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この街の隅で君と出会う  作者: みぃこ
4/9

始隅

(うわぁ、)


先週受けたテストが次々と返却される。その用紙を見る度に憂鬱な気持ちになり、自責の念にかられる。


(駄目だ駄目だ、こんなのじゃ、まだまだ…!!)


そう。こんな弱い点数しか取れない私は、なんの取り柄もないただの肉塊だ。

休み時間になり、穂海が早速こちらへと近づいてくる。


「さなえー、どうだった?」


「聞かないで…」


「あ、駄目だったの?」


悪戯な笑みを私に向ける彼女はなかなかに楽しそうだ。


「う、うるさいなっ、」


「えーー??いいのーーー?平山先生の教科だよ?」


「だから嫌なんだよっ」


彼女が名前を出した平山先生は私のお気に入りの先生で、それでいて


" 私の生きる意味 "


なのだ。


だからこそこの点数はマズイ。先生に土下座したいレベルだ。

そうして、一気に気持ちが沈んだところに次の授業は体育だ。運動神経が悪いため、体育を楽しめた経験はあまり無い。


(仕方ないか、なんとかやりきろう…)


「なんか暗くない?体育だから?」


「それもあるけどテストがぁ……」


「あー、はいはい。大丈夫だよー」


穂海は軽く私の背中を叩くと、別の話題を持ち込む。


「そういえばあの不登校だった人、退学したらしいよ」


「えっ?!本当に??」


「うん、なんか呟いてたよ」


初耳だ。

こうして私の知らないところで他人は別々の行動をしている。パラレルワールドに迷い込んだかのような感覚に陥るが、どうでもいいという結論に至るのが常だ。


私はいつの日からか「どうでもいい」が思考の癖になってしまっている。

これを使うたびに人間として心が腐る音がする。


止めたい。

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