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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第6章 魔族の国 魔国ディトナ編

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第90話 魔族の国へ~こちらへは観光で?~

「飛行型マシンゴーレム……か。制空権を握られたら、どんな(いくさ)でも勝ち目は無いな……」




 リッチー・レインがもたらした情報。


 それは、(あら)()()()専用機の驚異的な性能について。


 エリーゼ・エクシーズ邸のリビングで話を思い返し、(やす)(かわ)(けん)()はポツリと(つぶや)いた。




「マシンゴーレムで、自在に空を飛ぶなんて……可能なの? 私の〈サルタートリクス〉でも、推進器(スラスター)連続噴射は5秒が限界だし……。自在に飛行っていうには、程遠いわよ?」


「技術的にクリアしないといけないハードルは、いくつか残っているが……。実は飛行型は、俺もずっと前から作っている」


 賢紀はシャーレに似た形状の魔道具を、テーブルの上に置いた。


 直径は30cm(センチ)程。

 内部には、何層もの魔法陣が透けて見える。


 賢紀が魔力を流し込むと、魔道具は空中にマシンゴーレムの精密な立体映像を映し出した。




「また〈シラヌイ〉と、同じ方向性のデザインなのね……。ケンキのセンスって、正直良く分からないわ」


「俺のデザインセンスは、置いといてだ。推進器(スラスター)の冷却と推力偏向(ベクタードスラスト)制御に関しては、あと少しで何とかなりそうなんだがな」


 賢紀が魔道具を操作すると、立体映像のマシンゴーレムが透けて内部構造が映し出された。


「問題は、動力源の〈トライエレメントリアクター〉。飛行を持続させるためには、今までとは桁違いの出力が必要になる。幸い制御術式と周辺機器の技術はだいぶ進化したから、(あと)は超強力な魔石さえあれば作れそうなんだが……」


「はい! ケンキ先生! ハイエルフ、ゼフォー・ベームダールの魔石じゃいかんとですか? マシンゴーレム作るなら、使っても良かって兄さん言っとるよ」


 学生のような口調で提案するイースズ・フォウワードに、賢紀は首を横に振った。


「ダメだ。あれでも足りない」




 今度はアディ・アーレイトが、コーヒーを皆に配りながら口を開く。


「〈ファイアドレイク〉に使われていた、イフリートの魔石……でもダメですわよね……?」


「〈ファイアドレイク〉のリアクターは制御術式が甘く、周辺機器も俺製より劣っていた。だからイフリートの魔石は、やろうと思えばもっと出力を絞り出せるが……。それでも足りない。ティーゼ妃とエセルス妃のものでも、届かない。何かそれより、強力な魔石はないものか……」




(小僧、悩んでいるようだね? 強力な魔石なら、あたしにアテがあるよ)


 【ファクトリー】から頭に直接届く念話を受けて、賢紀は声の(ぬし)を外に出してやることにした。




「レヴィ。アテがあるなら教えてくれ……って、何でマリアまで出てくる?」


(わらわ)は反対じゃ!」


「まだレヴィは、何も言ってないぞ。……レヴィ。相手の動力源は、双核式(デュアルコア)リアクターらしい。邪竜王ディアブロと光竜王テスタロッサとかいう、伝説のドラゴン2匹の魔石を使っている。そいつらより強力な魔石か、魔物を知っているか?」


「ああ、良く知っているとも。かの邪竜王や光竜王でさえ、同時に倒せそうな(つわ)(もの)(のこ)した魔石……」




 (いっ)(たん)言葉を切ったレヴィは、泡を立てながら空中で身を(ひるがえ)す。


 それから尻尾で、マリアを指しながら続けた。




「そこの小娘の親、時空魔王の魔石だよ」




 同時にコーヒーを飲んでいた4人中、賢紀以外の3人が噴き出し激しくむせる。




 エリーゼは唇の端から、茶色い糸を引きながら尋ねた。


「ゲホッ! ゲホッ! 何ですって!? マリアちゃんの親である『強大な存在』って、魔王だったの!?」


「あう……」


 いつもの尊大な態度が、なりを潜めているマリア。


 トレードマークの赤いツインテールヘアも、力無く垂れ下がっているように見える。




 はっきり返答しなかったが、今の「あう」は肯定とみて間違いない。




「ついでに言うならルータスの第2妃、ティーゼ・エクシーズも魔王の娘だよ。こっちは精霊じゃないけどね」


「お父様……。あなたの嫁集めは、いったいどこまで……。あ、そうか。魔王が姿を消したのが、200年前。お父様がティーゼお()()様と出会った時にはもう、魔王はいなかったんだ」


「ちょっと待て、エリーゼ。それだと、計算が合わなくないか? マリアはまだ、生まれて100年ぐらいしか経っていないんだろう? 100年以上、卵で眠っていたのか?」


「ケンキ! 妾を蛇や鳥共と、(いっ)(しょ)にするではないぞ!」


 ヨルムやスザクが聞いたら凹みそうなことを言いながら、プリプリ怒るマリア。


 たぶん彼等も、卵生まれではない。




「そう、そこだね。魔王は確かに200年前、寿命で死んだ。だけど魂は魔石と共に、この世界に(とど)まっているのさ。その留まっている魂が、この小娘を生み出した。マシンゴーレムのリアクターにその魔石を使おうっていうなら、魔王の魂を説得する必要があるだろうね」




 魔王の魂を説得。




 それはかなり困難な話ではないだろうかと、賢紀は考える。


 ところがレヴィの話を聞くなり、エリーゼは剣の手入れを。


 アディは銃の分解整備を始めた。


 彼女達流、「説得」の準備らしい。


 だが実体のない魂を相手に、その手の説得が通じるのかは疑問だ。




「なあレヴィ。何でそこまで、俺達に教えてくれる? レクサ将軍の(かたき)()ちをする気はないにしても、リースディア帝国にいる連中への思い入れとかも、全然ないのか?」


「魔王ならあるいは……って、思ったのさ。あんたやセナの小僧を、何とかできるんじゃないかと思ってね」


「……? レヴィ。それは、どういう意味だ?」


「さてね……。魔王が眠る場所は、魔国ディトナにある()(おう)(りょう)だ。説得は、マリアの小娘にでも頼むんだね」


 そう言ってレヴィは空中に消え、勝手に【ファクトリー】の中へと戻って行った。


 最近精霊達は、賢紀の意志に反して出入りしてしまうことが多い。




 レヴィがいなくなり、マリアだけが【ファクトリー】に戻らず残されていた。


 さっきはいちど怒ってみせたものの、いつもの(ぼう)(じゃく)()(じん)で勝気な態度は戻ってこない。


 不安げな表情と消え入りそうなか細い声で、彼女は(ささや)いた。




「嫌じゃ……。妾はケンキの(そば)を、離れとうない……」






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 翌日。


 賢紀達(いっ)(こう)はおなじみのゴーレム・ワゴンに乗り、魔国ディトナへと旅立った。




 ――マリアは、家出中か何かなのだろうか?


 皆は疑問に思う。


 結局彼女は詳しい事情を話してくれず、【ファクトリー】の中へと引きこもってしまったのだ。




 エリーゼ陛下は、女王なのについて来た。


 戦後処理やら何やらを、周りに丸投げしまくって来たという。




「私がこのパーティの前衛を務めなくて、誰がやるのよ?」


「ベネッタさんとか?」


「……! ダメダメ! 魔王陵って、ダンジョンよ? 狭い通路とかでの戦闘は、ベネッタの大剣だと取り回しが悪いわ。私に任せておきなさい」


 ドン! と、豊かな胸を叩いて張り切るエリーゼ。


 ダンジョンに(もぐ)ると聞いて、彼女は相当張り切っている。


 もし置いていったらどれだけ怒りを買うか、賢紀には見当もつかない。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






 魔国ディトナとの国境に向け、運転を交代しながらゴーレム・ワゴンを走らせること2日。




「ケンキさん! 見えてきたばい! あれが、魔国ディトナとの国境線……」




 驚異的な視力を誇る()()ハーフエルフのイースズと違い、賢紀の視力は普通の人間レベルだ。


 彼女のいう国境線は、まだ遠くて見えない。


 だがしばらくゴーレム・ワゴンを走らせてみると、地平線に違和感を覚える。


 さらに5分程走り続けると、賢紀にも認識できた。


 それが地球にある万里の長城のように、長大な建造物であることを。




「あれが有名な、『ライフウォール』ですのね」


 アディが確認するように、防壁の名を呼ぶ。




 「ライフウォール」。




 それは、外敵の侵入を防ぐために築かれた防壁――ではない。


 名前の通り、生命を守るために作られた壁だ。


 その生命とは、魔国の魔族達のことではなかった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「はーい。イーグニース共和国から、お越しですね~。ほほ~。ヴィアルゼ・スヴェール大統領からのご紹介ですか。こちらへは、観光で?」


 ライフウォールを通過するために、設けられたゲート。


 そこで(いっ)(こう)の代表であるエリーゼ相手に入国審査をするのは、眼鏡をかけた魔族の男性係員。


 肌がやや青白く、(ひたい)に角が生えている。


 だがそれ以外は、普通の人間とあまり変わらない。


 対応もフレンドリーで、愛想が良い。




「そうよ。『デモンズホール』と、その隣にある魔王陵を見てみたくてね」


「ずいぶんと、瘴気濃度が高い所まで行かれるんですねえ。ご存知かと思いますが、このライフウォールより先に進むごとに瘴気が強くなります。人間族や獣人族、エルフ族の方々の生命活動には、危険な領域です」


 魔族の男性職員は、エリーゼの全身を(いち)(べつ)する。


 ダイナマイトボディに、惹かれたのではない。


 小柄な身長に対して豊満すぎる体つきから、ドワーフの血が入っていることを確認したのだ。


「我々魔族の次に瘴気耐性のあるドワーフ族の(かた)でも、デモンズホール周辺は死の危険が(ともな)います。瘴気対策は、お済みですか?」




 このライフウォールは、他国民の他種族を守るために作られた物なのだ。


 うっかり魔国領内に迷い込んで、瘴気により命を落とすことのないように。




 魔国ディトナは鎖国をしているわけでもないのに、他国との交流があまりない。


 それは魔族以外の種族の来訪を拒む、大気中の濃い瘴気のせい。


 無限の瘴気が湧き出す大穴、デモンズホールのせいだった。




「瘴気対策はバッチリよ! この車両型ゴーレムにも瘴気浄化空調機(エアコン)が付いているし、服は普通の服に見えるけど耐瘴スーツ。念のために、各自瘴気マスクも携帯しているわ」


「イーグニースの車両型ゴーレムは、進んでいますなあ~。あ、そうそう。車両型ゴーレムといえば……」


 ふと、思い出した男性係員が注意を(うなが)した。






「最近ここから魔法都市イムサまでの街道で、奇妙な車両型ゴーレムが数回目撃されております。トラブルに巻き込まれないよう、ご注意下さい」






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本作に頂いた、イラストやファンアートの置き場
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他の作者さんが書いた異世界ロボットものとのコラボ作品
スーパーなろうロボット小説大戦~天涯のアルヴァリス×解放のゴーレム使い~

本作のラスボスが、生まれ変わって主人公になる異世界転生自動車レースもの
ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
【聖女はドラゴンスレイヤー】~回復魔法が弱いので教会を追放されましたが、冒険者として成り上がりますのでお構いなく。巨竜を素手でボコれる程度には、腕力に自信がありましてよ? 魔王の番として溺愛されます~

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