始隅
「やっほー」
今日は穂海と駅前で待ち合わせていつものカフェに行く予定だ。
正確には遊ぶというより二人だけの女子会のようなものだ。
何気にこの時が一番好きだ。人と話していると嫌なことを忘れられるし、生きてる実感が得られる。
「今日何飲む?てか、何食べる?」
「なんか新しいケーキ出たらしいからそれ食べてみたいかなぁ」
「え、そんなのあるの?さすがさなえだわ」
「やっぱり?笑」
こんな風に何でも始まりは楽しいものだ。それが勢いに乗ってくると一気に時間の経過スピードは加速する。数時間がほんの一瞬に思わせられる。
席について注文をしてから、お互いに相談を持ちかける。
他人の話を聞くのは好きだ。自分には無いものが知れるから。
反対に自分の話をするのは嫌いだ。どうしても自己嫌悪に陥ってしまう。
「さなえも何かないの〜」
「んー、特に。なんだろ、いざって言われると無いんだよねぇ」
「でもなんかさ申し訳ないというか、私ばっかり愚痴聞いてもらってるじゃん?」
「いいの!私、自分の話するの嫌いだし」
私がそう言うも穂海の顔は曇ったままだった。
「無理しないでよ、さなえ」
「大丈夫だってー!」
早々にこの話を切り上げたかった。無理矢理にでも笑顔を作る。こうすれば幸せになるんだとどこかで聞いた。だから大丈夫。
「んなことより、このケーキ美味しくない?」
「え、あぁ。新しいやつって勇気でないんだよね、私」
「なんでさー、勿体無いよ?色々知っとかないとっ!!」
未だに暗い顔をしている彼女の手を握って、すり替えていく。
その後も楽しく話していっているうちに時間が過ぎていく。
「あー、もうこんな時間かぁ」
「ほんとだ、そろそろ帰ろっか」




