表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のパパ(魔王)は勇者に討伐されました  作者: 緋谷りん
第1章 囚われた魔王の娘
26/162

決戦2

 女性が立っていた。

 裸に葉を工夫して組み立てた衣類に似た物を身につけている。そして手足は木そのものだった。



「魔族……なの?」



 ソフィアは度肝抜かれていた。

 限られた魔族にしか使えない【権能】を使用したからだった。


 ただ単純に人型に変わったのなら大賢者がそう組み込んだだけだろうと思う。

 魔法だって大賢者が人間族向けに解析していたのだから使用が出来ても違和感は無い。


 それだけならば驚きはしない。

 何よりも魔族の中でも限られた存在しか使えない【権能】を使用したのは大問題だとソフィアでもわかる。


 戦闘中だった事を思い出したソフィアは拳を強引に引き抜く。そしてそのまま綺麗に着地した。


 目の前にいるゴガガはそのまま空中で止まっている。どうやって空に浮いているのか分からないが——多分、【権能】か無詠唱かした魔法だろう。



「回答を拒否します」



 ゴガガの手から葉が飛び出してきた。ソフィアは両手を使って弾く。弾かれた葉は、木にぶつかると切断した。



「何者なの!」


「質問には答えません」



 瞬きをするよりも速く近づいてきた。

 ソフィアが守りの姿勢を取るのと同時に吹き飛ばされた。


 先ほどまでとは考え難い膂力の上がり方をしている。これだけでほんとうに【権能】を行使していると分かる。

 更に現状のソフィアを吹き飛ばせるというだけで二人の魔王よりも強い事が分かる。



 崩れた場所から立ち上がろうとした時、更なる衝撃が走った。

 飛び込んできたゴガガの膝がソフィアの腹にぶつかる。


 地面に叩き込まれ、完全に地中に埋まったソフィアを見てゴガガは声を発した。



「対象の沈黙を確認」



 ゴガガがそのまま立ち去ろうとした時、ソフィアは地中から手を出した。


 ソフィアは地中から手を突き出すとゴガガの足を持ち、地面に引っ張る。

 地面を割りながら地中に埋め込まれたゴガガと変わって地上に出た。



「そんな攻撃、痛くも痒くも無い!」


「【獣女王・牙刃解放】」



 ソフィアの足元が光った。反射的に横に飛ぶとその場が切り刻まれている。

 さらっと地中から出てきたゴガガの姿にまた驚く。剣を思わせる牙が二本も生えていた。



「竜の想定レベルを上げます」



 ゴガガは牙を掴むと引き抜いた。

 血が吹き出したと思った時、ソフィアの眼前に刃が迫っていた。すぐさま手を交差して防御しようとしたが、直前で回避する。


 刃が通った時、ソフィアが居た場所に大きな軌跡が走っていた。その後、縦に引き裂かれていて、異様な切れ味を見せる。だけども、ソフィアは不思議と恐怖に思わなかった。


 ゴガガの唐突な攻撃であっても即座に対応が出来る動体視力のおかげで遅くすら見えていた。つまり油断さえしなければ直撃することは無い。



「奇妙な話し方ね、貴方」


「……」



 ソフィアが話しかけてもゴガガは答えない。

 少しでも多くの情報が欲しいソフィアなのだが、ゴガガは一切答える気がない。それどころか握った刃を振り上げる。



「【獣女王剣術・一閃二連】」



 ソフィアに向けて横切りと縦切りが放たれた。実際は距離が開いていて届きそうにも無いのだが、【権能】を行使しているから念の為にしゃがんでから転がるように回避する。


 ソフィアが居た場所が大きく裂ける。そして奥にあった木が切り刻まれていった。

 どれだけの斬撃を放ったのか認識するまで時間が掛かった。

 実際の時間ではなく脳内時間になるのだが、ソフィアは一分以上も感じてしまった気がする。



 すぐさま第二波が放たれた。

 また横に回避しようとしたが、斬撃は横一線が二本。



 跳ぶことを選択させられたソフィア。

 素直に上へ跳ぶとゴガガの声が聞こえる。



「【獣女王剣術・闇穴二連】」



 ゴガガから打ち込んだ突き。空中に一筋の闇となって飛ばれて来る。



「くっ!」



 空中で移動できないソフィアは、どうにかして身を回転させて避ける。

 顔のギリギリを通過した闇は、奥で爆ぜる音を鳴らしていた。


 防戦一方になってきた戦いの中で、ソフィアは地面に着地したのと同時に駆け出した。

 目の前に迫ったソフィアは拳を構えるが、そよりも速くゴガガの刃が上から来ていた。


 ソフィアが来る速度を計算していたのだろう。すかさず横に一歩だけズレて避けると止められた拳よりも少しだけ強めて拳を放った。


 ゴガガにぶつかると凄まじい衝撃が走る。

 吹き飛ばされたゴガガは木々をへし折りながら落ちた。


 すかさずゴガガの元へ跳んだソフィア。しかし、その場に居なかった。

 どこかに居るに違いないと耳を澄ました瞬間、後方から刃の動く音が聞こえた。


 上半身を捻って避けると刃によって地面が割れる。すぐに後ろを振り返りながら拳を振るうとデカイ音を立てる。


 ソフィアの拳の先にはゴガガの刃があった。金属同士がぶつかった音が聞こえるのは、それだけ硬い物同士がぶつかっているからだ。


 ソフィアは拳が切れたのでは無いのかと冷や汗をかいたが無傷だった。痛みは無く何かがぶつかっている程度にしか感じない。


 これならいけるとソフィアは、力をもう少しばかり上げる。その時、ゴガガは後方に跳んだ。ソフィアとの衝突を避けるように逃げたのだ。



「警戒レベルを限度まで上げます」



 ソフィアを見つめているゴガガ。

 何をして来るのかとソフィアも見ていると声が響いた。



「【天空魔法・天災ノ襲来】」



 枝が空を覆っているのにどこかからか雲が出て来た。雲は厚みを増していき、最終的には真っ黒な雷雲を作り出した。


 雲は轟と光を見せている。どの様になるのか見ていると刹那、雷が降り注いだ。


 一秒よりも速い雷が雨の様に降り注ぐ。


 しかも、ソフィアを中心に——。

次の更新も明日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 獣王と獣女王で使う技が違うのは魔猪の生態によるものですか? それとも単に流派が違うだけでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ