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この街の隅で君と出会う  作者: みぃこ
3/9

始隅

私の目の前にいるのは水田駿。同じクラスの男子だ。話したことなんて殆ど無い。


「あ、えーと、ごめん」


「ん?別に居てもいいよ?」


「いや、いいや。邪魔しちゃ悪いから」



そう言って階段を降りてしまった。


(なぁーんだ、つまんないなぁ)


再び静寂が訪れた中、物思いにふける。そうしていると、頭が空っぽのまま生きていることが何故か、後ろめたく感じられた。しんみりしていると、


「さなえーー??」


親しみのある明るい声が聞こえてくる。


(はぁ…行くか)


「はーーーい!」


私はポケットにスマホを突っ込んで階段を駆け下りた。



ガチャ。

玄関の扉を開けて何も言わずに自分の部屋へと向かう。


「よいしょっと」


制服を脱いでハンガーに掛け、家着に着替える。

学校から帰った先はただただ物質的な家だ。家族団欒だなんてものはこの家では縁遠い事。

ベッドに寝転がると途端に眠気が襲ってくる。


(あぁ、駄目だ。このまま寝ちゃ…)


重くのしかかる瞼を無理やり持ち上げ、起き上がりバッグから教科書とノートを取り出す。


(えーと、明日は…)


手帳も取り出して時間割を確認する。

パラパラとページをめくり、今月の予定も予め把握する。


(へぇー、もう6月か)


既に高校に入学して2ヶ月が経っていた。だいぶ生活リズムも整ってきたが、まだまだ慣れないことばかりで皆に着いていくのに必死だ。

集団の中でもがき苦しむ自分を客観的に見ると、それは滑稽でしかないのだろうと思う。


(とりあえず終わらせよう)


明日を生きるためにも私はまた、ペンを握った。

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