化。出力最大値に修正。竜の殺害に入ります」



 声から聞こえてくるのと同時にゴガガの周りに砂嵐が巻き起こる。単なる目眩しなのか分からないがソフィアは見守るのは止めなかった。


 どんな姿になっても確実に仕留める。


 その覚悟で変化を見ていると……声を失った。



「え、そんなの」



 ソフィアの目の前に居たゴガガの姿が”魔猪”に変わった。


 ドゥクスよりも一回り小さい姿には獰猛な牙が四本生えている。

 そしてソフィアは魔猪達の違いが分かる様になってきたのが、苦となってしまう。



「ドゥクスに……似ているなんて」



 ドゥクスを思わせる顔付きから血筋だと知ってしまった。構えていた拳が下がる。



「【獣女王剣術・一閃三連】」



 ソフィア目掛けて斬撃が飛ばされた。

 三連続の斬撃は先ほどよりも鋭く素早い。

 殺傷能力が高くなった斬撃を見てもソフィアは恐れない。


 確かにドゥクスやズーズンがくらったらタダで済まないだろうが、ソフィアにとっては亀の一歩にしか感じない。


 つまり脅威にならない。


 どれだけ攻撃力を上げても、どれだけ強固な守りをしてもソフィアには何も感じない。


 もはや避けない。

 ただ手を横に動かすだけで飛んできた斬撃を弾く。


 何もかもがソフィアに効かない。


 その事にゴガガは気がついているのか分からないが、絶技を連続で放ってくる。



「【獣女王剣術・闇穴三連】」

「【一閃三連】」

「【闇穴三連】」



 連続で放たれてもソフィアを傷付けられない。それでもソフィアはただ黙ってくらっていた。



「貴女は……魔猪族なのね」



 【権能】の中でもソフィアの声は透き通る。ゴガガの耳がピクリと動く。声は届いているみたいだが、何も返してこない。



「魔猪なのに……なんで魔族を殺すの?」



 魔族の中でも殺し合いは存在する。だけども、誇り高い獣族の生き残りである魔猪族がこうまでして殺しを行うなど考え難い。


 特別な事情があるとソフィアは考えていた。


 どうにかして聞き出したい。その一心で前に出ると声が聞こえる。



「……ぃ」



 ソフィアはまた一歩前に出ると更に聞こえてきた。



「なぃ……」



 何を言いたいのか、何を話してくれるのか、更にソフィアは前に出るとゴガガは怒鳴った。



「お前には関係ない!」



 突然の声にソフィアは驚く。今までこんなにも命を感じる声をゴガガから聞いてなかった。


 声の質も少しだけ変わっている。無機質で色合いの無い声だったのに、今では感情が色濃く見えている。



「なんだ、声出せるじゃない」



 ソフィアは攻撃を受け流す事なく、ただそのまま突き進む。



「お前さえ来なければ、お前さえ居なければこうはならなかった! なんなんだお前は!」



 ソフィアは、勇者と対峙した時を思い出す。あの時の言葉を今言われている気がしたが——今は理由が違う。



「私は、ソフィア……ゴガガ、貴女がしてきた事は許せない……」


「ソ……フィ」



 有り得ないという顔をしていた。どうしてこの場に居るんだと言いたい顔をしているとソフィアには分かる。



「そんな有り得ない、有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない!」


「え?」



 ゴガガの体がどんどんと大きくなっていく。それは拒絶を思わせていた。

 ドゥクスよりも一回りほど大きくなったゴガガは、ソフィアの方を睨みつける。



「私を裁きに来たのか亡霊めええええ!」



 ゴガガはソフィアに牙刃を向けて突撃してきた。ゴガガならば【権能】を行使してくると思うのに、がむしゃらに見える。


 ソフィアは、言われた言葉を気にしつつ牙を掴もうと動いた。その時、ゴガガの声が響く。



「【獣女王奥義・一閃闇穴!!】」



 ソフィアに一つの光と三つに分かれた闇が襲う。

次の更新も明日!

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