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この街の隅で君と出会う  作者: みぃこ
2/9

始隅

「そっかそっかぁ、大変だね〜」


今日も皆の悩みを聞いていく。私の周りには自然と人が集まってきて、気づけば誰かを慰めていることが大抵だ。


「さなえー、次移動だよ」


「あ、待って穂海ー!」


急いで用意をして、親友のもとへと向かう。


「また相談?」


「そ、なんか凄いよねぇ」


「何が?」


「いや、みんなちゃんと考えてるんだなって」


そう言って穂海をちらりと見ると、バチッと目が合う。


「あんたも悩んでたら言ーなよ?」


「いやー、私は特に無いからなぁ。まあでも何かあったら言うよ」


今日もこうして心配させないように嘘を吐いて、貼り付けて、積み重ねていく。

笑顔ばかりを信仰して何もできない自分が酷く情けなく感じる。



放課後、私は屋上に向かった。

立入禁止の札のかかった紐を跨いで階段を登る。


(やっぱり駄目か)


ガチャガチャとドアノブを回すも開かない。

ずっと閉まったままだが、いつかこの扉の向こう側に行ってみたいなと思う。

仕方なく階段に座り込んで、イヤホンを付ける。音楽は好きだ。自分の世界に入り込めるから。外の世界から遮断されるから。


死の疑似体験ができる、から。


「ふぅ、」


息を吐く。

そのとき、誰かが登ってくる足音がして、ぎゅっと拳に力が入る。それでも落ち着いた素振りで待ち構えていると、


「あっ、」


「おー、水田くんじゃん」

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