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『ショップ』スキルさえあれば、ダンジョン化した世界でも楽勝だ ~迫害された少年の最強ざまぁライフ~  作者: 十本スイ
第五章 乙女新生教編

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187:百合っぽいだけだった

「礼なら別にいいよ。謝礼はもらったしね」

「ほら、アイツもそう言ってるし、もういいんじゃない? それに男に感謝することなんてないわよ!」

「っ……ダ、ダメだよ……だって、命を救ってもらったんだもん……。男の人とか女の人とか……関係ない」

「……だったらさっさとやるべきことをしなさいよね! アタシはいつまでもこんな男臭い場所にいたくないんだから!」

「うぅ……ごめんねケイちゃん。いつもわたしに付き合ってもらって迷惑かけて……」

「迷惑かけたのはアタシの方でしょ! ああもう、アンタも黙ってこの子のしたいことに付き合いなさいよね!」


 やれやれ。だったらさっさとやることを済ませてもらいたいものだ。

 釈迦原に背中を押された凛羽が、目を泳がせながらも前に出てくる。


「あ、あの……その、えと……あのあの……」


 男が苦手というのも事実なようだ。

 俺は言われた通りに黙って成り行きを見守る。


 すると凛羽は、何度か深呼吸をしたあと、恐る恐る俺の眼を見つめてきた。

 そしてバッと頭を勢いよく下げる。


「わ、わたしを助けてくださってありがとうございましたぁっ!」


 後ろで「よくやったわ」と言わんばかりに、釈迦原が温かい目を凛羽に向けている。


「さっきも言ったように別に構わないよ。俺はただ依頼を受けてこなしただけだからね」

「そ、それでも! ……それでもあなたのお蔭で……まだケイちゃんと一緒にいられるようにしてもらったから」

「……そう。なら素直に礼を受け取ろう。受け取らなければ、君の後ろにいる猛獣に食われるかもしれないからね」

「ちょっとどういうことよそれ! ふざけんじゃないわよ! 何でアタシが男のアンタなんかを食べないといけないのよ!」

「ほう、なら女の子は美味しく頂くと? ……同性愛者かい?」


 もしそうなら初めてそういう人種に遭うことになったが。


「違うわよっ! あ、けど男が好きってわけでもないから! 男なんてしょせんヤることしか考えてないだけのサルなんだから!」


 あ、違うんだ。

 別に百合だろうがホモだろうが、偏見を持っていないので、どっちでも良かったのだが。ただ俺が男ということもあるのか、やはり男同士というよりは女同士の方が清潔さを感じてしまう。これは自分が女だったとしても同じように思うのだろうか。


「……女性がヤるなんて言葉をおいそれと口にしない方が良いよ?」

「うっさいわね! 余計なお世話よ!」

「ケ、ケイちゃん……わたしもその……ちょっと下品だって思うよ?」

「なっ!? アンタはどっちの味方なのよ凛羽!」

「あぅ……ご、ごめんね」


 どうも力関係は明らかに釈迦原の方が上らしい。

 するとその釈迦原がキッと鋭い視線を俺に向けてくる。


「いい? アタシは男なんか絶対に信じない! 絶対よ!」


 だがそのあとに「けど……」と続ける。


「……この子を…………助けてくれたことだけは感謝してる。……ありがと」

「……へぇ」


 意外や意外、ちゃんと礼も言えるんだな……男に対しても。


「な、何よその顔は! 勘違いすんじゃないわよ! これは人として当たり前のことだから言っただけよ! ほら、もう行くわよ凛羽!」

「あ、ちょっと待ってよケイちゃん! あ、あの、わたしは沙庭凛羽っていいます! 本当にありがとうございました!」


 慌てて自己紹介をしたあと、凛羽……沙庭は去って行く釈迦原を追いかけて行った。

 まるで嵐のように騒がしい連中だ。とりあえずトラブルが起きたわけでもなかったのでホッとした。


「ああでも……スキルを調べられなかったな」


 さすがにあの状況で《鑑定鏡》を使うのは怪し過ぎるし仕方ないが。

 まあ、ここにしばらく居れば、また接触する機会もあることだろう。


 今は大人しくその時を待つことにしよう。

 もっとも、傍には恐らくあの釈迦原が常にいそうなので、なかなか難しいミッションかもしれないが。


 それに……周りには監視カメラもある。俺が下手な動きをすれば、きっとすぐに疑惑の目を向けられ尋問されるだろう。


「ま、ジックリやるか」


 俺はこうして、ひょんなことから『乙女新生教』の拠点でしばらく過ごすことになったのであった。





読んで頂きありがとうございます。


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【『ショップ』スキルさえあれば、ダンジョン化した世界でも楽勝だ ~迫害された少年の最強ざまぁライフ~】     発売日:2020年10月23日    レーベル:ダッシュエックス文庫     イラストレーター:夜ノみつき 小説家になろう 勝手にランキング
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