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私のパパ(魔王)は勇者に討伐されました  作者: 緋谷りん
第1章 囚われた魔王の娘
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決戦1

 ゴガガの声が聞こえてくる。

 あまりにも無機質な声で怒りなのか、屈辱を感じているのかソフィアには分からない。


 だが、殺そうとして来ているのは分かる。


 無数に展開された枝。

 四方から鞭のようにソフィア目掛けて襲ってくる。


 少し前までだったらこの枝が怖かった。

 守らないといけないとソフィアは強く感じていた。けれども、今はズーズンが高速で倒れている魔猪達を回収してくれている。


 もう守らなくて良くなったソフィアにとって枝は怖くない。



「今回は負けないよ」



 【竜皇気】から感じている暖かい存在が大きく増える。それだけで今までにない力を感じていた。


 そして同時に五感も強化されていき、枝が異様に遅く見える。

 ソフィアはそっと脚を上げて半回転させる。瞬間、指先が枝に触れた。


 ゴガガに衝撃が走り抜け、枝が砕け散り、粉末の様に細かくなった。更に衝撃は亀裂となって枝に届く。



「警戒、警戒警戒警戒、切り離します」



 空にある枝がボトンと音を立てて落ちて来た。墜落した枝にはソフィアの衝撃が残っていて、地面で破裂した。



「計測を開始します」



 声と同時にソフィアは跳ぶ。

 今までに無い速度は、ズーズンを遥かに超えていて、一瞬でゴガガにぶつかった。


 暗黒宮全体が揺れる。


 ソフィアとゴガガがぶつかった瞬間、森の木々を大いに揺らしながら突風が通った。

 今までに無い声量でゴガガが叫ぶ。



「判明判明判明!! ”竜”です! 竜の対処を始めます!」



 ソフィアは、そのまま幹にしがみ付くと拳を振るう。だが、その瞬間、ゴガガは大きく幹を揺らした。


 どうにかソフィアを退かせようと動いているが、絶対にソフィアを剥がす事は出来ない。


 力強い左手の指は、幹に食い込んでいる。

 ソフィアは完全に殴る体制を取っていた。

 この状況下で逃げ出せる生物は限られている——とソフィアは本能的に感じている。


 拳を上げたのと同時に猛烈な衝撃が背中に走った。だが、ソフィアは痛く無い。


 後ろを振り向くと山になっていた根が叩きつけられていた。



「私ね」



 ソフィアは言葉にする。

 ここに飛ばされた——勇者が現れた日を思い出しながら。



「なんであの日、ナーシャを助けられなかったのかずっと考えていたの」



 巨大な根は何度も叩きつけられるがソフィアは動じない。


 ぶつけられている根を掴む。

 無機質な筈のゴガガから緊張が伝わって来た気がする。



「甘えていたからなんだ」



 根からブチブチと音を立て始めた。ソフィアの力が強くなるにつれてゴガガからの攻撃も増えていく。



「パパが負けるはずが無いって、私なら助けられるって——何も覚悟を決めないで戦おうとしてたんだ」


 ソフィアは呼吸を整える。



「でも、勇者のおかげで分かったよ。殺さなければ、殺させる環境があるのを」



 刹那、山ほど巨大な根が暗黒宮の地面をカチ割って全貌を見せる。それもゴガガの意思とは関係なく、ソフィアの膂力だけで引き抜かれ始めた。


「だから——、ごめんなさいゴガガ。私は、貴方を倒して先に進む」


「根を自切しま——」



 ゴガガは自切によって損傷を抑えようとしたが、今のソフィアにとってその行動はもう遅い。


 一秒にも満たない時間でソフィアは、瞬間的に最大の力を全身に込めた。そして遂に、巨大な根が引き千切られた。



「損傷損傷、損傷! 損傷20%!」



 声があまりにも大きなゴガガから飛び降りて、幹の麓に降りる。


 ソフィアが降り立った周りにはガガの大群がいた。ゴガガの命令を受けてここに集まって来たのだろう。


 着地と同時に無数の枝がぶつかって来たが、ソフィアは一瞥すると全てを薙ぎ払う様に脚で半円を描きながら横蹴りした。


 枝は千切れるように切断される。更にガガも粉砕され、後ろにいた他のガガにも衝撃が伝わり吹き飛ばされる。


 だが、ガガもそこで終わらない。

 次々と——暗黒宮全部から——ガガは現れている。ソフィアを囲むように攻める物から距離を取って石などの投擲で攻撃してくる物など様々な方法でソフィアを狙ってくる。


 その数は、ドゥクスと戦い始めた時に比べると倍以上に増えていた。



(数が多すぎる……ここは!)



 ソフィアは、全ての攻撃を無視して拳に力を入れた。そして思いっきり地面を殴りつける。

 地面が尋常じゃない音を掻き立てながら地割れを起こした。


 更にソフィアはすぐ跳ぶとその場が崩壊した。地割れに飲み込まれていくガガを空で見た時、視界の隅に上空の枝が集まっているのが見えた。



「【森林魔法・豊穣の恵み】」



 ゴガガの魔法が聞こえる。

 その魔法は緑の輝きを放つ。急速に輝きは一箇所に集まっていく。するとその場に一つの果実を作り出した。

 見た目はリンゴと同じだがソフィアが警戒をした。瞬間、幹の中心が割れる。


 ギザギザに割れた幹の中は異様な光景になっていた。


 異常なまでに暗黒そのものなのだが、ジメッとした嫌な空気が立ち込めている。

 その中に出来上がったばかりの果実が落とされる。



「回復に成功しました」



 ズーズンの【権能】。ドゥクスの【権能】。ソフィアの攻撃によって作られた傷が消えていく。


 壊された場所に向かってどんどんと新しい木が生えて増やし、最終的にはゴガガの一部となって塞がる。



「【権能解放】」



 更に声が響くと地震が始まった。

 次々と地中に埋まっていた根が地面を突き破って現れてくる。そして幹の中心に集まった。


 少しだけ離れた場所に着地したソフィアは何かしてくるのではないかと警戒しながら見つめていた。


 三十秒も掛からない内に中心の幹だけが砕け散る。


 異様な光景だと察知したソフィアは裂けた場所目掛けて跳ぶ。

 もう目の前に到達しそうな時、暗黒の中から一つの光が浮かび上がった。


 すぐに対処する必要があると考えて、空中で拳を構えて殴りつける。衝撃が森を走り抜ける中、ソフィアは目を見開いた。


「うそ」


「【獣女王】で竜の対処に入ります」


 ソフィアよりも頭一つ大きな女性が拳を受け止めていた。

連続投稿23日目! 目指せ50日!

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